筆者のもやもや

本シリーズは、コンサルタント3年目を迎えるAAC社員である筆者が、日々の業務の中で感じたもやもやをテーマとして取り上げ、課題に対する解決策は何があるのか、筆者や他のコンサルタントたちの経験や論文を踏まえて、筆者の感性が赴くままに検討したものである。本稿は、そんな筆者の感じたもやもやシリーズの第2弾に当たる。

組織・人事のコンサル会社である弊社には、日々、人事制度の改定に関する相談が舞い込む。そして、いざ、人事制度の改定に入る前に、現行の人事制度に関する資料(規程やマニュアル、実際の評価や給与データ等)を頂いて現状分析に入るのであるが、毎回、筆者が思うことがある。なぜ、こんなに丁寧に資料が作られているのに、人事制度の運用に不備が発生してしまうのだろうか。目標設定の仕方、面談の仕方、評価の仕方等々、評価者が人事制度の運用で実施することに関しては、手順や考え方が明記されたマニュアルがある。現行の人事制度が構築された際の説明会資料やアンケートを踏まえると、丁寧な説明を行っているところもあった。しかし、いざ人事制度の運用となると、以前の人事制度の考えに引っ張られたり、業務量が多く、マニュアル通りの運用ができなかったりと、なかなか適切な運用ができない。

ひとえにそれは、人事制度の理解が浸透していないからだと考えられるが、マニュアルや説明資料など、人事制度に対する理解を浸透させるためのツールはそろっているわけである。今回は、以上の筆者のもやもやを踏まえ、人事制度を浸透・定着させるための方策を検討する。

人事制度の浸透・定着を示す状態

人事制度を浸透・定着させるための方策を検討することが主目的ではあるが、その前提として、人事制度が浸透・定着した状態というのはどのような状態を指すのかを整理する必要がある。

人事制度は、一言でいうと、会社からの社員に対するメッセージである。目指すビジョンに対して、どのような人材を求めているか、何を評価し何に対して報酬を支払うのか示したメッセージである。そのメッセージが浸透しているかしていないかによって人事制度の浸透・定着の状態は異なる。メッセージの浸透が図られていない場合、個人の思い込みや好みによって人的管理が成される可能性がある。会社が定めるからには、図1のように、理念や経営計画、部門計画といった経営に関わるような目標を、個人に振り分けたときに、その個人目標の達成度合いを評価し、等級や報酬に反映させるといったような連動性を担保することが必要となる。そして、管理職における人事制度は、個人目標を設定する際の難易度の基準を明確にし、昇格要件を踏まえることで、社員の不足部分に対してサポート・指導を行う育成ツールにもなり得る(図1)。

【図1】人事制度の意義

人事制度に理念・計画との連動性、育成ツールとしての役割があるのであれば、人事制度の浸透・定着とは、人事制度が理念や計画と連動しており、管理職が、育成ツールとして個人目標を設定する際や評価する際に適切に活用している状態を指す。管理職における「適切に」活用している状態とは、人事制度の意図や、人事制度を通して設定された基準を理解し、説明できる且つなるべく個人の主観や価値基準が入り込まないような運用をしている状態である。要は、人事制度の浸透・定着には、理念や計画との連動、管理職の適切な運用が必要となる。

人事制度と理念・計画との連動性を担保するために

理念・計画との連動性が担保されていない状況・要因

人事制度と理念・計画との連動性を担保する方策を検討する前に、人事制度と理念・計画との連動性が担保されていない状態を見ていこう。実際、筆者も人事制度構築の際に、いただいた記入済みの目標・評価シートと事業計画の連動性があるかどうか確認する。たいていは、その連動性は薄く、目標達成したとしても、事業計画の実現・達成には繋がらないような目標が大半である。時には、部門で立てられた計画自体も、スローガンのような曖昧な内容のため、目標設定まで具体化できない場合もある。要は、図1で示した繋がりが途切れているというわけである。

