労働環境を変え、生産性を向上させる意味をもつ働き方改革。有給休暇の取得が義務付けられたり、非正規雇用労働者と正規雇用労働者の同一労働同一賃金制度が取り入れられたりするなど、注目を集めている制度でもあります。本記事では、働き方改革について分かりやすく、かつ詳しく解説します。労働者だけではなく、経営者や人事労務担当者にも知っておくべき情報が詰まっているので参考にしてください。
働き方改革とは?
働き方改革とは、一億総活躍社会の実現のために、労働者の労働環境を根本から見直す取り組みを指します。
働き方改革の目的とは、労働者ひとりひとりの事情に合わせて働きやすい環境を整えることです。具体的には、シニア世代や障がい者の雇用、短時間勤務制度の導入、テレワークの採用などが挙げられます。これらの制度を採用することで企業は労働者を確保でき、政府は所得税の税収増を見込めるというメリットがあるのです。
また、働き方改革は働く意思のある人が無理なく働けるようにする取り組みでもあります。具体的にはどのような制度で支援するのかについて確認しておきましょう。
長時間労働の是正
働き方改革の目玉となる取り組みが長時間労働の是正です。
現行法では、労働時間は1日8時間、1週間で40時間を超えないことが原則です。これらの上限を超える場合や休日出勤する場合には、36協定を締結して労基署へ届け出をしなければいけませんでした。しかし、時間外労働の上限を定めておらず、限度を超えていても36協定を締結して届け出れば労働させることが可能であるなどの問題点があったのです。
改正法案では、36協定を締結・届け出をした場合であっても時間外労働が月45時間、年間にして360時間を超過してはいけないと定められました。こうして、36協定の限度を超えた場合の対処方が法的拘束力を持つようになったのです。
労働時間が法で定められた時間を超過した場合、企業は罰則を受けることになりました。2019年4月から施行されるのは大企業で、2020年4月から中小企業も対象となります。中小企業にとってこの施策に対する取り組みは急務となるでしょう。他にはどのような制度があるのでしょうか。次の見出しで解説します。
同一労働同一賃金制度の導入
同一労働同一賃金制度とは、同じ業務に従事している限り、正規雇用労働者か非正規雇用労働者であるかに関わらず同額の賃金を支払うべきであるというものです。
非正規雇用労働者は増加傾向にあり、正規雇用者と非正規雇用労働者の間には様々な待遇に差があることがこれまでにも指摘されてきました。労働者が個人の事情に合わせて多様な働き方を選択できるように、非正規雇用者に対する待遇差を解消することが提唱されています。労働実態が正規雇用者と同じでなければ適用されないという点があることも特徴的です。
同一労働同一賃金制度は2020年4月より本格的に導入されます。企業としてはこれまでの待遇差を早急に見直さなければならないでしょう。個人の働き方の多様性を保証するには、他にどのような制度があるのかについて、次の見出しで解説します。
個人に合わせた働き方を導入
個人の事情に合わせて働けるように、在宅勤務を導入したり、働く意欲のあるシニア層や障がい者を雇用したりすることを政府では推進しています。
これらは大企業などでは既に取り入れている企業もある施策です。具体的には出産・育児や介護のために勤務が難しい労働者のために在宅勤務を導入することなどが挙げられます。他には労働力確保のために副業・兼業を認めたり、働く意欲があるシニア層や障がい者を雇用したりするなどの工夫を施しています。
労働者が自分のライフスタイルやライフステージに合わせて働けることは、企業にとっての人材不足を解消するというメリットもあると考えられます。シニア層の雇用は労働力不足の解消だけではなく、摘んできた経験を若い世代に教えつないでいくという効果もあります。人材不足が続く日本では、今後、個人の働き方の多様性を認める傾向はさらに強まるでしょう。
働き方改革の3本の柱を理解しよう
長時間労働の是正、同一労働同一賃金制度の導入、労働者のライフスタイルに合わせた働き方を認めることは、労働者が自分らしく前向きに働ける場を作ることにつながる大切な改革です。法に背いた場合、罰則を受けるものもあるため、働き方改革の3本の柱について理解しておくことが大切です。
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