人事が知っておきたいコンピテンシー。評価項目の例とは?

人事担当者にとって、部下をどのように評価していくか考えるのは大きな課題です。そんな中、社員の評価に「コンピテンシー」を導入する企業が増えてきています。とはいえ、日本ではあまり馴染みのない制度なので、闇雲に取り込んでも上手くいきません。コンピテンシーとは何なのか、どのように活用していけばいいのかについて確認していきましょう。

コンピテンシーとは

「コンピテンシー(competency)」とは、優れた成果を発揮する人に共通して見られる行動特性や考え方のことを言います。元々1950年代に心理学用語として生まれた言葉で、その後研究が進むにつれ、優れた業務遂行能力を持つ人には行動や考え方に共通点が見られ、学歴や知性はむしろ業績とはあまり関係がないということが判明します。その結果コンピテンシーは人事用語として広がり、日本企業にも2000年前後から導入されることになったのです。

優れた業務遂行能力を持つ人のことを、ハイパフォーマーと呼びます。ハイパフォーマーの行動特性を把握することができれば、それを基に人事評価や人材育成、採用面接などを行うことができます。更に、社員の能力を客観的に把握することで最適な人員配置を行うことができたり、評価基準が明確になることで待遇の根拠を示せるようになり、社員は納得した上で自分の待遇を受け入れられるようになるのです。

コンピテンシーモデルとは

コンピテンシーは概念です。そのため、人材育成や評価に活用するためには、具体的なモデルを作成する必要があります。コンピテンシーモデルには3つの種類があります。まず「理想型モデル」です。理想型モデルは、企業にとっての理想の人物像を基にモデルを設定していきます。実在の人物は必要なく、求人広告などに掲載している「我が社が求める人材」をよりブラッシュアップしていく形になります。とはいえ、あまりにも高い理想像を作り上げるのは避け、現実的に達成できるようなモデルを設定することが必要です。

2つ目は「実在型モデル」です。企業内で実際に働いているハイパフォーマーを基にモデルを設計していきます。会社にとって理想的な従業員、周囲から一目置かれている人をモデルとして採用することになるでしょう。実際に働いている人がモデルになるので、成果のイメージがしやすく、評価を受ける他の従業員も納得しやすいことが多いです。

3つ目は「ハイブリッド型」です。理想型モデルと実在型モデルを融合させ、実在型をブラッシュアップしてより理想に近い人物像を作り上げて行く形になります。全ての社員はもちろん、ハイパフォーマーにとっても学べる点が多いモデルです。ただしブラッシュアップをやり過ぎるとやはり実現不可能なモデルができあがってしまうので、適切なチェックが必要になります。

具体的な評価項目

コンピテンシーモデルを明らかにした後は、評価項目を分類し、指標を定めることで人事評価に活かすことができます。設定すべき評価項目はそれぞれの組織の目標や特性によって異なるため、定型はありません。とはいえゼロから項目を作っていくのは難しいので、通常は「コンピテンシーディクショナリー」と呼ばれる項目分けを参考にしながら設定を行っていきます。項目はかなり細かく細分化されているため、設定には相応の時間が必要になります。ここでは具体例として「自己認知能力」「第一印象度・プレゼンテーション能力」「チャレンジ精神」「業務遂行力」「「戦略志向」などを見てみましょう。

「自己認知能力」とは、自分の能力や言動を客観的に認知する力のことです。自信があり過ぎて自分の力を過信したり、逆に極端に自分に自信がなく過小評価を繰り返すようでは、業務遂行能力を高くすることはできません。自分の能力や言動を正しく理解し、自分の行動が周囲にどう影響するかを理解することは、社会人として必要とされる能力なのです。思いやりや誠実さもこの項目に含まれます。

「第一印象度・プレゼンテーション能力」は、主に顧客からの信頼を得るために必要になる能力です。初対面の人間にも好印象を与え、顧客のニーズを正しく読み取り課題を解決するための案を提供するための力となります。「チャレンジ精神」はその名の通り、新しいことに挑戦していく能力のことです。企業が成長していくためには欠かせないもので、職種や役割を問わず全ての従業員に求められるものです。

「業務遂行能力」は、計画性や安定運用などが含まれます。ビジネスの場においては、ヒト・モノ・カネを如何に回していくかが重要になります。迅速かつ適切な業務遂行はどの現場でも重要視されることでしょう。特に管理職には不可欠の能力です。「戦略志向」は、何か課題が発生した際に問題を分析し、原因を追及できるかを問うものです。特にクリエイティブな職種や企画・提案職に求められる能力で、問題解決のための具体策を導き出せるかどうかが問われます。

コンピテンシーを人事評価に活かす

設定された評価項目に基づいて、人事評価を行うことができます。コンピテンシーを用いた人事評価のメリットは、他の評価制度に比べてブレが少ないことです。従来の人事評価制度では、「責任感」「協調性」「積極性」など抽象的な項目が用いられており、基準も曖昧で評価する人間の主観に左右されやすい面がありました。コンピテンシーを用いた評価は、評価項目が具体的かつ明確なので評価しやすく、社員側も評価に納得しやすいという利点があります。更に目標とするモデルがはっきりしているため、モチベーションを高めやすくより効率的に能力を発揮することができます。

コンピテンシーを面接に活かす

コンピテンシーは面接にも活かすことができます。従来の面接は、面接官の主観や感情と言ったバイアスがかかりやすく、思ったような人材を獲得できないことが多くありました。コンピテンシーを用いた面接では、従来の面接とは異なり、応募者に対し過去の経験に関する質問を繰り返すことで、行動動機や思考回路、実務能力を判断する手法となります。企業が求める行動特性を、応募者が持ち合わせているか客観的に判断することができ、かつ深く掘り下げていくことで価値観なども正しく評価することができるのです。また面接官は事前に自社が求める行動特性を共有した上で面接を行うため、評価者による評価のブレも起こりにくくなります。

コンピテンシーの課題

コンピテンシーももちろん万能ではなく、いくつかの課題が指摘されています。特に課題とされるのが、導入までにかかる時間です。コンピテンシーを把握するためには、社員へのヒアリングを十分に行わなければなりません。しかもそれを職種や役割ごとに行わなければならないので、その時間を如何に作り出すかは大きな課題となります。また、評価のための項目がかなり細かくなるため、評価者にとっての負担になる点も指摘されています。また、こうしたコストをかけたとしても、すぐ成果が現れる訳ではありません。従業員の志向や行動が変わるには一定の時間がかかるため、根気強く長期的に運用する必要があります。評価項目についても一度作り上げたらそれで終わりではなく、自社や業界の状況、経営方針に合せてメンテナンスや改訂を行っていく必要があります。

コンピテンシー活用には、項目設定が重要

コンピテンシーを人事評価や面接に活かすことには大きなメリットがありますが、課題もあります。特に自社にあったコンピテンシーモデルを設定し、評価項目を決めていくにはかなりの時間がかかります。長期的に運用する必要がある制度なので、まずは導入事例なども参考にしながら、自社に導入できるかどうか検討するようにしましょう。

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