理念・計画との連動性を担保するために

では、理念・計画との連動性を担保するためにどのような方策があるか見ていこう。第1項の内容を踏まえると、理念・計画との連動性を担保するためには、①理念・計画そのものを深掘りし、目標設定のつなぎ方まで検討する、②社員に理解を得られるような伝え方を検討する、以上2つの検討が必要であると言える。

①理念・計画そのものを深掘りし、目標設定のつなぎ方まで検討する

理念・計画そのものがスローガン、いわゆる、具体的な行動が明記されず、社員の共感も特にないまま、ただ、掲げている状況であるならば、改めて、会社として何を目指したいのか、何を実現するのか明確化し、社員に共感を得てもらえるような伝え方を検討する必要がある。たいてい、理念や計画で良いものを作っていたとしても、社員にうまく説明ができていない、あるいは説明機会が少ないばかりに、浸透していない場合がある。弊社では、理念・計画の策定・浸透支援も行っている。本稿では、その中から、検討するにあたり役立つコンテンツを紹介する。

ビジョンブレイクダウン

ビジョンブレイクダウンとは、ビジョンがスローガンになっており、社員から共感を得られていない状況下においてビジョンを実現するための行動が明確になるように具体化を行うコンテンツである。筆者や他のコンサルタントから聞く話として、キックオフでビジョンを共有するものの、いざ業務が始まると、ビジョンよりも目先の業務を達成することに集中してしまうため、ビジョンの実現という視点が抜けてしまうということが挙げられる。具体化の方法として、「ビジョンが実現したときにどのような声がもらえるか?」、「実現を目指す上での課題は何か?」といった質問に対して、答えられるようになるまで、複数人で検討する。要は、ビジョンを掲げた場合、その会社はどのように見られるのか、変わるのかといった将来の状況と、将来の状況を実現する上で発生し得る課題を明確にするのである。目指すべき像が示され、将来の状況を実現する上で発生する課題が浮き彫りになると、次に検討する必要があるのは、その課題を解決するために求められる行動である。この求められる行動を深掘りし、目標設定の内、行動目標に落とし込むことで、理念・ビジョンと設定される目標の連動性はある程度担保される。求められる行動については、「②社員に理解を得られるような伝え方を検討する」に出てくる「センスメイキング」をさらに活用して連動性を担保していくことを推奨する。センスメイキングについては、後程解説する。

・ビジネスモデルパズル

ビジネスモデルパズルとは、VUCAと言われるような変化の激しい時代において、多くのビジネスモデルのプロトタイプを生み出すことができるようなツールである(図2)。

【図2】ビジネスモデルパズル

いくら立派なビジョンを設定したとしても、それをどのように具体的に実現していくのか、いわゆる戦略がなければ、浸透させるための説明材料もないに等しい。そこでビジョンを踏まえた戦略がどのようにビジネスモデルモデルとして実現できるのか整理するための方法論が、ビジネスモデルパズルである。

また、ビジネスモデルパズルは、既存のビジネスモデル構築における一つの戦略に一つの戦術を練るというやり方ではなく、戦略に対して複数の戦術(≒プロタイプ)を同時に作成することができる方法でもあるため、VUCAの時代において、ビジョンをどのように実現するのかという構想に対し、複数の戦術を構築することができる。

・カスタマージャーニー

ビジネスモデルを設定し、ビジョンを実現するための具体策を検討したら、次は、どのように顧客と接点持たせるかというストーリー作りである。本稿では、カスタマージャーニーと呼んでいる。
カスタマージャーニーマップは、顧客と接点を持ち、良好な関係を維持するために自社が取り組むことをいくつかの項目で整理した図である(図3)。

【図3】カスタマージャーニーマップ

潜在顧客と現顧客の段階で、顧客が取ると想定される行動や思考、顧客が自社の製品と接点を持つと想定されるシーンやデバイスを整理し、それぞれの感情の変化を明確にする。ビジョンの具体化は、社員の行動レベルまで落とし込めるように具体化するビジョンブレイクダウンだけでなく、顧客に対してどのようにビジョンを実現していくかという視点で、ビジネスモデルパズル、カスタマージャーニーマップを活用しながら整理していくことが必要である。

