タレントマネジメントの仕組みと研修を連動させるには?

タレントマネジメント導入の検討が進むと、次はどのように運用するかが課題になります。具体的な制度の構想も固まった一方で、タレントマネジメントの仕組みと研修をどう連動させればよいのか迷っているという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はタレントマネジメントの仕組みと研修を連動させる方法について解説します。

タレントマネジメントと研修との関係

 タレントマネジメントの仕組みの中で、研修はどのような位置付けにあるのでしょうか。まず研修が人材育成や能力開発の手段であることを認識しなければなりません。また、人材育成やタレントマネジメントの上位概念として人材供給の考え方が必要です。事業に対して、いかに適切な人材を適切なタイミングでどう供給するか、全体像を描いてみましょう。

例えば、会社の中期経営計画や事業戦略を人事の視点から読み解くと、数年以内に特定のポジションに人材が必要になる場合があります。具体的には、新規事業立ち上げに伴いマーケティングに詳しい人材が必要になる、といった具合です。また、社長や役員の年齢や在籍期間を検討すると、あと何年以内に役員候補をつくる必要があるのかが見えてきます。

 このように自社の経営や事業の状況を分析してみると、現在の社員に不足するスキルや人材が見えてきます。このような分析をもとに、不足する部分について育成を行うか採用を行うかコストを含めて検討します。そして、検討の結果、採用よりも育成のほうが自社にとって合理的である場合に初めて人材育成施策を検討するのです。

 研修は、人材育成施策の一つです。上記の例では、マーケティング研修を既存の社員に行う、あるいは役員候補育成研修を行うといった打ち手が考えられます。このように、タレントマネジメントの仕組みと研修を連動させるには、まず自社における人材供給の方向性を確認し、最終的に研修を行うべきかどうか判断するためのルールを決めておくとよいでしょう。

タレントマネジメントには、研修以外の取り組みも重要

 人材育成に携わる方は、発想がつい研修をすることに向いてしまいます。同様に、タレントマネジメントの仕組みを人材育成の観点から検討すると、どんな研修をやるのか、という手法の議論に陥ることがよくあります。
 しかし最近の研究では、研修よりもOJTなどの実際の業務経験のほうが人材育成に有効であることがわかっています。

 一方で、どんな人材にどんな経験をさせればよいのかがわからない、というのが多くの人事担当者の悩みではないでしょうか。人事では、評価により社員のパフォーマンスを知ることはできますが、具体的に会社にどう貢献したのか、内容までを知ることはできません。そのため、これまではどの社員がどんな保有スキルや経験、知識を持っているかまで把握することが難しい状況でした。

 しかし、タレントマネジメントの導入により社員のタレント、つまり能力や経験の見える化を進めれば、今後必要な能力や不足しうる経験を知ることができるようになります。こうしたデータをもとに、どんな施策を実行するかを検討しましょう。
 
 例えば海外展開するメーカーの場合、社員の語学力や海外駐在経験がタレントマネジメントの重要な指標になり得ます。もし語学力が事業で求められているレベルに達していないのであれば、研修や自己学習支援を行い、駐在経験がある社員が今後さらに必要であれば、社員を海外へトレーニーとして派遣するといった方法が考えられます。

 タレントマネジメントの仕組みを導入する際には、研修だけでなく他の手法と合わせて自社に必要な人材を供給できるようにしましょう。

タレントマネジメントの全体像が最も重要


 ここまでご説明したように、タレントマネジメントでは個別の施策や手法よりも全体像が重要です。タレントマネジメントは単に、能力や経験に基づいて人材をマネジメントする方法の一つでしかありません。何のためにタレントマネジメントを導入し、何を実現したいのかを見定めたうえで具体的な施策を検討しましょう。

 タレントマネジメントの全体像を構築するには、まず組織や人材の観点から自社の経営課題が何なのかを検証しましょう。例えばもし、離職率の高い職場であれば、単に離職率を下げるのではなく、離職した場合でもすぐに人材を供給できる仕組みを整えましょう。

この場合は、全職務の人材要件を明らかにするとともに、社員全員に共通で求められるスキルや経験を整理すると良いでしょう。特にエンジニアリングや営業といった労働集約型で、優秀な人材に業績が左右される職場では、このような仕組みはとても有効です。この例では、人材をすぐに供給することを目的にタレントマネジメントの仕組みやルールを決めておけば、人材が離職した後に慌てて補充するリスクを低減することができるでしょう。同時に、新たな人材を採用して補充した場合でも、どのような研修を行えばよいか明確になります。

 このように自社の目的と課題に合わせてタレントマネジメントの全体像を構築することで、最大限に人材を活用することが可能になります。まず自社の課題を明らかにし、本当に課題を解決するタレントマネジメントの仕組みを導入すれば、研修などの人材育成施策も効果的に実行できるようになるでしょう。

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