IT化が進む現代社会ではビジネスシーンで先進的なシステムが活用されるケースも多いです。中でも「RPA」と呼ばれる技術は多様な分野で導入が進められており、各界の企業から注目を集めています。あらゆる業界で必要となる人事関連業務においてもRPAは有効性が確認されており、多くの企業が導入によって効果を上げているのです。今回は人事部での活用に焦点を当ててRPAについて解説していきます。
RPAとはどのようなものなのか
RPAは「Robot Process Automation」の略称であり、日本語では「ロボットによる工程自動化」などと訳されています。ロボットとは言うものの実体は持たず、ソフトウェア上で動くシステムです。RPAは単純作業の反復や内容がある程度決まっている定型的な業務の遂行に適しています。そのため事務作業が多い人事部はRPAが有効活用出来る場として注目を集めているのです。RPAを活用する場合は予め業務遂行における指示内容となるシナリオを組み上げ、状況に応じて正しく動作するように設定しておきます。社内PCに直接インストールして使用する「デスクトップ型」、自社サーバーに導入する「サーバー型」、インターネット上のシステムを活用する「クラウド型」など様々な種類が展開されているので自社にマッチしたものを選びましょう。
導入のメリット・注意点
メリット1 業務効率化
メリット2 生産性向上
メリット3 ヒューマンエラー防止
注意点1 システムセキュリティ
注意点2 担当者の必要性
RPAは一度シナリオを組み上げてしまえば、その後は業務が自動化されるので人間の手作業は必要ありません。ただし、作業内容のアップデートやシステムメンテナンスなどの運用業務については話が別です。基本的には高度なITスキルを必要とせず業務の自動化が可能なRPAですが、運用業務で設定を行う際にはある程度の専門知識が要求されます。したがって、自社内で運用を賄う場合は技術と知識を備えた担当者を用意する必要があるのです。なお、クラウドタイプの場合は一般的にシステム提供元が保守・運用業務を行います。
人事部での活用事例
RPAが実際の現場でどのように活用されているのか気になる人も多いでしょう。ここではRPAの活用シーンやアイデアなどを列挙して紹介するので、導入の参考にしてみてください。
勤怠管理
勤怠時刻や有給休暇の取得に関する管理業務は、RPAで自動化する事によって人事部の負担を軽減させられます。毎月の締め日には各従業員の1ヶ月分の勤務時間を集計し、給与計算・明細書作成・振込みまでを自動化させる事が可能です。残業時間や休日出勤が多い、有給消化率が少ない従業員へのアラートを設定しておけば過重労働抑制にも繋がります。
従業員情報の管理
従業員が引っ越して住所が変更になった、あるいは連絡先が変更になった際のデータ反映もRPAによって自動化出来ます。住所変更1つを取ってみても交通費の再計算や書類送付先の変更など、やるべき手続きは少なくありません。RPAシステムで変更範囲を設定しておけば、担当者は面倒な手続きから解放されます。
派遣社員の更新
派遣社員を多く抱えている企業では、契約更新業務の負担も大きくなりがちです。しかしRPAを活用すれば就業条件や契約内容が変更となるタイミングで自動的に更新してくれます。もちろん、該当する従業員への通知も自動化されているのでヒューマンエラーによる連絡漏れが発生する心配はありません。
人事評価
人事部の大きな役目の1つとして、各従業員への適切な評価・査定が挙げられます。従業員と管理職で共通の評価シートを用いて行われる人事考課では、各従業員への評価シート送付および提出管理が必要です。RPAでは評価シートの作成からメールでの送付、さらには集計業務から面談スケジュールの調整まで自動化させる事が出来ます。
採用活動
企業にとっての生命線とも言える採用活動でもRPAが活躍するシーンは少なくありません。例えばスコアリングを用いて応募者の合否を判定する場合には、得点の集計作業を自動化させる事が可能です。応募者への結果通知や面接日程の調整、およびそれに付随する連絡業務や入社手続きの一部もRPAで対応可能となっています。
報告書作成
管理職や経営層では定期的に現場からの報告書をチェックして、社内の状況や業績を事細かく把握しておく事が重要です。業務内容的には総務部の管轄となりますが、現状では人事部が総務部の業務を兼ねている(あるいは総務部が人事部の業務を兼任している)というケースも珍しくありません。RPAを活用してデータの集計からグラフを用いた資料作成を自動化させている企業も多いのです。
効果的に運用するためのコツ
RPAはその恩恵の大きさから多くの企業で導入が進んでいるシステムです。上手に活用して現場での効果を最大限に引き出すためには以下のようなポイントを押さえておきましょう。
導入の目的は明確にしておく
RPAはあくまで業務を自動化するための「手段」であり、導入する事そのものが「目的」ではありません。重要なのは社内のどの業務を、何のために自動化させるのかを明確にしておく事です。そのためにはまず社内の業務フロー全体を把握して、課題を抱えているポイントを洗い出しましょう。社内でアンケートを実施して自動化して欲しい業務を募るというのも有効です。
スモールスタートを心がける
RPAの導入は従業員の負担を軽減させる事が出来ますが、慣れないうちは現場が混乱するケースも少なくありません。いきなり多くの業務を自動化させてしまうと、かえって従業員にストレスを与えてしまう事もあります。まずは極めて単純な作業1つから自動化を始めて、着実に現場で効果が出るようにしましょう。
運用は属人化させない
RPAで業務の自動化・効率化を実現出来たとしても、トラブルの際に対応出来る人間が限られていると緊急時のダメージが大きくなります。導入するシステムはなるべく操作や設定が簡単なものを選び、保守・運用業務を属人化させない事が大切です。最低限必要な知識や操作方法はマニュアル化して、現場でいつでも閲覧出来るようにしておきましょう。
正しくRPAを活用して人事部の業務効率化を実現しよう
人事部は多くの情報を扱う部署であり、その1つ1つが重要な意味を持っています。業務過多によるヒューマンエラーは企業経営の屋台骨にヒビが入る事態にも繋がり兼ねません。単純作業で自動化出来るものに関しては、RPAを上手に活用して人事部の生産性を高めていきましょう。導入後の保守・運用は現場の声をしっかり汲み取りながら行うのがポイントです。
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