企業の中には、そこで働く従業員にとって天国のように楽しく仕事ができるところもあれば、必ずしもそうではないところもあります。せっかく採用したにもかかわらずイメージと違ったという理由で大事な人材の流出を招かないようにするために、ここでは働きやすい企業のランキングで上位に位置づけられることが多い福利厚生が充実している企業の特徴について見ていきましょう。

そもそも福利厚生とは?

福利厚生とは何かと聞かれた場合に、正確に答えられる経営者や人事担当者は意外と多くはないかもしれません。そこで、ここではまずはじめに、その意味について見ておきましょう。

福利厚生の意味

何となく有給休暇や各種手当などが該当すると思われているかもしれませんが、実際には従業員やその家族に対して提供される賃金以外の支援やサービスは幅広く福利厚生に含まれるのです。例えば、従業員がスキルアップを図れるような充実した研修制度を用意したり、小さな子供がいる従業員が働きやすいように社内に託児所を設けるというのも福利厚生に当てはまります。そのため、福利厚生について考える場合には、何よりもまず、どのような環境を整えれば、従業員が気持ちよく前向きに働けるかという視点を持つことが重要なのです。

多様な視点が重要

福利厚生を検討するに際しては、多様な視点を持たなければなりません。かつては多くの日本企業において、男性の従業員の目線に立った制度設計が行われていましたが、女性の社会進出が進むとともに、経済のグローバル化も著しい中で、そういった古い制度が残ったままだと厳しい競争に勝ち抜いていくというのは難しいでしょう。国内企業が世界の企業と互角以上に戦うためには、企業の経営者や人事担当者は、様々な従業員の属性を考慮して福利厚生制度の在り方を考える必要があるのです。

それには、女性の従業員はもとより、外国籍の従業員にとっても働きやすい環境を整えるようにすることがポイントとなります。日本社会の少子高齢化が進む中で、優秀な女性や外国籍の従業員をいかにして確保するかは、多くの企業にとって死活問題となり得ます。気づいたら人材難に陥ってしまっているということのないよう、常日頃から彼女たちを惹きつけられる福利厚生の在り方について考えておくようにしましょう。

女性にとって魅力的な福利厚生~休暇制度~

では、女性にとって魅力的に映る福利厚生にはどのようなものがあるのでしょうか。その答えを知るためにも、ここではランキングで常に上位にくるような大手企業の福利厚生の特徴について紹介します。

生理休暇

福利厚生といえば、真っ先に有給休暇をイメージするという方は多いのではないでしょうか。実際に、法律で定められているということもあって、ほとんどの企業では充実した有給休暇制度を整えているはずです。もっとも、それだけでは女性に魅力的な企業であると感じてもらうためには十分ではありません。他社もそれなりに制度を整備しているはずですので、有給休暇があるというだけでは差別化につながらないからです。

そこで重要になってくるのが女性ならではの特別休暇です。その中でも生理休暇は、あるとないのとでは女性にとっての働きやすさは大きく異なると言われています。男性はイメージしにくいかもしれませんが、女性の中には生理になると外出するのもしんどいという人が少なくありません。そのような場合に気兼ねなく生理休暇が取れる環境が整えられているというのは、女性が安心して働く上で非常に重要となるのです。もっとも、単に特別休暇制度を設ければそれで十分かと言われれば、必ずしもそうではありません。せっかく制度を導入しても、それが有効に活用されなければ意味がないからです。そうならないようにするためには、従業員研修などを通じて、制度の内容を社内にきちんと周知するとともに、生理休暇制度を使って休みを取ることについて従業員全員がネガティブな考えを抱かないようにする必要があります。

出産・育児休暇と復職制度

生理休暇のほかに、出産・育児休暇も女性が長く働く上で不可欠となる大事な制度です。そのため、多くの企業ではそれなりに制度が整っているはずですが、それだけでなく女性の視点に立った復職制度を設けておくというのも重要となります。出産や育児で長期にわたって休んだ後で元通りに仕事ができるかどうか不安を覚える女性は少なくありません。また、復職したとしても幼い子供の世話をしながら仕事に復帰するというのは必ずしも容易ではないでしょう。そこで、企業としてはそのような女性に寄り添うためにも、無理なく復職できるための制度を用意しておく必要があるのです。例えば、いきなり復職させるのではなく、その前に改めて研修を受けられるようにしておくというのも一案です。また、フルタイムで働くのは難しいという女性向けに、時短勤務ができるようにするのもよいでしょう。実際に、ランキング上位の大企業の中には、そのような復職に際して役立つ制度を設けているところは少なくありません。

女性にとって魅力的な福利厚生~各種手当~

女性は家庭の中で家計を預かるケースが多いということもあって、シビアな金銭感覚を持っている方が少なくありません。そのような彼女たちを惹きつけるためには、賃金以外の各種手当を充実させる必要もあります。

社宅・家賃補助

ランキング上位の大手企業の多くが導入しているのが社宅や家賃補助です。社宅を用意しているところはかつてに比べると少なくなりましたが、その代わりに家賃補助の充実に力を入れているというところは少なくありません。家賃補助制度については、単にたくさんもらえるというだけでなく、受け取れる年齢の上限も重要です。また、世帯や子供の有無によって金額に差を設けておけば、一人ひとりの従業員のことを考えて制度設計しているというイメージを持ってもらいやすいでしょう。

食事補助

食事補助も女性に人気の福利厚生制度の一つです。忙しい日々を送る中でランチの時間は、気を休めてリフレッシュするための貴重な時間と言えます。一方で、それなりのお店で食事をしようとすると馬鹿にならない出費になりますので、少しでもその足しになるような制度を用意している企業に人気が集まるというのは道理でしょう。

女性にとって魅力的な福利厚生~研修制度~

ここまで見てきたもの以外に、研修制度を重視する女性の従業員も以外に多いようです。ランキング上位の大手企業の中にも、女性の視点に立った様々な研修を用意しているところは少なくありません。スキルアップをするために役に立つような研修はもちろんですが、それ以外に芸術や歴史といった一般教養について学ぶような研修も人気ですので、人間としての幅を広げてもらうためにも、なるべく多様なカリキュラムを用意するとよいでしょう。また、役員や管理職として働いている女性は男性に比べるとまだまだ少ないので、女性従業員の中にはキャリアアップした時の自分のイメージが持てないという人もいます。そのような女性が自分のキャリアを前向きに考えていけるように、既に活躍している女性従業員によるメンター制度を設けているような企業も高い人気を集めています。

福利厚生を充実させて女性が働きやすい企業を目指そう

以上で見てきたように、女性が重視する福利厚生は必ずしも男性と同じではありません。そのため、男性だけで考えていては、必ずしも彼女たちに魅力に感じてもらえる制度設計をすることは難しいかもしれません。そこで、福利厚生を考えるうえでは、人気のある他社の事例を参考にしたり、社内の女性従業員を交えて議論を行うなどの取り組みが重要となります。

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