毎年4月になると恒例の新入社員研修が始まります。初日の入社式から始まり短い会社でも2週間以上、長い会社では1年にもわたって新入社員研修を行っています。新入社員研修は、日本企業ならではの年中行事です。昔から各社とも工夫を凝らした新入社員研修を行ってきました。そこで今回は新入社員研修のコンテンツ作りにぴったりの事例をご紹介します。
新入社員研修の人気テーマ
何事にもブームがあります。新入社員研修も例外ではありません。昔から新入社員研修の内容にも流行がありました。そこで今までとこれからの新入社員研修人気テーマをご紹介します。
合宿形式
特に昭和からバブル期にかけて流行った研修です。グループに分かれて数十キロの山道を一晩かけて歩く合宿です。精神力の鍛錬、一体感の醸成を目的として実施されていました。
街頭名刺交換
最近では少なくなりましたが、現在でも一部の不動産会社などが実施しています。街頭で道行くビジネスパーソンと名刺交換することで、断られても折れない心を養います。名刺交換以外では、道行く人に元気よく挨拶をするという研修も実施されていました。
フィールドアスレチック
ここ10年ほど人気のテーマです。郊外にある専用のフィールドアスレチック施設を使用して互いに力を合わせながらアトラクションをクリアしていきます。助け合う心やチームワークを育みます。
プロジェクトワーク
座学に変わりここ数年ほど用いられてきた研修手法です。特定のテーマごとにチームをつくり研修期間中に調査やディスカッションを行いながら最後に発表を行う形式の研修です。
新入社員研修の内容にもトレンドがあります。何をやればよいかわからないときは、最新のトレンドに乗っかってみてもよいでしょう。
事例1.三菱グループ「創業の地ウォークラリー」
日本を代表する財閥系グループである三菱グループでは、合同で「創業の地ウォークラリー」を実施しています。
予め三菱グループの成り立ちを座学で学び、創業に関する書籍を配布します。
その後、三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎のゆかりの地を新入社員が訪れ、三菱グループの歴史や事業の成り立ちを学びます。1か所だけではなく、歴史的に意味のある場所を数か所巡るそうです。歴史を学ぶことで会社への理解を深め、ロイヤリティを高めることができます。
会社の歴史や理念を学ぶことは、新入社員研修に必須の項目といってもよいでしょう。
事例2.日清食品「無人島研修」
日清食品では無人島研修を実施しています。無人島に新入社員を送り込み、2日間のサバイバルをしてもらうものです。
無人島という都会から離れた閉鎖的な空間でサバイバルすることで、団結力を高め、精神力を鍛えることができます。また物資の乏しい無人島で過ごすことは、日ごろの豊かさへの感謝の心も引き出すこともできるでしょう。食品会社であるからこそ、食への有難みを実践的に学べる非常に模範的な例だといえます。
一風変わった研修のように見えますが、非常に効果抜群です。無人島から帰ってきた新入社員は、食品会社で働く使命に目覚め一皮むけた存在になるでしょう。
事例3.TDK「日本一の竹とんぼづくり」
もう10年ほど前の事例ですが、TDKでは「日本一の竹とんぼづくり」を新入社員研修の一環として実施していました。
「日本一の竹とんぼ」をつくることで、ものづくりの楽しさや奥深さを体験してもらう研修です。単に竹とんぼをつくるのではなく、「日本一の竹とんぼ」をつくることが目的です。どの竹材が一番よく飛ぶのか、どうすればもっと長時間飛行できるのか、などひとつひとつ検証を行いながら竹とんぼを完成させていきます。
ものづくりを強みとするメーカーでは、早い段階からものづくりの大切さやベテラン社員との接し方を知ることが重要です。特に近年では、社員の高齢化に伴う技術継承はメーカーの大きな課題です。新入社員研修のひとコマとしてものづくりをテーマにした研修もぜひ実施してみましょう。
自社らしい特色ある研修を実施しよう
ここまで歴史、チームビルディング、ものづくりの3つの事例をご紹介してきました。
では、実際に自社の新入社員にどのように活かしていけばよいのでしょうか。
今回ご紹介したいずれの事例も各社ならではの取り組みを実施していることが特徴です。
歴史を知ることや無人島で過ごすこと、そしてものづくりの技術伝承。これらはすべて各社の課題意識やアイデンティティに紐づいています。
こうした自社の理念や存在意義に関連した研修を新入社員に実施することは、新入社員の早期定着にもつながる非常によい取り組みです。
自社らしい研修を実施するためには、自社の業界特性や大切にしていることから研修内容を発想しましょう。最も簡単な内容は、自社の歴史を振り返り生い立ちを新入社員に伝えることです。そして会社が大切にしてきた価値観や、これからの会社が目指す方向性を新入社員にディスカッション形式で考えてもらうと会社への理解を深めることができるでしょう。
一般的に新入社員研修では、社会人の基本であるビジネスマナーや仕事の段取りの習得も大切です。しかし、会社のことを深く理解し働くことを楽しいと思ってもらえることを早期に体験することが最も重要です。
新入社員では会社への理解を深め、ロイヤリティを高めるような特色ある研修をぜひ実施しましょう。
この記事を読んだあなたにおすすめ!