日本企業では4月になると必ずといっていいほど新入社員研修を行います。各社で長年、同じことのように新入社員研修を繰り返してきました。新たに新入社員研修の担当者になった方であればどのような内容にするべきか悩みつつも結局、例年通りの内容を実施することもあるでしょう。一方で時代が変われば新入社員研修の内容も変える必要があります。そこで今回は新入社員研修の内容についてご紹介します。

なぜ新入社員研修を実施するのか?

当然のように行われている新入社員研修。ところで、あなたの会社ではなぜ新入社員研修を実施しているのでしょうか。

日々の人事業務に追われていると、つい新入社員研修を実施することが目的になってしまうことがあります。しかし新入社員研修は何かを解決する手段の一つでしかありません。では、どんな課題を解決するために新入社員研修を行うのでしょうか。

新入社員の早期戦力化

ひとつは新入社員が早く一人前の社員として、現場で戦力になってもらうために実施することが考えられます。当然ですが、新入社員は学生から社会人へと意識を変え、社会人としてのスキルを身に着ける必要があります。社会人には基本的なルールやマナーが存在しています。これらを早く習得することで、新入社員を早期に活躍させることが可能です。

新入社員の定着化

一方で昨今の若手社員の離職率増加をうけて、新入社員の定着を目的として新入社員研修を行うケースも増えてきました。特に早期に会社の理念や価値観を伝え、会社に愛着をもってもらうことは離職防止につながります。この場合は会社の先輩社員との対話や役員との懇談会など、会社へのロイヤリティが高まる内容がよいでしょう。

このように新入社員研修には大きく2つの目的があります。あなたの会社ではどちらを中心としているのでしょうか。

一般的な日本企業における新入社員研修の内容

では具体的には日本企業ではどんな新入社員研修が行われているのでしょうか。その内容についてまとめてみました。

一般的に以下のような研修が行われています。

ビジネスマナー

新入社員研修の定番といっていいほど、どこの企業でもビジネスマナー研修を行っています。挨拶の仕方から名刺交換、仕事の段取りなど社会人の基本を学ぶ内容が中心です。

理念研修

最近は会社へのエンゲージメントを高めるために、新入社員研修で早期に会社の理念について学ぶ機会を設ける企業が増えてきました。学生時代には考えることのなかった、会社の理念について学ぶことは新入社員にとって新鮮な経験になることが多いそうです。

業界研究

新入社員研修で多く行われているのが業界研究です。自社の業界ポジションや競合について知ることで、自社製品の強みや弱みを知るきっかけをつくることができるでしょう。

自社研究

最も重要なのが自社研究です。先輩社員の話や社長、役員の話から自社のサービスや製品について学びます。しっかりと自社研究をして、会社を深く理解することで、配属後もすぐに活躍ができるでしょう。
このように新入社員研修には定番といえる内容があります。しかし定番を並べるだけで本当によいのでしょうか。

最近の新入社員の姿

最近の新入社員の姿
最近の新入社員研修は定番の内容だけでなく、工夫を凝らした内容が増えてきました。
一方で毎年、入社する新入社員の傾向は大きく異なるものです。
最近の新入社員とはどのような姿なのでしょうか。

公益財団法人の日本生産性本部では、1967年から50年以上にわたって新入社員の意識調査を行っています。
2019年の調査結果によれば、新入社員の「働く目的」は「楽しい生活をしたい」が1位になっています。また、そこまで昇進せず人並みに働ければよい、という価値観が強い傾向が明らかになりました。
昭和世代のように、人一倍働いて出世をしたいという傾向は現在ではかなり弱まっています。
楽しさや共感を大切にする最近の新入社員に対しては、競争を促す研修ではなく「会社が楽しい」「働くことが楽しい」と思えるような研修内容にしましょう。

新入社員が興味を持てない研修内容ばかり実施すると早期離職の可能性も高まるでしょう。研修担当者には毎年、変わる新入社員の課題を的確にとらえて研修内容を毎回アップデートすることが求められます。

単なる座学はもう古い

では、毎年変わっていく新入社員に対して適切な研修を実施するには、内容にどのような工夫を凝らせばよいのでしょうか。研修内容の例をご紹介します。

フィールドワーク

会議室を抜け出して、業界や自社を知るために様々な場所へ出かける研修も増えています。大企業であれば工場や営業所などの拠点で先輩社員にインタビューするなどの取り組みを行っています。会社を知り、会社を好きになるための取り組みとして取り入れるとよいでしょう。

フィードバック

SNSが発達した時代背景をもとに成長してきた現在の新入社員は、お互いに共感しあう、フィードバックしあうことが当たり前になっています。そのため、新入社員が書いた日報や日々の行動に対して、その場で講師担当や上司から、あるいは同期同士でフィードバックを行うことが有効です。フィードバックを行うことで内省を助け、更なる成長を促進することができます。

社長への提言

BtoC企業では新入社員が新しいサービスや製品を社長に提案するグループワークを行っている場合があります。まだ会社を知らず、消費者に近い視点だからこそ見える課題があります。その新鮮な視点を活かして提言を行うことで、新入社員も会社も成長できるはずです。

座学だけで行うの新入社員研修はもう古くなっています。きちんと実施の目的を整理し、新入社員の課題に合わせて様々な手法を取り入れながら新入社員が社会人として活躍できるように支援していきましょう。

学習を効果的にする内容を検討しよう

最近の人材育成の領域では、実際の実務経験と人間関係から学ぶこととOff-JTとの最適な割合が7:2:1と言われています。

新入社員研修はあくまでも研修でしかありません。研修は職場での実践を助けるものです。実践を助けるためには、研修内容も実践につながるような内容にしましょう。
また座学やOff-JTだけでなく、OJTの設計や配属先の上司・先輩社員との早期の人間関係構築も新入社員研修における人材育成の重要な要素です。

新入社員研修=集合研修ととらえず、どうすれば新入社員が会社で活躍できるかを考えて実践的かつ効果的な新入社員研修を設計しましょう。

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