NFTとメタバースは仮想通貨(暗号資産)の登場とともに大きな話題として取り上げられるようになりました。ただ、経営や人事の観点からNFTやメタバースが役に立つのかどうかが分からない人も多いでしょう。この記事ではNFTとメタバースの基本的な違いと、それぞれのビジネスとの関係をわかりやすく解説するので参考にしてください。
NFTとメタバースの定義と違い
NFTとメタバースはほぼ同じ時期に話題として浮上してきて、ビジネスでも活用されるようになりました。仮想通貨の人気が高まったのとも同時期なので、同じような技術によって生み出されていて、似たようなものだと思っている人もいます。しかし、NFTとメタバースは根本的に異なるので、それぞれの定義と違いを確認しておきましょう。
NFTとは
NFTとはNon-Fungible Tokenのことで、日本語では非代替性トークンと呼ばれています。代替不可能なモノとして電子データを取り扱う技術で、ブロックチェーンによって唯一性を担保できるようにしているのが特徴です。電子データとして作成された芸術作品、ゲームで使用するアイテムやカード、電子的に録音された音楽や音声などは複製することができます。しかし、個々のデータの所有者をブロックチェーン技術によって保証するシステムを整えることにより、電子データをデジタル資産として保有できる仕組みが整えられました。つまり、NFTは自分が所有するという保証が付いた電子データの資産です。リアルに存在する資産と同じように売買をすることもできます。
メタバースとは
メタバースとはMetaverseという英語に由来しています。高次元を意味するmetaと世界を意味するuniverseから生まれた造語で、オンラインに構築された仮想空間のプラットフォームを指します。メタバースは舞台として提供されているネットワーク上の仮想空間です。メタバースの中では自分の分身として存在するアバターを操作して、ゲームをプレイしたり、商品を購入したり、サービスを利用したりすることができます。アバターとなったユーザーがコミュニケーションをするプラットフォームとしても活用されています。現実世界とは切り離されたインターネット上のコミュニケーション空間として生み出されているのがメタバースです。
NFTとメタバースの違い
メタバースもブロックチェーン技術を取り入れていることが多いため混同されがちです。しかし、NFTとメタバースの定義を比較すると違いもはっきりとわかります。NFTはブロックチェーン技術によって支えられているデジタル資産です。メタバースはインターネットを介したコミュニケーション舞台であって資産ではありません。メタバースの中でユーザーはアバターとなってデジタル資産になるNFTを購入したり売却したりすることも可能です。どのようなメタバースを用意するかによってNFTとの関係にも違いが生じます。NFTとメタバースは根底にある技術は類似しているものの、資産かプラットフォームかという点でまったく違います。
ビジネスとNFTの関係
ビジネスとNFTにはどのような関係があるのでしょうか。経営をする視点ではNFTの活用によってビジネスチャンスを広げられます。どのような接点があるのかを見ていきましょう。
デジタル作品を制作・販売する
デジタル作品を販売するときにはNFTを有効活用できます。NFTを利用すれば唯一性を担保できるからです。例えば、芸術家として描いたデジタルアートをNFTとしてマーケットプレイスに出品すると、世界にたった1人しか所有できない作品として販売できます。人気があれば高額での売買もマーケットプレイス上でおこなわれるでしょう。売買に応じてロイヤリティをもらえる仕組みを作ることもできるため、デジタル作品を制作して販売する方法は短期的にも長期的にも利益を生み出すアプローチになります。商品購入者やサービス利用者の限定30名に抽選で有名人のサイン入り壁紙をプレゼントという企画を実施することも可能です。壁紙のデータは所有者が特定されるのでコピーされることがありません。価値の高いアイテムをプレミアムとしてセールスプロモーションをするアプローチも取れます。
ゲームを運営する
NFTはゲーム分野で積極的に取り入れられてきました。ゲームで使用するアイテムやカードに唯一無二なものにすることによって売買可能な価値を持たせるのが基本的なアプローチです。典型的なのはトレーディングカードゲームで、カードの所有者をNFTで保証する仕組みを取り入れたゲームも多数登場しています。ゲームバトルで獲得したアイテムをNFTとしてマーケットプレイスで売買するといった仕組みも生まれてきました。ビジネスでは限定カードや限定アイテムを販売することでゲーマーやコレクターによる購入を促すだけでなく、マーケットプレイスでの売買によって利益を得たいと考えるユーザーも引き込めるのが魅力です。
ビジネスとメタバースの関係
ビジネスではメタバースの活用が注目されるようになってきました。利益を生み出すビジネスモデルの構築だけでなく、人事にも活用できる可能性が見出されてきています。ビジネスや人事の観点からメタバースの活用可能性を確認しておきましょう。
ビジネスの舞台としてメタバースを利用する
メタバースはビジネスの舞台として利用できます。NFTによって保証されたデジタル作品を販売するプラットフォームとしても、自社のサービスの窓口としてもメタバースを運用することが可能です。メタバースではアバターとしてのユーザーがコミュニケーションを取れる仕組みを作れるため、共同利用や共同購入などの仕組みを盛り込むこともできます。
人材採用にメタバースを活用する
メタバースは人材採用に活用できます。就職フェアや転職フェアのようなイベント会場をメタバース上に作り上げるサービスが登場しました。採用側は自社の採用イベントをメタバース上でおこなえるだけでなく、ポスターや動画などを常時掲載して募集することもできます。また、候補者との面談もメタバース上でできるので、リアルタイムで人材採用活動を進めることが可能です。
人材教育や社内研修に応用する
メタバースでは人材教育にも社内研修にも応用可能です。人材教育ではオンライン教育のプラットフォームを構築し、従業員に自由に利用できる場を提供する方法があります。一人一人にノルマを課して、時間のある時にメタバース上で教育を受けさせることも可能です。また、社内研修ではメタバース上で社員のコミュニケーションやディスカッションの場を設けたり、オンラインでの共同作業のトレーニング舞台を用意したりするのが一般的なアプローチです。研修日時をスケジュールせずとも、時間があったときにアクセスした人同士でディスカッションなどをおこなえる仕組みを整えられます。
広告舞台として活用する
メタバースは広告舞台としても利用することが可能です。メタバースによるゲームを開発して配信している企業では広告を募集していることもよくあります。広告掲載を依頼すれば多くのユーザーにアプローチすることができるでしょう。また、広告イベントをメタバースで開催する方法も注目されています。ライブイベントの開催なども活発におこなわれるようになってきているのが現状です。
NFTとメタバースの違いと関係を理解してビジネスや人事に生かそう
NFTとメタバースはどちらもデジタル技術なのは同じですが、NFTはデジタル資産、メタバースはプラットフォームという点で違いがあります。ビジネスではNFTによって作品の販売をすることができる一方、メタバースでは販売の場を作ることが可能です。メタバースは人材の採用や教育、研修にも使えるので、NFTとの関係も考慮しながら活用していきましょう。
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