経営者や人事担当者の仕事は、人材を採用するだけではありません。人材を適所に配置し、知識や能力を十分に発揮できるサポートもするといいでしょう。その際に必要なのが人事戦略です。これから、人事戦略の概要や戦略の立て方をご紹介します。また、要員計画やタレントマネジメントなど、人材の配置や育成に関する用語もご説明します。

人事戦略とはどのようなもの?

人事戦略とは、企業が設定した経営戦略に沿って、人事関連業務を遂行させるために立てるものです。採用だけでなく、育成や配置・人事異動などを通して、効果的に業績を高めるための戦略を考えます。人事戦略を立てるメリットは、企業にとって最適な採用戦略や人材育成方針を導き出せることです。事前に企業の課題が出せれば、それを解決できそうな人材の採用や育成ができます。また、経営陣が求める人材や今後の企業の方向性が明確になり、企業に合った人を採用できるのです。しかし、そのためには人事戦略を明確にしていないと、人事採用のミスマッチが増え、離職率が高くなる場合もあります。

人事戦略を立てる前に考えることとは?

人事戦略を立てる際には、企業理念や経営戦略・今後のビジョンを明確にすることが大切です。まずは、経営陣の考えをまとめていき、それに沿った戦略を人事担当などが考えていきます。例えば、「2年後に売上を倍にする」という経営目標を出した場合、それを実行するために必要な人員計画を立てていくのです。その結果、人材採用や配置・育成などを、適切に行いやすくなります。また、業界や世の中全体の動向を踏まえた経営戦略や人事戦略を考えることも必要です。残業時間の規制や労働基準法の改正など、社会の動きや傾向に合う人事戦略を立てましょう。

グローバル化やIT化・少子高齢化などの社会背景をもとに、経営戦略を立てる場合もあります。IT技術やロボットなどの活用ができる場合は、積極的に取り入れるのも手段です。そして、IT技術などの専門知識を持っている人の採用や育成に力を入れます。即戦力になる知識や能力がなくても、興味がある人に教育の機会を与えることも必要です。人事戦略では人材育成にも力を入れ、企業全体の知識や能力を上げていきます。

人事戦略の立て方とは?

人事戦略を立てる時の流れは「目標決め」「課題を出す」「解決方法を考える」です。この3つの詳細をご説明します。

経営戦略をもとにした人事関連の目標決め

人事戦略の成功は、経営戦略が実現できることです。よって、事前に考えた経営戦略をもとに、人事関連での目標を決めましょう。例えば、「2年後の売上を倍にする」「従業員それぞれが能力を発揮できる職場にする」という経営目標を立てたとします。人事戦略と経営戦略は繋がっていて、人事戦略が達成できると、経営戦略も実現しやすいです。つまり、従業員の能力を発揮できる職場作りを意識していると、売上や業績が上がる環境になります。

目標に沿った人事課題を出す

具体的な目標が決まった後は、人事課題を出します。組織体制や人員構成・従業員の評価などをまとめ、検証することが必要です。検証をしていると、「人数が足りない部署」「全体的に意欲が低い部署」などが把握できます。そして、それらを人事課題としていくのです。「従業員エンゲージメント」を確認するのもいいでしょう。従業員エンゲージメントとは、企業の方向性に従業員がどれだけ共感しているかです。また、企業への信頼度なども関係しています。従業員満足度やモチベーションは、アンケートや面接などで確認することが可能です。

課題を解決するための方法を考える

人事課題で改善したい内容を決めていき、その解決方法を考えます。まずは、人員採用や異動などをして、人数が少ない部署や意欲が低い部署の改革からしましょう。それらの問題があった部署は、業務内容や業務量・企業の方針に不信感を持っている可能性があります。問題を解決していくことで、従業員エンゲージメントも上昇しやすいのです。また、人事採用や異動の後は、人材育成をしっかりと行います。採用から育成・キャリア支援など、従業員が定年退職するまでの全体設計をしていくことも大切です。

人材戦略を立てる際には、経営陣と従業員が共通の認識を持てることを意識しましょう。従業員に共感されない戦略を立てても、意味がありません。実行する従業員が納得できていないと、前に進まないからです。よって、採用や異動・人材育成に関する内容を、経営陣や人事担当がしっかりと説明します。また、現在の状況や仕組みを確認して、無理のない人事戦略を立てることが大切です。予算や人材育成をする人が限られていることもあるので、経営陣と相談や交渉をする場合もあります。

要員計画とは?

要員計画とは、事業計画に沿って策定する人員計画のことです。採用や人材配置・異動・能力開発に関する計画を立てます。人事戦略を立てる際の重要事項として、要員計画を作成しましょう。人材採用では、どのようなスキルを持った人を何人採用するかという計画を立てます。スキルがなくても、将来的なポテンシャルが高い人を採用しても構いません。どのような人材が欲しいかを考え、それに合う人を見つけ出すのです。また、雇用形態として、正社員や派遣社員・パートなど、さまざまな雇用方法があります。経営戦略や人材にかけられる予算をもとに、どのような雇用形態にするかも検討しましょう。

要因計画を立てる前には、要員調査をするのが望ましいです。要員調査では、企業全体の要員ニーズだけでなく、職場や部署ごとのニーズも調べます。従業員からのヒアリングやアンケートをもとに、人材不足や人材余剰などを把握するのです。要員計画を実行している時には、要員管理も必要です。勤怠管理や人材評価・雇用計画などを管理し、「要員計画が適正に実行できているか」「人事戦略に沿っているか」などを確認します。手作業での要員管理は手間がかかるため、人材管理システムやツールなどを用いて、全体的に管理するのもいいでしょう。

タレントマネジメントを知り、適切な人材育成をしよう!

人事戦略を考える上で、タレントマネジメントを重要視する企業が増えています。タレントマネジメントとは、従業員それぞれのスキルや潜在能力を把握し、個々にマネジメントしていくことです。それぞれの性格や得意分野・将来の目標などをもとに、適正な育成をして、適材適所への配置を目的にしています。タレントマネジメントを強化することで、従業員それぞれが最大のパフォーマンスをしやすくなるでしょう。その結果、人材不足や意欲の低下などの問題を解決しやすくなり、企業の業績も上がりやすくなります。

タレントマネジメントを行う前には、「短期的な目標」と「長期的な目標」を立てます。短期的な目標は、すぐに実行できる異動や評価・賞与のアップなどです。長期的な目標は、人材の育成や定着になります。タレントマネジメントでは、人材が定着するための活動も重要です。従業員それぞれに合ったキャリア支援や研修参加をしていきます。また、タレントマネジメントを始める際には、指導者や管理者・リーダーになる人からマネジメントを始めるのも手段です。指導者やリーダーの能力が高くなると、それについていく従業員の能力や意欲も高くなります。

人材配置や育成・管理について理解し、企業の力を上げよう!

人事戦略がうまくいくと、経営戦略も成功しやすくなります。よって、要員計画やタレントマネジメントを活用し、人事戦略を達成していくといいでしょう。適正な人材配置や育成・管理ができると、企業全体の業績や評価も高くなっていきます。また、従業員のパフォーマンスを最大に伸ばしていき、能力や意欲を高める人事戦略を立てていきましょう。

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