年々導入する企業が増えているコンピテンシー面接。より企業に合った人材を採用するために、自社でも導入しようと考えている担当者もいるでしょう。しかし、コンピテンシー面接はメリットばかりではありません。そこでここでは、コンピテンシー面接とはどんなものなのか、コンピテンシー面接のメリット・デメリットにはそれぞれ何が挙げられるのか解説します。

コンピテンシー面接って何?

コンピテンシー面接とは、求職者の深層心理に焦点を当てて、そこからわかる人間性を評価して採用する面接の方法を言います。コンピテンシーとは、会社の中でも特に業績の良い人の行動特性や思考という意味。従来の採用面接では、求職者の学歴や持っている資格、職歴などを見るでしょう。しかし、必ずしもIQが高かったり、高学歴であったりする人が仕事のできる人だとは限りません。そこで1970年代に登場した考え方がコンピテンシーです。

優秀な業績を出している社員には、IQや学歴に関係なく、共通している仕事への考え方や特性が存在します。この仕事ができる人、企業が必要としている人の特性と共通した部分を持つ人を採用することでミスマッチを防ぎ、企業で活躍できる人材を採用できるのがコンピテンシー面接です。

コンピテンシー面接のメリット・デメリット

コンピテンシー面接のメリットは、面接だけでは見抜けない求職者の特性を見抜ける点です。面接の時間は数分が基本。この短時間で応募者が自分をアピールするのは難しいでしょう。また、高学歴だったり、華々しい経歴があったりしたとしても、仕事のできる人かどうかはわかりません。面接の場では話を盛ることもできるので、優秀だと思って採用してみたら全然面接で聞いていた話と違ったということもあります。それとは逆に、面接で十分に自分を出すことができなくても、実際に採用してみたら企業の第一線で活躍する人材に育ったケースもあります。コンピテンシー面接では人の本質的な部分に着目して面接を行うので、企業で活躍できる人材を見極められます。

また、コンピテンシー面接は特に新卒採用や未経験者採用において活躍します。中途採用ならある程度経歴や実績があり、求職者本人も業界や業務に対して知識を持っているので自分の経歴や持っているスキル、業務の中でも自分の強みとなる部分を詳しく説明できるでしょう。しかし、新卒や未経験者は実務経験が無いので、ポテンシャルやその人の性格から適正を見極めなければいけません。そこで、人間性などただ経歴を見ただけではわからない部分に焦点を当てたコンピテンシー面接なら、企業とのミスマッチを防ぎ、長期的に働いてくれる人材の採用に繋がります。

加えて、コンピテンシー面接は評価基準を事前に定めるので、採用担当者による評価の差が出にくいのもメリットです。従来の面接では、採用担当者と趣味や出身校が同じなど共通点がある人が気に入られやすく、逆に話が盛り上がらなかった人は印象に残りにくいなど、評価に差が出やすいでしょう。しかし、実際のところは採用担当者以外にも様々な人と一緒に仕事をしなければいけないので、採用担当者1人と相性が良いからといって企業との相性も良いとは限りません。そこで、コンピテンシー面接では評価基準を明確に定め、採用担当チームの中でどんな人材を採用したいのか、認識を一致させることができます。

ただし、コンピテンシー面接はメリットばかりではありません。デメリットも理解しておかないと、コンピテンシー面接が失敗に終わる可能性もあります。まずコンピテンシー面接では、モデルを作るために細かい設定が必要なので時間がかかりやすいです。企業の社風や規模、取り扱う業種、ポジションなど様々な条件によって、活躍できる人材に必要な条件は変わってくるでしょう。このようにコンピテンシーモデルは様々なパターンを想定して作らなければいけません。ただでさえコンピテンシーモデルを1つ作るだけでも時間がかかるのに、複数となるとかなりの時間を要してしまうでしょう。

また、コンピテンシーモデルはすでに社内にいる優秀な人材をベースに作っていくのが一般的です。しかし、コンピテンシーモデルになれるような人材がいないと、0からコンピテンシーモデルを作らなければいけなくなってしまいます。何も参考になるような人がいないと、理想が高すぎる、本当に企業に必要な人材の特徴が正確に把握できていない、ということも想定されるでしょう。したがって、コンピテンシーオデルになれる人がいない場合は特に慎重にモデル設定を行う必要があります。

コンピテンシー面接のやり方

それでは、コンピテンシー面接はどのように行われるのでしょうか。コンピテンシー面接の進め方を解説していきます。

コンピテンシーモデルを決める

コンピテンシー面接を始めるにはまずはモデルを決める必要があります。コンピテンシーモデルを作るには、まずモデルとなる人の選定を行い、ヒアリングからモデルとなった人たちに共通する部分を洗い出していきます。

評価・採用基準を決める

コンピテンシー面接の評価基準は5段階で行うのが一般的です。まず第1段階目が受動行動。受動行動とは、人から言われたことを実行する能力を言います。これは働くうえで当たり前のことでしょう。レベル2は任された仕事の中から、そのときにすべき仕事を選定して実行する通常行動を指します。こちらも仕事をするうえで必要なことであり、レベル2を採用基準の最低ラインとする企業も多いです。レベル3は、能動・主体行動に当たります。レベル3では、自発的にやらなければいけない仕事を探して動ける能力を言います。人気の高い企業ではレベル3以上を基準としていることが多いです。

レベル4は課題解決のために自分で工夫して行動する創造・課題解決行動を言います。レベル4をクリアできる人材は一気に減り、全体の5%いれば良い方でしょう。このラインの人材は早い段階からハイパフォーマーとして活躍する見込みがあります。そしてレベル5はパラダイム転換行動。これまでの常識にとらわれない、斬新な発想で周りから賛同を得られるような人材がレベル5に当たります。

面接の進め方

コンピテンシー面接の基準を決めたら、その基準をもとに面接を行います。この際に使われるフレームワークが「STARフレームワーク」です。STARフレームワークとは、Situation(状況)・Target&Task(目的・課題)・Action(行動)・Result(結果)の頭文字を取ったもので、この順に聞き取りを行うことで、求職者の本質的な部分を見極めます。

Situationでは、まず自分が過去に成果をあげた経験を聞き取ります。次にTarget&Taskの段階では、その状況の中でどんな問題が起こっていたのか、自分はどんな立場だったのかなどを聞き、その人の詳しい状況を把握します。Actionの段階では、どのように課題を解決に導こうとしたのか、どんな点を工夫したのかなどを聞き取ります。Actionで聞き取った内容が特にその人の本質や物事に対する取り組み方に繋がるので、特に掘り下げるようにしましょう。そしてResultでは結果だけでなく、周りの反応やその時に感じた改善点なども問います。コンピテンシー面接ではこの4つの項目を繰り返して、その人の人間性を評価します。

コンピテンシー面接で自社と相性の良い人材を採用しよう

コンピテンシー面接では、その人の学歴や経歴に関係なく、仕事に対する取り組み方や人との関わり方など本質的な部分が見えてきます。したがって、従来の面接方法と比べて、企業とのミスマッチを防ぎ、活躍できる人材を見つけやすいです。コンピテンシーモデルの設定に時間や手間はかかりますが、長く企業で活躍してくれる人材を見つけるためにも、ぜひコンピテンシー面接を活用してください。

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