②社員に理解を得られるような伝え方を検討する

・ストーリーテリング

ストーリーテリングとは、将来構想やビジョンがなかなか伝わらない状況において行うコンテンツである。ビジョンブレイクダウンで深掘り・具体化させたビジョンをわかりやすく伝えるために、サクセスストーリーを設定し、物語として語れるようにする手法である。理解してもらいたいコンセプトや思いを想起させるようなストーリーがサクセスストーリーとなる。リーダーがサクセスストーリー語ることで、メンバーに対しあるべき組織の姿や、それを達成するためのメンバー自身のあるべき姿をメンバーに思い起こさせることが重要である。ストーリーの構成は、なるべく緩急のコントラストを激しくし、試練や苦労等を具体化して書き、結局ストーリーを通してメンバーが本当に得るものは何か明確に描くことが重要である。簡単に、ストーリーの構成を示したものが図4である。

【図4】ストーリーテリングにおけるストーリーの組み立て方の図

始めは、話し手を取り巻く現状を理解してもらう必要があるため、現状、発生している試練等を話してもらう。次は、その試練に対して自らの力で克服した場合と、支援者の力を借りて克服した場合の2つに分かれる。その試練の克服によって得たのが、話し手の強みとなる部分であったり、会社のロイヤリティに関わる部分であったりする。この一連の流れを通じて、最後は、組織としてどうなったのか、どのような教訓を得たのか纏める。以上が、ストーリーテリングの際に求められる基本的なストーリーの構成である。このストーリーテリングは、上司が部下へ伝えるといった少人数規模での実施もできるが、社長から全社員へ伝える1対マスの場合でも対応できる。

ストーリーが共有された後、次に必要な工程は、語られたストーリーとメンバー自身の経験や過去の出来事を結び付けることである。それは次の、センスメイキングで見ていこう。

・センスメイキング

世間一般的に、センスメイキングは、組織をエナジャイズするために、社員が経験したことや起きている事象に対して、能動的に意味を与えたり、想定外の出来事に意味付けを行ったりし、認知を転換させることで状況を好転させるプロセスであると定義されている。弊社では、それをより方法論的に実施できるように、分断されている個人ビジョンと会社のビジョンから共通点・関連性を見つけ、個人ビジョンと会社ビジョンを融合させる方法であると捉えている。会社ビジョンでいきなり共通点・関連性を見つけるのは難しいため、まずは、そのメンバーが担当している業務と個人ビジョンの融合を見ていこう(図5)。

【図5】センスメイキングの事例

Aさんは、担当業務が倉庫のピッキング業務であり、細かく7つの業務を行っている。Aさんの個人ビジョンは、南の島で喫茶店をやることである。「倉庫のピッキング業務」と「南の島で喫茶店をやること」は、パッと見ると、繋がりが一切ないように捉えられる。では、南の島で喫茶店をやるためには、何が必要なのか、具体的に見ていこう。喫茶店を行う上で、コーヒー豆や喫茶店に必要な道具の知識のインプットは欠かせない。そして、南の島の立地や店を経営するための資金調達等様々な知識が必要となる。そして、材料の仕入れを踏まえ、在庫管理や店舗管理を行い、実際に来店した人には接客を行う。このように、ビジョンを実現するために必要なことを具体的に見ていくと、図5の青い四角で囲われた部分は、Aさんの業務である倉庫のピッキング作業で実際に行っている業務と共通していることに気づく。

以上のように、会社ビジョンにおいても、会社ビジョンを実現するために必要なことを具体化し、その行為に対して、誰の業務が共通しているのか検討することができる。その繋がりが明確になると、会社ビジョンを踏まえた目標が設定できるようになる。

管理職の適切な運用

人事制度が浸透・定着しない管理職の不適切な運用

管理職の適切な運用を担保する方策を検討する前に、管理職の不適切な運用がなされている状態について見ていこう。人事制度の浸透・定着には、管理職の適切な運用が欠かせない。運用が不適切の場合、人事制度そのものが機能しなくなってしまう。そうすると人事制度は、管理職にとって部下を育てる育成ツールになり得なくなる。人事制度の不適切な運用になってしまう要因として、筆者が想定しているのは以下の通りである。

