新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークへの対応が求められる中、業務をどこでも遂行できる環境を整えるため、人事システムを導入した企業は多いことでしょう。これにより、人事業務の自動化や効率化が進み、従業員データを一元管理する体制が整った一方で、その蓄積データを活用した戦略的な人事施策が十分に進んでいないという課題を抱える企業も少なくありません。本記事では、従業員データを効果的に活用し、人事戦略に結びつける方法について解説します。

従業員データを活用しなければならない理由
従業員データ活用、できていますか?
現代の企業において、従業員データは単なる個人データの集合にとどまらず、経営の意思決定に重要な影響を与える資源です。例えば、勤怠情報や業務実績、スキルセット、フィードバックなどのデータを基に、どのように人材を最適化するか、どのように組織を強化するかの指針を得ることができます。
また、人的資本経営の考え方が浸透する中で、従業員一人ひとりの能力や成果が企業の成長に直結することが求められています。従業員データの適切な活用は、その最大化に向けた重要なステップとなります。しかし、情報をただ一元管理しているだけではその真価を発揮することはありません。実際にその情報を基にした戦略の構築ができている企業は、少数派です。
企業は、従業員データをどのように活用するかを戦略的に考える必要があります。例えば、従業員のパフォーマンスデータを分析し、どの業務やプロジェクトにどのメンバーを配置するのが最適かを判断することができれば、業務の効率化や生産性向上に繋がります。また、従業員のフィードバックやエンゲージメントデータを基にした人材育成プログラムの設計も、従業員のモチベーション向上や離職率の低下に寄与します。
従業員データ活用の重要性
- エンゲージメントの向上:従業員の意欲や仕事への取り組み方は、組織全体の生産性に大きな影響を与えます。定期的なフィードバックやパフォーマンスデータをもとに、エンゲージメントを向上させる戦略を練ることができます。
- 生産性向上:個々の従業員の能力や業績データを基に、リソースの最適配分を行い、業務の効率化を進めることが可能です。
- 人材育成:従業員データを活用して、どのスキルが不足しているか、どの分野で成長が必要かを見極め、適切なトレーニングプランを設計できます。
- 人的資本の最大化:企業の持つ最も貴重な資源は人材です。その最大化を目指すには、従業員一人ひとりの能力や成果をしっかりと把握し、データに基づく意思決定を行うことが重要です。
従業員データの活用イメージ
従業員データを活用することで、実際にどのような結果が期待できるのでしょうか?以下に、従業員データ活用の具体的なイメージをいくつか紹介します。
パフォーマンス管理の精緻化
従業員のパフォーマンスを評価するためには、個別の業績データを集計し、フィードバックや評価基準を明確にします。このデータを活用することで、パフォーマンスが低下している社員に対して適切な支援を行い、逆に優れたパフォーマンスを示している社員にはキャリアアップの機会を提供できます。
人材配置の最適化
例えば、プロジェクトごとにどの従業員が適任かを判断するために、従業員のスキルセットや過去の業務経験をもとにデータを分析します。このように、従業員の情報を活用することで、より効率的な人材配置が実現できます。
エンゲージメント向上施策の設計
従業員のエンゲージメントを定期的に調査し、その結果をもとにどの部署がモチベーション低下しているか、または社員がどのようなことに不安を感じているかを把握します。その上で、改善施策を打ち出すことができます。
キャリア開発と育成プランの設計
従業員のスキルセットや成長可能性を把握し、個々のキャリアパスに応じた研修やサポートを提供することができます。これにより、従業員の成長を促し、組織全体の能力を高めることができます。
離職予測と対策
従業員の離職リスクを予測するために、過去の離職データやエンゲージメント調査結果をもとに、どの従業員が離職する可能性が高いかを分析します。これにより、早期に介入し、離職防止策を打つことができます。
その他のシステム・従業員データの活用イメージはこちら:https://saireco.jp/tech_blog/660/
従業員データを活用した意思決定をすべき理由
従業員データを活用した意思決定を行うことには、数多くのメリットがあります。ここでは、その理由を5つ挙げてみましょう。
データに基づく意思決定の精度向上
勘や経験則だけに頼る意思決定は、時として誤った方向に進むことがあります。しかし、従業員データを基にした意思決定は、データに裏打ちされた客観的な判断ができるため、より精度の高い決定を下すことができます。
業務効率化の促進
従業員データを効果的に活用することで、無駄な業務やリソースの浪費を減らし、業務効率を向上させることができます。例えば、必要な人材を迅速に配置し、業務の負荷を最適化することで、全体の生産性を高めることが可能です。
Z世代の特性に対応した人事戦略の構築
Z世代は、自己成長や仕事の意味を重視する傾向が強いとされています。従業員データを基に、この世代が求めるキャリアパスやフィードバックのスタイルに合わせた人事戦略を設計することが、エンゲージメント向上や定着率向上に繋がります。
リスクの予測と回避
従業員の業務実績やフィードバックデータをもとに、将来的なリスクを予測することが可能です。早期に問題点を特定し、対策を講じることで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。
人的資本の最大化
深刻な人手不足が進む日本において、人的資本を最大化させることは、企業にとって非常に重要な課題です。従業員データを活用することで、個々の能力や強みを最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。
まとめ
従業員データを適切に活用するためには、単にデータを収集するのではなく、それをどのように戦略に落とし込むかが鍵となります。人事部門がデータを基にした意思決定を推進することで、会社全体のパフォーマンス向上に繋がります。従業員の能力を最大限に引き出すための戦略を練り、人的資本の最大化を目指すことが、今後ますます重要になるでしょう。
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