ひとことで評価者研修といっても、評価者に対してどのようなスキルや知識を身に付けさせるかによって、評価者研修の内容は変わってきます。身に付けさせるスキルや知識には、"評価スキル"や"面談スキル"、"評価そのものに対する知識"など、いろいろなものがあるわけです。更に、研修の実施形式に関しても、"講義形式"や"ロールプレイング形式"、"ケースワーク形式"など、いろいろな種類があります。
評価者研修の種類
これらの組み合わせから考えると、"評価者研修"とひとことでいっても、求められるもの/実施すべきものは百社百様と言えるでしょう。しかし、この評価者研修ですが、大別すると3つに分けることができます。
- 評価に関する研修
- フィードバックに関する研修
- 目標設定に関する研修
評価に関する研修
評価に関する研修とは、部下の成果や結果、また行動を評価するために必要なスキルや知識を習得するために行います。例えば、評価の目的の理解や評価を行うにあたって発生しやすいエラーの理解や回避方法など、公正・適正に評価するために必要なスキルや知識を習得するために行います。
評価に関する研修の打合せの際に"人が人を評価するため、評価は非常に難しい"という話をたまに聞きますが、評価するのは人そのものではなく、その人が創出した成果や結果、また行動や活動です。評価に関する研修では、このような評価の原理原則についても学びます。
フィードバックに関する研修
フィードバックに関する研修とは、部下の評価結果が確定した後に、確定した評価結果をどのように伝えるかを学ぶ研修です。評価結果は、その結果をただ伝えるだけでなく、評価結果が良くても悪くても、前期の行動や活動における良い点と改善点を明らかにする必要があります。そして、良い点は褒め、改善点は課題を明確にし、フィードバックを通して、次期の課題改善に対するモチベーションを高めていくわけです。
目標設定に関する研修
最後は、目標設定に関する研修です。MBOM(management by objectives)と言われる目標管理制度を導入している場合には、評価の前提となる目標を期初に設定し、設定した目標に対して評価を行います。
この目標設定の仕方の良し悪しは、期末の評価の良し悪しに直結するため、"どのような目標を設定するべきなのか"(達成可能な目標になっているか、設定した行動や活動の目標に対してモチベートされるか等)、"どのように目標を設定するべきなのか"(評価できる指標[数値など]で目標が設定されているか、具体的な行動や活動を促す目標になっているか等)を学び、期末に評価できる適切な目標を設定するためのスキルや知識を習得するために行います。
まとめ
このように、ひとことで評価者研修といっても、評価者が行う評価の過程(評価・フィードバック・目標設定)によって、習得するスキルや能力には違いがあります。評価者研修を行う場合には、評価における課題がどこにあるのかを明確にし、その課題に沿って研修を実施しなければ、評価者研修そのものが無駄になってしまう可能性があります。
また評価においては、上手くいかない原因が、必ずしも評価者のスキルや知識の有無とは限りません。評価制度そのものが原因であったり、評価制度の運用の仕方が原因であったりすることもあるため、評価が上手くいっていない時には、まずは評価において何が課題なのかを明確にし、その課題に対して対策を打つ必要があると言えるでしょう。
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