  1. 人事制度の内容を理解しておらず、想定していた設計思想とは異なる解釈で運用されている
  2. 人事制度の内容を部下に説明できない、説明しても伝わらない
  3. 人事制度の運用時に、個人の主観や価値観が入り込み、それを相手に言語化して説明できない

上記3つの要因は、筆者や、他のコンサルタントから聞く、よくある事例である。1番目の要因は、人事制度が浸透していない顕著な事例であり、説明会を実施したところで、なかなか新たな制度の思想は浸透しないことを裏付けている。2番目の要因は、管理職自身が人事制度を理解したつもりになっていたとしても、それを自分の中でかみ砕いて部下に説明できない、説明しても伝わらない状況が想定される。この「かみ砕く」というのは、要は、部下が業務を行う上で関わる人事制度がどのように変わるのかというところで、「部下の業務を踏まえた具体的な説明」が求められるものの、この「具体化」ができないということである。3番目の要因は、人事制度を実際に運用する際に、なぜこの評価になったのか、なぜ昇格したのか、なぜこの報酬金額になったのか、整合性をもって返答することができないということである。1~3の要因は、人事制度の説明会・勉強会や研修を工夫することで、解消し、浸透することが可能になる。では、具体的にどのような工夫を行うのか見てみよう。もちろん、人事制度の具体化は、説明会や勉強会だけではなく、仕組み自体の透明性が担保されずにできないということも起こり得る。とはいえ、仕組みまで着目すると、かなりのページを割く必要が出てくるため、本稿では割愛する。

管理職の適切な運用を担保するために

管理職の適切な運用を担保するためには、人事制度を説明・学習する段階、実際に目標設定や評価を行う前後の段階の2つの段階に対して、何らかの機会を図る必要がある。それぞれの段階から見てみよう。

人事制度を説明・学習する段階

人事制度を説明・学習する際に行われるのは、人事制度説明会や勉強会である。主には説明会が行われると想定されるが、ただ人事制度の変更点を聞くだけでは、なかなか人事制度は見に付かない。何らかの物事を学習するにおいても、ただ教科書を読むだけでなく、実際に学んだことを活用して、ドリルや問題を解くことで、より理解が強化される。つまり、説明会や勉強会においても、ただ、人事制度の変更点を説明するだけでなく、実際に、人事制度を活用する場面を想定した演習を行うことが望ましい。

弊社でも、人事制度勉強会を、等級制度、評価制度、報酬制度それぞれで行うが、必ず、設計思想はどのように変化し、人事制度を実際に活用するシーンを想定した演習を行う。イメージとして、等級制度勉強会の内容を見てみよう(図6)。

【図6】演習も想定した等級制度勉強会(イメージ)

6も踏まえて言うならば、等級制度勉強会は、まず、基本的な等級の考え方や設計思想を学ぶ「認知」のフェーズがある。ここまでは、他の説明会・勉強会と共通である。「認知」を踏まえたら、より、インプットされた知識を「理解/実感」するフェーズとして、部下から問われるだろう質問に対するケースワークや、実際に新制度の等級定義を活用した自己評価、部下評価を行う。もし、等級定義が評価で運用されないのであれば、等級定義に見合うかどうかの判断を踏まえ、自身や部下の育成計画を設定するのも良いだろう。そうすると、人事制度がなぜ、部下の育成ツールとして機能するのかより理解できる。そして次のフェーズが、「伝え方」である。等級制度では、育成計画や、部下への質問に答える際の答え方を実際に、チームで共有してもらい、どのチームの答え方が分かりやすかったか、評価する。

このように説明会・勉強会では、ただ知識のインプットを図るだけでなく、実際に学んだことを活用した演習も必要である。実際に手を、頭を動かすことで、知識をより理解・実感することができる。

実際に目標設定や評価を行う前後の段階

目標設定や評価を行う際に、個人の主観や価値観は入り込みやすい。では、実際に目標設定や評価を行う前に、なるべく主観や価値観が入り込まないような方法や、主観や価値観が入り込むとしても、ある程度は整合性のある理由を言語化して伝えられるようなスキルを学ぶ必要がある。

