従業員の心を守ろう!企業にできるメンタルヘルスケアの方法とは?

2020年代に入り、ハラスメントや過剰労働について日本社会全体で見直していこうとする風潮は強まっています。企業の人事担当者や経営者にとって、従業員の心を守るための「メンタルヘルスケア」は必須だといえるでしょう。悩める従業員が気軽に相談できる仕組みを、企業側は作っていかなければなりません。この記事では、企業におけるメンタルヘルスケアの重要性と方法を解説していきます。

最初のステップ!経営者や人事担当者がメンタルヘルスケアの重要性を理解しよう

実際にメンタルヘルスケアを実践していくなら、経営者や人事担当者がその重要性を理解しなくてはなりません。まずは、メンタルヘルスケアの意義を紹介していきます。

企業には従業員の安全を守る義務がある

そもそも、企業は従業員の健康と安全を守らなければなりません。こうした義務を「安全配慮義務」と呼び、労働契約法によって定められています。さらに、労働安全衛生法でも、従業員の安全の確保が定められています。企業を健全に経営するうえで、これらの法律の厳守は不可欠です。もしも企業が法律を無視して、従業員の健康や安全を損なった場合、多額の損害賠償請求を受ける可能性も出てくるのです。

働き方改革関連法の影響

2019年、働き方改革関連法が施行され、日本の労働者の働き方に変化が訪れました。これまでは企業や労働者の裁量によるところが大きかった時間外労働が規制され、有給休暇にも取得義務が発生するようになったのです。それらに加え、働き方改革関連法ではメンタルヘルスへの言及もなされています。企業が従業員の精神衛生を保ち、心の問題に対処していくことの重要性はますます高まってきました。

メンタルヘルスケアは結果的に生産性を向上させる

生産性の面からみても、メンタルヘルスケアには大きな意味があります。従業員がストレスを抱えたまま働いていると、目の前の作業に集中できません。会社を休みがちになり、ときには離職してしまう従業員も現れるでしょう。人材が定着しないと企業のノウハウは継承されず、組織力の弱体化につながります。優秀な人材を囲い込み、企業の生産性を向上させていくためにもメンタルヘルスケアは大切なのです。

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メンタルヘルスケアは段階的に実践!具体的な方法とは

企業におけるメンタルヘルスケアは「予防」「早期発見」「復帰支援」の3段階に分かれます。以下、それぞれの方法を詳しく解説します。

予防

従業員のストレスを企業側が把握し、問題化する前に対処することが「予防」です。基本的には、ストレスチェックによって従業員の精神状態を調べます。ストレスチェックとは、従業員のストレスの度合いを確かめるための複数の設問です。定期的にストレスチェックを行えば、従業員の精神状態の異常に気付きやすくなります。そのほか、ストレスがもたらす影響や緩和ケアの重要性を伝える研修も効果的でしょう。

早期発見

もしも従業員がメンタルヘルスに変調をきたしても、企業側が早い段階で発見すれば対処しやすいといえます。「早期発見」はメンタルヘルスケアの第2段階です。早期発見を実現するには、産業医と連携して従業員の面談を行うことが理想です。特に、従業員が50人以上いる職場では、産業医を選任することが義務付けられています。そのほか、悩み相談の窓口を設置したり、メンタルヘルスケアを担っている外部サービスを従業員に紹介したりする方法も早期発見につながります。
このとき、役立つのがEAP(Employee Assistance Program)と呼ばれる従業員支援プログラムです。産業医や外部サービスの協力のもと、EAPが見える形で存在していれば、従業員は気軽に助けを求めやすくなります。

復帰支援

メンタルヘルスを病んでしまい、休職した従業員には長期的な「復帰支援」が必要です。これが第3段階のメンタルヘルスケアです。そのためには、休職中の従業員のフォローを定期的に行わなくてはなりません。休職で誰も迷惑しておらず、「まずは健康になること」が大切なのだと言い聞かせます。本人が不安や焦燥を感じず、集中して休める環境を整えましょう。周囲が求職者に理不尽な怒りを向けないよう、職場の協力を求める研修も必要です。復職後も上司や人事担当者が本人をケアし、無理をしないよう見守っていきます。

