新型コロナウイルスはデジタルトランスフォーメーション(DX)を急速に進展させています。テレワーク普及による働き方の変化や現金を介さないQRコード決済の浸透など、生活が変わったことを実感する方も多いでしょう。そこで今回は、DXがアフターコロナ時代をどう変えるのかをテーマに、その関係について解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

デジタルトランスフォーメーションとは、テクノロジーによって産業構造など物事の仕組みを根本的に変えることと定義されています。もともとはスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した概念です。

日本では、総務省と経済産業省が「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」と定義しています。デジタルトランスフォーメーションは、単なるデジタル活用ではなく、デジタルが既存の仕組みそのものを変えることを意味しています。例えば私たちのまわりでも、オンラインでの買い物が当たり前になり、それに付随するさまざまなサービスが誕生してきました。少し前には考えられなかったような近未来の生活がデジタルトランスフォーメーションによって実現しています。

また、2020年は新型コロナウイルスの影響により私たちの生活が大きく変化しました。密集、密接、密閉のいわゆる「3密」が避けられる中で、電子決済やフードデリバリーなどデジタルサービスがさらに浸透しています。このように、デジタルトランスフォーメーションは特別なことではなく、テクノロジーによって産業構造が変化し私たちの生活がより豊かで便利になることを意味しているのです。

Withコロナ、アフターコロナ時代におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性

新型コロナウイルスの影響によりデジタルトランスフォーメーションの重要性はますます高まっています。Withコロナの状態である現在は、人と人の接触を避けるためにQRコード決済などの電子決済やUber Eatsなどのフードデリバリーサービスが普及しています。また、私たちの働き方はこのコロナ禍で大きく変化し、これまでのオフィスワークからテレワーク中心の働き方に移行した企業も多いでしょう。

余暇の楽しみ方も、外出よりも自宅でNetflixを楽しむという人も多いのではないでしょうか。このような新しいライフスタイルは一過性のものではなく、新しい生活様式として定着していくことが予想されます。また、企業ではこのコロナ禍で自社のデジタル対応力の弱さを実感した企業も多いのではないでしょうか。

例えば対面での営業を強みとしていたある企業では、このコロナ禍で対面での営業が不可能になり、顧客の情報が一切入手できなくなったそうです。多くの企業が業績不振に悩む一方で、以前からテクノロジーを活用したマーケティングオートメーションに取り組んできたある企業では問い合わせが増加したという例もあります。

また極端な例では、毎回請求書に押印を求めてきたあるベンダーが、このコロナ禍で電子契約に対応したベンダーにリプレースされた例もありました。このように、新たな生活や働き方が定着するアフターコロナ時代では、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるか否かが事業の存続を左右するといっても過言ではないでしょう。

デジタルトランスフォーメーションが変える日本の商習慣

新型コロナウイルスの影響は、日本の商習慣を大きく変えようとしています。政府がデジタル庁の創設やはんこの廃止を宣言したことは記憶に新しいでしょう。押印や紙でのやり取りが物理的に制限される中で、企業では電子契約システムの導入が進んでいます。行政でもマイナンバーカードによる電子交付が進み、給付金の手続きが電子化されました。

企業の事業活動では、オンライン商談が取り入れられ、ZoomなどのWEB会議ツールを使用した商談が当たり前になりつつあります。企業内部でも資料のやりとりのほとんどがデータ化され、打ち合わせ中心だった仕事の進め方も、簡単な内容であればチャットやメールに置き換わっています。このように、コロナ禍によるデジタルトランスフォーメーションにより日本の商習慣が大きく変化しています。

アフターコロナ時代に向けてDXで取り組むべきこと

ここまでご説明したように、いまデジタルトランスフォーメーションに取り組まなければアフターコロナ時代に生き残ることはできないでしょう。では実際にどのようなことに取り組めばよいのでしょうか。代表的な取り組みを3つご紹介します。

業務の棚卸

新型コロナウイルスの影響により出社する必要のある物理的な業務は、対応が困難になっています。そこでこの機会にこれまでの業務の在り方を見直し、業務の棚卸に取り組む企業が出てきています。

物理的に対応していた業務の中には、実は企業の成長に貢献していない低付加価値な業務が含まれていることがあります。代表的な例がダイレクトメールなどの郵便物の仕分けです。こうした不要な業務を削減し、わざわざ人の手で対応しなくてもよいことはITツールを活用して自動化することを検討しましょう。業務の棚卸は、仕事の進め方を変える第一歩です。

テクノロジーによる業務効率化

業務の棚卸が完了したら、デジタルツールで置き換えのできる業務を検討しましょう。最近ではRPAと呼ばれるソフトウェア型のロボットが特定の業務であれば人間と同じように高い精度で業務に対応できるようになっています。

例えば人事部であれば給与計算など、定型的な業務はRPAで代用可能な場合があります。RPA以外にも最近ではHRテックなど様々なテクノロジーが存在しています。こうしたテクノロジーによる業務効率化を積極的に検討しましょう。

ビジネスモデルの再構築

これまで物理的なビジネスが中心だった企業では、デジタルによるビジネスモデルの再構築に積極的に取り組むべきです。例えば飲食店であれば、店舗での対面中心の客単価を重視したビジネスではなく、WEBからの問い合わせを中心としたデリバリー専門で数量を重視したビジネスへと変革することが考えられます。

デジタルトランスフォーメーションがこれから私たちの生活をどのように変えるのかを真剣に考え、新たな時代に対応したビジネスモデルを構築していきましょう。

デジタルトランスフォーメーションの事例

最後に、デジタルトランスフォーメーションに成功した事例をひとつご紹介します。

タイムズカーシェア

デジタルトランスフォーメーションの事例
駐車場運営会社大手のパーク24は、2009年からカーシェアリング事業に参入しました。それまでのパーク24のビジネスモデルは、駐車場料金で収益をあげる仕組みでした。

駐車場は稼働率が重要です。空いている駐車スペースは利益を生まないため、この空いているスペースをいかに利用するかが課題になります。パーク24は自社が運営する駐車場にいつでも借りられるカーシェアリング用の車を設置することで、空いている駐車場からも収益を上げることに成功しました。

同時に駐車料金中心の収益モデルも、カーシェアリングの利用料という新たな収益源を獲得できることになったのです。こうしたビジネスモデルの転換の背景には、テクノロジーの進化が大きく貢献しています。ユーザーは、車をスマートフォンから予約し、会員カードで車のカギを開けることができます。車を借りて返すまでのすべてプロセスは無人で行われるのです。

このように、デジタルトランスフォーメーションは既存のビジネスモデルの課題を解決することができます。ぜひみなさんも自社の課題をテクノロジーによって解決できないか考えてみてはどうでしょうか。

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