目標設定や評価を行う前

目標設定や評価を行う前に実施するのが、目標設定研修や評価者研修である。こちらも、説明会・人事制度勉強会と同じように、そもそも目標設定や評価は何のために実施するのかといった意義や新制度の仕組みをインプットする。そして、実際に仮の目標設定を添削してみたり、ケースワークに基づいて評価をしてみたりすることで、目標設定や評価の仕方を学ぶのである。ただし、これだけでは、主観や価値観が入り込まない、あるいは入り込んだとしても合理的に説明はできない。不合理にならないような目標設定や評価の仕方を学んでいるものの、「なぜ、その目標設定を承認したのか、評価をしたのか」といった個人の目標設定・評価の動機について説明できるように整える必要がある。

目標設定や評価を行った後

目標設定や評価を行った後、弊社として推奨しているのは、目合わせ会議である。目標設定であれば、同じ等級、同じ職種等で目標設定の難易度や内容が適切かどうか、評価であれば、寛大化やハロー効果といった評価エラーは発生していないか、個人の基準が強く反映されていないか、他の評価者と目合わせを行う会議である(図7)。

【図7】目合わせ会議

このように、実際に学んだことを目標設定や評価で不合理にならないように活用するだけでなく、他者と基準をすり合わせることで、ある一定程度、整合性を担保することができる。

管理職の人数が多い場合

管理職の人数が多くて、なかなか上記のような、ボリュームのある説明会・勉強会はできないと思われる担当者もいるのではないだろうか。そこで、推奨するのは、人事制度のトレーナーを管理職から選出して育成することである。つまり、本来であれば、人事が担うであろう、人事制度に対する質問や運用の説明を、すべてトレーナーに行ってもらうということである。上記で説明していた内容は、新人事制度を指導する講師に対し、管理職は受け身になることを前提としている。一方、トレーナー育成の場合、育成後に、実際に人事もしくは上長にどの程度人事制度を理解し、説明できるかアウトプットをしてもらうため、トレーナー育成では、自律的に受講してもらうことが前提となる。また、指導する側も、新制度の運用のために必要な知識やスキルだけではなく、知識やスキルを部下に伝達するための教え方や考え方も含めて指導する。

従来の説明会・勉強会の場合は、管理職によって人事制度の理解がばらばらになる可能性があり、質問が人事に集中する。しかし、トレーナーを育成すると、しっかり部下への教え方を学び、実際に指導の仕方も評価してもらうため、制度を理解し、設定された目標のレビューもできることが前提となる。トレーナーは、質問に答え、もし不具合があれば、人事制度のブラッシュアップを図り還元するという好循環も生み出すことができる。

まとめ

以上が、管理職の適切な運用のための方法である。人事制度の定着・浸透には、人事制度の連動性が担保されていること、人事制度の意図を理解し、合理的な運用が管理職によって行われることが求められる。今までの内容をまとめたのが図8である。

【図8】人事制度の定着のために

人事にとってはかなり負担がかかることではあるが、学校のテスト勉強と同様である。簡単に覚えられれば苦労しない。そのためにも、いかにして覚えてもらうか、理解し、活用してもらうかといった工夫が必要になるのである。また、いくら理念・計画を具体化し、評価者に制度を勉強してもらい、スキルを向上させたとしても、二次評価、最終評価で評価調整をされてしまい、全く異なる評価になってしまうという実態があるのであれば、適切な運用はできない。なぜなら、本人が意図した評価と異なるため、フィードバックで、習得したスキルを活用して、評価理由を部下に説明することができないからだ。つまり、次は仕組みの問題となってくる。フィードバックにおいて活用する評価は何とするか、一次評価者の評価がほぼ最終評価となるように、評価者の権限をどの程度与えるのか…。仕組みでは、人事制度における平等や公平に基づく整合性が求められるようになる。仕組みの問題まで触れると、かなり頁を割くため本稿では割愛する。気になる方は、ぜひ前回の筆者のもやもや、「人事制度における平等・公平とは何か」を読んでみてほしい。

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