自分が経営者である場合、自分の意思決定が企業の業績に影響します。状況によっては迅速かつ正確な意思決定が求められるケースも考えられます。そこで役立つのがOODAループ理論です。OODAループを活用することによって、ビジネスの向上が期待できます。そこで今回はOODAループの具体例を紹介していきます。具体例を参考にしながら、OODAループを有効活用していきましょう。

そもそもOODAループとは何か

OODAループを活用するためには、「OODAループとは何か」を理解しておく必要があります。OODAループとは、アメリカのジョン・ボイドという航空戦術家が考案した「意思決定を行うためのフレームワーク」になります。このOODAループは元々軍事に活用されていた理論ですが、政治や教育、ビジネスといった場面で応用されています。「Observer(観察)→Orient(状況判断)→Decide(意思決定)→Action(実行)」といった一連の流れを繰り返していくことで、正確で迅速な意思決定が行えるという仕組みです。経営者がビジネスの中で、このフレームワークを活用することで業績を上げられる可能性があるでしょう。

OODAループの理論を理解していれば、不測の事態が起きてしまっても臨機応変な対応を取りやすくなります。OODAループとの比較対象としてPDCAサイクルが挙げられるケースは多いですが、この2つは目的が異なります。OODAループは新しい事業の状況改善に役立つのが特徴ですが、PDCAサイクルは既存のものを改善し、向上させるのに適しているフレームワークになります。このように2つのフレームワークは全く違うものであるため、優劣をつけるような比較はできないと言えます。
OODAループとは

飲食店におけるOODAループの具体例

飲食店の場合は営業時間の見直しを行う際にOODAループが活用できます。営業時間を見直すことによって、ビジネスの向上が期待できるでしょう。例えば午前11時から深夜2時まで営業を行っている飲食店があるとします。この場合、まずは「どの時間帯に利用客が来るケースが多いか」というデータを取ります。これが「観察」の部分になります。観察を行った結果、「深夜0時以降は利用客が大幅に減る」というデータを得ることができました。そのデータをもとに状況判断を行い、仮説を立てます。この例で言えば、「深夜0時以降の営業をやめることで、人件費を削減できて結果的に利益が上がるのではないか」という仮説を立てるのが良いでしょう。

仮説が決まったら、意思決定を行います。この例の場合は、「深夜0時以降の営業をやめる」というのが意思決定になります。意思決定ができたら、後は実行するだけです。実際に「深夜0時以降の営業をやめる」という行動を取りましょう。これが一連の流れですが、OODAループは続きます。「深夜0時以降の営業をやめる」という意思決定を実行したことで、新しいデータが手に入ります。深夜0時以降の営業をやめた結果、「利益率は上昇したが、食材が余ってしまうケースが増えた」というデータが取れたとします。次はこのデータをもとに仮説を立てて、意思決定を行い、実行するという流れになります。このようにOODAループでは4つの行動を繰り返すことで、ビジネスの改善と向上を目指していきます。
飲食店OODAループ例

商品販売におけるOODAループの具体例

飲食店以外にもOODAループを活用できるケースがあります。例えば商品販売の重要なポイントであるターゲティングの分野では、OODAループを活用できるでしょう。ここでは女性向けの美容化粧品を販売している企業を具体例として挙げてみます。女性向けの美容化粧品を販売している企業の場合、女性をターゲットにするという大きな方針はありますが、「どの年齢層をターゲットにするか」という絞り込みが重要になります。この企業の場合は、20代の女性をターゲットにしています。しかし、「20代の女性からの購入は少ない」というデータが取れています。それと同時に「50代以上の女性には購入してもらえることが多い」というデータが取れました。このデータをもとに考えれば、「価格が20代の女性向けではなかったのではないか」という判断ができます。

また「20代の女性には向いていなかったが、50代以上の女性には適した価格設定になっている可能性が高い」という仮説を立てることもできるでしょう。この仮説から「ターゲットを50代以上の女性に変更する」という意思決定を行うことができます。ターゲットの変更を決めたら、広告やキャッチコピーの変更も行うのが重要です。20代の女性タレントをイメージキャラクターに採用していた場合、「50代以上の女性タレントをイメージキャラクターに採用する」という行動を取るのが有効だと言えます。この行動の結果、「50代以上の女性への売り上げが向上したが、品質に関する不満が増えた」というデータが出たとします。そうなれば次は品質の向上に関するOODAループを行う必要があるでしょう。
商品販売OODAループ例

OODAループを繰り返すことでビジネスは向上する

OODAループは繰り返していくことが重要になります。1つの問題に対してOODAループを活用すると、別の問題が見つかる可能性が高いからです。別の問題が見つかれば、またOODAループを活用しましょう。このように新たな問題に対してOODAループを活用していくことで、その企業のビジネスは向上していきます。特に新たな事業を起こす場合には、OODAループが良い結果を生み出してくれる可能性が高いでしょう。

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