働き方改革が推奨する、多様な働き方の推進において導入したいのが「テレワーク」です。テレワークは本来の勤務地を離れて、柔軟に働くことが可能になるので人材の確保にも役立ちます。そこでこの記事では、テレワークの概要や働き方の分類、導入によって得られる企業側のメリットについて解説してきます。テレワークの導入を考える経営陣や担当者は参考にしてください。

テレワークとは?

総務省が定義するテレワークというのは「ICT(情報通信技術)の活用によって場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」を指します。テレワークという言葉は英語のTELE(離れて)とWORK(働く)を合わせて作られた造語です。その起源は米国ロサンゼルスにて、マイカー通勤による大気汚染とエネルギー消費量の縮減を目的として始まりました。

さらにコンピューターが発達し、女性の社会進出も手伝って一層広まることになります。本来の勤務地を離れて働く従業員はテレワーカーなどと呼ばれます。
現在の日本において総務省が推進するテレワークは、発展した情報通信技術を利用してオフィスから離れた場所ないしは柔軟な勤務時間で働くスタイルにより企業にさまざまなメリットをもたらすものです。具体的に企業が得られるであろうメリットは以下のようなものが挙げられます。

  • 時間や場所といった制約がなくなることにより人材の獲得がしやすくなる
  • 通勤時間の削減などにより従業員のワークライフバランスが実現しやすくなる、ひいては生産性の向上が期待できる
  • 通勤費やオフィスのコストを削減できる、ひいては交通渋滞の緩和や省エネルギーによる環境負荷の軽減につながる

企業に所属する労働者がテレワークをする場合には、就業場所によって主に3つに分類されます。自宅を職場とする「在宅勤務」、施設に依存せずどこでも働ける「モバイルワーク」、比較的自宅に近い地域にある施設を利用する「サテライトオフィス勤務」です。

これら3つのテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス)について、次の項からそれぞれのメリットを順番に解説します。

テレワーク(在宅勤務)導入のメリット

まずは在宅勤務ですが、特に優秀な人材の確保をはじめとして人材不足の解消につながる可能性があります。

在宅勤務はインターネット環境が整った従業員の自宅が勤務場所となります。コミュニケーションを必要とする業務はメールやチャット、電話、ファックスといった通信を利用して行います。会議についてもネットワークを活用したオンライン会議という形で参加することが可能です。ただし、在宅勤務の導入範囲は各企業によって異なり、勤務日や時間は企業ごとに設定されています。

在宅勤務の企業にとってのメリットは、多様なライフスタイルや生活環境の人材を確保できる点にあります。例えば育児や介護といった家庭の事情によって通勤を伴う勤務が難しい人材であっても、在宅勤務を認めることで働くことが可能になるのです。企業は実務経験のある優秀な人材が離職することを防ぎ、採用においてもより豊富な人材の中から雇用することができるため、労働力不足の解消につながるでしょう。

また通勤費や会社で従業員が利用する光熱費や備品の削減にもつながります。完全在宅の場合には従業員に割り当てる職場のスペースを用意する必要がないので、さらにコストの削減になるでしょう。

在宅勤務を導入しやすい職種というのは、ソフトウェア・システム開発などのプログラミング、原稿や論文の執筆・編集、webデザインなどの専門性の高い仕事、データ入力などの事務作業など、比較的自己完結性の高いデスクワークが考えられます。

ただし在宅勤務では労働時間の把握、情報漏洩の対策、コミュニケーション不足などといった課題があります。対策を検討したうえでの導入が望ましいといえるでしょう。次は働く場所の柔軟性が最も高く、生産性の向上が見込まれるモバイルワークのメリットについて解説をします。

テレワーク(モバイルワーク)導入のメリット

モバイルワークでは働く場所を選びません。外出先や時間が一定ではない職種では、柔軟に働く場所を選ぶことにより生産性の向上が期待できるでしょう。
モバイルワークの働き方は、コーワーキングスペースやシェアオフィス、ネット環境の整ったカフェなどの利用はもちろんのこと、交通機関や客先などモバイル端末で通信を確保するなどして業務を遂行するスタイルです。

企業は、従業員がモバイルワークによって移動効率を上げ、より多くの客先を訪問することが可能になれば生産性が向上します。また顧客における商談においても、モバイルワークの端末を利用することにより迅速な情報共有が可能になります。従業員自身も移動や待機の時間を無駄にすることなく業務を遂行できるため、ワークライフバランスを保ちやすい働き方となります。こうした点は求人募集の際に人材を惹きつけるポイントとなるでしょう。また職場にデスクなどが必要なくなるため設備や環境整備にかかる費用の削減も可能になります。

モバイルワークは特に、客先を訪問して移動が多くなる営業や保険の外交員などといった職種で活用したいテレワークの形態です。ただし、モバイル端末が公共ネットワークなどを利用する場合にはセキュリティ対策が必要であることはもちろんのこと、物理的な端末の紛失や盗難のリスクも考えられます。またモバイルネットワークに対応した機器類の支給には初期費用が掛かります。

さて次の項では3つ目のテレワーク、遠隔の施設において勤務するサテライトオフィスのメリットについてご紹介します。

テレワーク(サテライトオフィス)導入のメリット

テレワーク(サテライトオフィス)導入のメリット
サテライトオフィスは在宅勤務やモバイルワークとは異なり勤務場所がありますが、主幹オフィスではなく離れた場所にある2次的なオフィスを勤務場所とします。サテライトオフィスを分類すると主に都市型、地方型、郊外型の3つのタイプがあります。都市型は本社とは異なる都市に置かれる拠点で、どちらかというと事業目的の設置といえます。

郊外型は主に社員の通勤負担を軽減するために、住宅の多いベッドタウンなどに設置します。そして地方型は比較的人口密度の低い地域に設置するものです。社員に多様な働き方を勧めるとともに、災害時などの拠点として機能させる目的もあります。

サテライトオフィスのメリットは、特に地方型においては地域の優秀な人材が確保できる点にあります。また郊外型では通勤時間や満員電車のストレスなどがなくなることにより、従業員の負担減で業務効率が上がると考えられます。加えて、郊外や地方で地価や物価が安いためコストの削減にもなるでしょう。

サテライトオフィスの課題は、前述した2つの方法と同様に、規模や構成にもよりますが勤務評価などが難しいこと、情報漏洩のリスクなどが考えられます、また本社社員と物理的に離れていることによるコミュニケーション不足にならないように、定期的なオンラインミーティングなどを行う必要があるかもしれません。

ご紹介した3つのテレワークは、それぞれにメリットを最大限に生かせる業種や人材に適応すると効果的です。在宅勤務であれば高度な技術や能力を発揮する人材、モバイルワークは外勤の多い職種、サテライトオフィスは子育てや介護世代の人材に適性があると考えられるのでご検討ください。

テレワークによる企業側のメリットを見極める

今後さらに少子高齢化に伴う労働人口の低下は加速する日本の企業にとって、人材の確保は大きな課題です。そこで既存社員の留保、新規の優秀な人材の獲得、コスト削減などのメリットが挙げられるテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
雇用される側にとってもワークライフバランスを保ちやすい環境が用意されているということで、企業のアピールポイントにも繋がります。人材不足の解消には企業側がテレワークへの知識を深め、導入環境を整備していくことが重要です。

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