よくある間違い!メンタルヘルスケアを行う際の注意点

メンタルヘルスケアでは、経営者や人事担当者が犯しがちな間違いもあります。以下、メンタルヘルスケアの注意点について解説します。

社内だけですべてを抱え込まない

人の心は専門家でないと判断できない部分が少なくありません。それにもかかわらず、従業員だけでメンタルヘルスケアを行おうとすると、どうしても無理がでてきます。間違ったケアで従業員の心を傷つけ、ストレスを悪化させるケースもありえるでしょう。メンタルヘルスケアは産業医、衛生管理者、保健師といった専門家と提携し、相談しながら進めていくことが肝心です。

ストレスを抱えていない人にも理解してもらう

企業内のメンタルヘルス研修は、ストレスを抱えている人だけが対象ではありません。ストレスがなく、心身共に健康な人にも研修を実施しましょう。なぜなら、誰かがメンタルヘルスに変調をきたした場合、周囲がサポートすることになるからです。その際、メンタルヘルスケアに理解がない人は相手に共感しにくく、協力的になってくれない可能性があります。企業全体で正しいメンタルヘルスの知識を共有できるようにしましょう。

NGワードを言わないように

休職者に対しては、絶対に言ってはならない言葉がいくつかあります。「がんばれ」「早く帰ってきてくれ」と、本人の努力をうながす言葉はかけないようにします。これらの言葉は休職者の焦りをつのらせ、余計に精神状態を悪化させかねません。休職者は努力ができなくなったから休んでいる状態なので、まずは気兼ねなくのんびりできる環境を整えてあげましょう。さらに、「君は間違っている」「僕はそうは思わない」などと、休職者の考えを否定するのも厳禁です。相手の話をしっかり聞き、思いを受け入れてあげるところから始めます。

マインドフルネスとは

職場環境の改善もメンタルヘルスケアの一環!チェックしたいポイントは?

経営者や人事担当者ができるメンタルヘルスケアには、「職場環境の改善」もあります。従業員のストレスになっている部分を洗い出し、改善に努めましょう。以下、メンタルヘルスとの関係が深いポイントを挙げていきます。

適性や能力に見合った仕事が割り振られているか

「やりがいがない」「仕事がなかなか終わらない」という状況が続くと、従業員のメンタルヘルスは悪化していきます。その場合、担当業務や部署を見直してみるのはひとつの方法です。適性や能力に合った仕事を与えれば、モチベーションを取り戻せるケースも少なくありません。さらに、スキルや経験不足の新人に、いきなり大量の仕事を振るのもプレッシャーになります。仕事量は段階的に増やしていくのが基本です。

人間関係は良好か

チームメンバーや上司との相性も、メンタルヘルスに大きく影響します。論外といえるのはハラスメントが起こっていて、従業員に被害が及んでいる環境です。このようなケースでは加害者に厳重注意をし、程度によっては処罰をしなければなりません。ハラスメントを許さないという姿勢を企業が打ち出すことで、従業員は安心感を抱けます。ただ、目立ったハラスメントはなくても、人間的に折り合いが悪く、メンタルヘルスに影響している場合もあるでしょう。仕事に支障をきたすようなら、人事担当者が双方の意見をヒアリングして仲裁に動くことが肝心です。それでも解決の糸口がつかめないのであれば、異動も検討します。

ワークライフバランスは充実しているか

仕事とプライベートが両立している度合いを「ワークライフバランス」といいます。ワークライフバランスが崩れていると、仕事かプライベートのどちらか、あるいは両方に不具合が生じるでしょう。そうならないよう、企業は従業員それぞれに合った働き方を考え、ストレスを軽減させなくてはなりません。たとえば、子供のいる女性従業員には時短勤務を許可したり、残業を免除したりするなどの方法です。家事や育児、介護が忙しい従業員向けに、リモートワークを取り入れてみるのもワークライフバランス対策になります。

企業がメンタルヘルスケアをするのは義務!正しい方法で従業員の心を守ろう

ストレスチェックから職場環境の改善まで、メンタルヘルスケアにはさまざまな方法があります。そして、これらの実施は企業に課せられた義務です。それに、従業員が穏やかな心で働けるなら、企業としての生産性も向上します。従業員の健康と企業成長の両方に関係しているメンタルヘルスケアは、人事部と経営者が実践するべき重大なテーマなのです。

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