企業の業績や社員のモチベーションを高めるためには、「働き方改革」が重要とされています。ただし、現在の課題に対応しながら、長期的な環境の変化にも対応できる組織改革が必要です。組織改革では、人事に関連することから考える場合が多いです。ここでは、組織改革や人事における改革方法で大切なことをご紹介していきます。

組織改革では「人事組織戦略」が重要!

組織改革とは、企業を取り巻く環境の変化に対応するため、組織の構造を変えていくことです。企業が継続的に成長するためには、定期的に組織改革をすることが求められます。少子化と高齢化が進む中で、働く人数が減少すると予測されています。そして、長時間労働や人手不足・生産効率の低下など、改革すべき問題が多数ある企業も増えています。そのため、働き方改革の一つとして、組織改革や人事における改革が推奨されています。組織改革では、数年後だけでなく数十年後にも対応できる改革が必要です。つまり、企業が持続的に成長するためには、人手不足や生産効率についての課題と解決方法を考え、早い段階で改革を進めていくことが必要になります。

環境の変化にも対応できる組織改革をする場合、新しい人事のあり方を考える必要があります。それを「人事組織戦略」と呼び、企業や組織全体の業績や作業効率を上げることが目的です。人事組織戦略では、人事部が各部門と連携しながらビジネスマネジメントをすることが必要になります。そして、社員を適材適所に配置することで、効率の良い作業が可能です。人事組織戦略では経営戦略だけでなく、「人材管理」を重要視しています。人材管理を適切に行うことで、目的に応じて迅速な人材配置が可能になります。人材管理は採用の時点から継続的に行い、社員の知識やスキル・取得した資格も含めた管理をしていきます。

人事制度の改革方法とは?

人事制度を改革する際には、人材育成や活用方法・評価などのルールを決め直すことが大切です。まずは、「どのような人材を求めているのか」を明確にしましょう。その後、「どのような人材に育ってほしいか」を決め、継続的な人材育成の方法を考えることが必要です。すでに能力がある人を雇うこともありますが、意欲が高い将来性のある人材を育てることは企業の成長にも繋がります。また、「評価できる事柄や評価方法」も明確にしておくと、人事評価がしやすくなるでしょう。人事評価では、公平性と合理性がある評価を行い、社員のモチベーションを高めることを重要視します。

人事制度を改革する時の流れとは?

人事制度を改革する時の流れとは?
ここでは、人事制度改革で必要な7ステップをそれぞれ解説します。

1.基本事項を確認して設計を立てる

最初に基本事項として、企業の経営理念や戦略・今後のビジョンなどを確認します。どのような経営を目指すかによって、必要な能力や人材が見えてくるでしょう。基本事項が明確になっていないと、企業が目指す将来像が分かりません。企業理念や目標をしっかりと決めている企業は多いですが、変わっていく環境に対応できる目標を再度考えてみましょう。

2.現状の把握をする

人事における現状把握として、社員との面談やアンケート回収などを行います。まずは「社員にモチベーションはあるのか」「希望する部署に配属されているか」「人事制度や評価に不満はあるか」などを聞いてみると良いでしょう。社員からの不満が多いと、企業の業績は伸び悩んでしまいます。そのため、現状の把握をしっかりと行い、社員の意欲が高まる人事配置にし直すことが大切です。また、改革をしなかった場合、どのような影響が出るのかも話し合います。改革をしなかった時のシナリオとして、「数年後の売上は何%減るのか」「閉鎖する部署はあるのか」などを事実に基づくデータとして出すことも必要です。

3.課題や現状とのギャップについて考える

「基本事項の確認と設計」と「現状の把握」で出た内容を比較し、現状とのギャップについて把握します。そして、「なぜギャップが発生しているのか」を働き方や人事配置などから考えましょう。その後、ギャップの解消方法を考え、課題として抽出していきます。課題が見えてきたら、解決するための案を出します。解決案は経営陣だけでなく、社員にも聞いてみることをおすすめします。適切な人材配置や人事評価について、社員目線の意見は参考になるでしょう。

4.基本設計をする

課題と解決策を踏まえた人事制度の基本設計をしていきます。その際、部署の数自体を変えることも可能です。作業効率が高まる部署やチームを設置し、適切な人材配置をするための基本設計を考えます。また、実現可能な範囲で基本設計をすることが大切です。社員が納得し、実現してほしいと望まれるビジョンにすると良いでしょう。

5.社員へフィードバックをする

基本設計をしても、すぐに新しい人事制度を始めるわけではありません。社員へフィードバックし、さまざまな意見を聞いてみましょう。社員の意見を取り入れた人事制度を実施すると、社員の意欲を高められます。また、「社員目線で運営している」という想いが伝わり、企業への愛着心を持って仕事をしてくれるでしょう。しかし、人事制度の改革では反対者が出ることも多いです。反対者や協力しないという人からは「なぜ反対しているのか」をしっかりと聞き、意見を詳細設計に取り入れる努力をしましょう。

6.制度の詳細を設計する

社員からも意見を聞いた後は、制度の詳細を設計します。人事評価制度では「能力評価」「業績評価」「態度評価」など、数種類に分けて評価することがポイントです。評価方法を細かく分けると、適材適所に人事配置されているかの把握がしやすくなります。また、賃金制度や昇進制度・昇格制度についても、詳細設計をしましょう。人材育成方法についても、明確にしておきます。詳細設計ができてから実現するまでには、社員が変更点などを理解できる取り組みが必要です。面談やミーティングなどで直接伝え、理解しているかを確認すると良いでしょう。また、繰り返し伝えるためには社内報やスピーチを活用し、さまざまな場面で伝えていきます。

7.制度を導入し分析する

新しい人事制度を導入してからは、定期的に分析をします。まずは「社員のモチベーションが高まったのか」「無駄な人材配置や作業をしていないか」などを確認しましょう。人材育成では、「育成までの効率は高まったのか」をデータなどで示します。そして、「企業全体の業績向上に繋がりそうか」まで分析できるのが理想です。分析だけで終わらず、必要な時には制度の変更を検討しましょう。社員へ成果を伝えるためには短期的な結果でも構いませんので、定期的に分析内容を発表します。結果が出ていることが伝わると、社員の組織改革や人事改革へのモチベーションを高めることに繋がります。

組織改革や人事制度改革をする時には専門チームを立ち上げよう!

組織改革や人事制度改革をする時には専門チームを立ち上げよう!
組織改革や人事制度改革をする時には、改革を担当する専門チームを立ち上げるのがおすすめです。チームのメンバーは経営者や人事担当者だけでなく、それぞれの部署からも数名入ってもらうのが望ましいです。メンバーを決める時には「改革における専門知識がある人」「リーダーシップがある人」「影響を与える地位やスキルが高い人」「社内でのコミュニケーション力や信頼が高い人」などを集めましょう。また、20代や30代の社員の意見を聞くためにも、若手社員などをチームに入れるのも手段です。万が一、社内だけで専門チームを作るのが困難な時には、経営戦略などを考えてくれるコンサルタントを活用するのも良いでしょう。

人事組織の改革について理解し、導入してみよう!

組織改革を進めるためには、人事組織の改革について考えることが大切です。まずは、現在の人事配置や評価などを振り返り、課題や理想とのギャップはないかを確認してみましょう。そして、人事制度の変更をする時には専門チームを立ち上げ、多くの意見を聞きながら改革することが必要です。人事組織の改革が成功すると、組織改革もしやすくなります。この記事を参考に、人事組織改革について検討してみましょう。

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