タレントマネジメントの目的とは?なぜタレントマネジメントが必要なのか?

最近、日本企業ではタレントマネジメントの仕組みを導入する企業が増えてきました。タレントマネジメントは、もともと90年代にアメリカで導入が進んだ取り組みです。なぜ今になって日本企業で導入が進んでいるのでしょうか。そして、タレントマネジメントとはいったい何のために導入するのでしょうか。今回は、タレントマネジメントを導入する目的について解説します。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、人材の「タレント」に注目し、人材を計画的に採用・育成する取り組みです。タレントとは、人材の能力や経験、知識といったソフトスキルのことを指します。タレントマネジメントを導入する主な目的は、事業に必要な人材を必要なタイミングで提供することです。

最近ではITツールを活用したタレントマネジメントの取り組みが増えてきました。あなたも最近、テレビのCMなどで人材管理ツールについて見聞きしたことがあるのではないでしょうか。実は日本では、制度としてのタレントマネジメントの仕組みが普及する前にITツールの普及が先行している状況です。そのため、一般的に日本でタレントマネジメントといえばITツールを想起する方も多いでしょう。

残念ながら、日本ではタレントマネジメントという言葉が独り歩きしています。そもそも、事業に必要な人材を必要な時に用意することは企業経営にとってごく当たり前のことです。例えばレストランを開業する際には、キッチンスタッフとホールスタッフが必要になると思います。キッチンスタッフがいなくなれば、料理を提供できなくなりレストランは成り立ちません。

また、常に安定した美味しい味を提供しなければお客様が離れてしまいます。そのため、経営者や人事は、常に事業に必要な人を採用や能力開発によって用意できる準備をしておかなければなりません。計画的な人材供給の仕組みがタレントマネジメントなのです。

ではなぜ今になって、日本でタレントマネジメントが注目されるようになったのでしょうか。背景には日本社会固有の問題があります。

後継者をつくるためのタレントマネジメント

生産年齢人口減少による人材不足が進む日本では、優秀な人材を常に確保することは経営や事業にとって必要不可欠な取り組みです。特に経営者の後継をつくることは、日本における大きな課題です。

帝国データバンクの調査によれば、2019年1月時点で日本の経営者の平均年齢は59.7歳です。また、日本政策公庫の調査では約半数の60代以上の経営者が将来的な廃業を予定しており、そのうち3割が後継者不足を理由にあげています。
経済産業省の試算によれば、後継者不足が解消されない場合、2025年に650万人の雇用と約22兆円分のGDPが失われるとされています。

そのため、経営リーダーやその候補となる管理職の後継者を育てる取り組みは事業存続に不可欠なのです。上場企業でも、経営者の平均年齢が58.9歳と60歳に迫る状況にあります。上場企業ではここ数年、積極的に役員の若返りや若いリーダーを育成する取り組みが増えてきました。

東京証券取引所でも2015年に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の中で、上場企業は後継者を計画的に育成することをガイドラインとして示しています。
参考:株式会社東京証券取引所(JPX)「コーポレートガバナンス・コード」16ページ

こうした背景をもとに、日本では計画的に後継者を育成するためのタレントマネジメントの仕組みづくりが浸透してきました。後継者や人材を計画的に育成するには、「タレントパイプライン」の考え方を導入するのがオススメです。では、「タレントパイプライン」とはどのような考え方なのでしょうか。

後継者を育てる「リーダーシップパイプライン」とは?

欧米では、後継者を計画的に育てるための「サクセッションプラン(後継者育成計画)」とともに、「タレントパイプライン」の考え方が浸透しています。タレントパイプラインとは、特定の人材を常に確保するために人材候補のプールを用意する仕組みです。常に必要な人材を確保するために、継続的かつ体系的な取り組みを行うことが特徴です。

また、後継者を育成する取り組みは、特に「リーダーシップパイプライン」と呼ばれます。リーダーシップパイプラインとは、後継者候補を意図的につくり、常に候補者を計画的に用意しておく取り組みです。多くの企業では、経営者がいなくなれば事業を続けることが不可能になります。また、経営者は労働者である社員の中から偶発的に生まれる可能性は極めて少ないと言えます。そのため、後継者が必要になる将来のタイミングに合わせて、経営者候補となる人材に特別な経験を与え、経営者としての心構えやスキルを段階的に身に付けさせることが重要です。

リーダーシップパイプラインは、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)が取り入れたことで有名になりました。いち労働者であるプレイヤーが経営リーダーになるには、考え方や振る舞いの転換が必要です。GEでは、この転換を経営者による薫陶や研修を通じて計画的に行っています。

このようにタレントパイプラインを構築することができれば、安定的に事業に必要な人材を供給することができるようになるでしょう。

タレントマネジメントの目的は人材の安定供給


ここまで後継者育成計画を中心に、タレントマネジメント導入の目的について紹介してきました。すでにお分かりのように、タレントマネジメントの目的は、何よりも必要な人材を必要なタイミングで供給できるようにすることです。

経営資源はヒト、モノ、カネといわれます。特に近年、少子高齢化により優秀な人材が希少資源になりつつある日本では、人材を有効活用することが重要な経営課題です。

ただし、タレントマネジメントが流行っているからといってすぐに自社に導入するのではなく、どのような経営課題を解決したいのか、その導入目的を明確にしましょう。後継者育成なのか、適材適所なのか、自社の目的や課題によってタレントマネジメントの取り組み方は全く変わります。まずはこれから先、自社に起こりうる人材供給上の課題を検討することから始めましょう。

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