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デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むためには、DX人材が欠かせません。しかし、社内でDXを進めようと思ってもなかなか知見のある人材は少ないものです。DXを人材の観点から成功させるにはどうすればよいのでしょうか。今回はDXに欠かせない人材戦略について解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーによって既存の産業構造やビジネスモデルを変革することを意味します。テクノロジーとはビッグデータ、クラウドサービス、ロボット、AIなど近年発展を遂げた技術のことです。

単にデジタルを活用するデジタライゼーションに対して、デジタルトランスフォーメーションは既存の枠組み自体を再構築します。私たちの身近な例では、AmazonなどのECサイトやスマートフォンなどのデジタルツールによって生活が大きく変わっていることを実感できると思います。

企業の収益モデルも、以前のように単にモノやサービスを売って収益を上げるのではなく、データを活用して広告を配信するビジネスや、ユーザーがモノを売り買いできる場をつくることによって手数料収入を得るビジネスへと変化しています。このように、デジタルトランスフォーメーションは私たちの暮らしや企業のビジネスの在り方を変革する取り組みなのです。

DX人材を育成するには?

企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組むにはデジタルテクノロジーに精通していて、かつビジネスを理解している人材が必要です。日本企業の多くはこれまでデジタルの知識や経験のある人材をほとんど育成してこなかったため、デジタルトランスフォーメーション人材(DX人材)が不足している状況にあります。

DX人材を育てるには、まず素質のある人材を見極めることが重要です。最も適しているのはデジタルネイティブやミレニアム世代とよばれる世代です。彼らの多くはITが急速に進化した2000年代に幼少期を過ごしています。つまり物心ついた時にはデジタルツールが存在していた世代なのです。

デジタルネイティブ世代はコミュニケーション方法もSNSやLINEなどのチャットツールが中心です。また、WEBを頻繁に活用しているため膨大な情報量を取り扱うことにも慣れています。こうしたデジタルネイティブ世代の中から、ビジネスモデルを構築できる広い視野と商売感覚を持てる人材を選ぶことが近道かもしれません。そして、実際の新規事業構築プロジェクトにアサインし、ビジネスの構築方法についてOJTを通じて教え込むことで彼らはDX人材として成長することができるはずです。

DX人材を採用する方法

人の影
DX人材を社内で育てつつも、企業によっては今すぐにDX人材が必要だという場合もあるでしょう。そこでDX人材を即戦力として採用するための方法をご紹介します。

まず何よりもDX人材は日本企業の多くが求めている人材であることを認識しましょう。これからの時代に求められる知識であるAIやロボットなどの専門家は残念ながら日本にはあまり多くはいません。そのため、大企業でさえも東大などの研究室とコネクションをつくり大学院生のうちから人材を確保する動きをしています。

こうした採用競争に勝つには、採用時の報酬を高く設定することが不可欠です。既存の人事制度にとらわれず、特別採用枠を設けて市場よりも高い報酬で採用しましょう。同時に社内の受け入れ体制を整えることも重要です。社内にDX人材を受け入れる環境がなければ、DX人材はすぐにやめてしまうでしょう。

最近ではNTTがデジタルのプロフェッショナルを社外から採用し、たった1週間でテレワークに対応できるシステムを構築したことが話題になりました。その背景にはDX人材専用部署の設置と、DX人材に自由と権限を与えたことがあります。採用と社内の環境づくりを必ずセットで行いましょう。

DX人材を社内で活用するには?

しかしDX人材を活用する環境づくりといっても、企業文化によってはなかなか取り組みづらいこともあるでしょう。そんな場合はまず経営陣からデジタルトランスフォーメーションを推進していく仕組みをつくることが重要です。

経営からデジタルトランスフォーメーションに取り組むには、最高デジタル責任者(CDO)を設置することが効果的です。デジタルに関する新たな役職や部署を設置することは、社員への大きなメッセージになります。可能であれば社外からデジタルに詳しい人材をCDOとして採用することで、CDOを中心に社内の文化をデジタルに基づいたものへと変革することができます。

どんな変革にもリーダーが必要です。デジタルトランスフォーメーションでは、CDOに変革のリーダーを担ってもらうことでその成功率を上げることができるでしょう。

DX人材活用の事例

デジタルトランスフォーメーションに成功した大企業の事例として、三菱ケミカルホールディングスがあげられます。三菱ケミカルは、2017年に最高デジタル責任者を日本IBMから招聘しました。IBMでAIに携わっていたデジタル業界のプロフェッショナルです。

さらに三菱ケミカルでは、CDOの招聘をきっかけに、CDOの人脈をもとに優秀なデジタル人材を採用することに成功しました。デジタルトランスフォーメーションの専用部署も設置し、グループ全体にデータ活用などのデジタルトランスフォーメーションを推進していきました。その結果、三菱ケミカルは2020年に経済産業省から「DX注目企業2020」に選定されるなど、日本におけるDX推進を牽引する企業となったのです。

三菱ケミカルの事例は、まず優秀な人材をCDOとして外部から任命し、専用部署を設置し、CDOがさらに優秀な人材を連れてくることで人材面での良い循環を生み出すことの重要性を示唆しています。デジタルトランスフォーメーション人材を活用するには、可能な限り妥協はせず優秀な人材に対し高い報酬とポジション、権限を与えることが重要なのではないでしょうか。

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