業種や職種を問わず、チームビルディングは経営層、人事担当者にとっての重要な課題です。有能な人材が集まるだけでは、組織力が強くなるわけではありません。個々の連携が取れていて、信頼で結ばれているチーム作りが企業には必要です。この記事では、チームビルディングのマネジメント方法や参考にできる研修事例を紹介していきます。

そもそもチームビルディングとは?概要とメリットを解説

チームビルディングという言葉は知っていても、詳しい意味まで理解していない人はいるでしょう。この段落ではまず、チームビルディングの概要やメリットを解説します。

個人の集まりを組織化する作業

英語の「Team Building」がチームビルディングの語源です。直訳すると「組織を構築すること」であり、日本でも同じような意味で使われてきました。チームビルディングは人材を集め、組織を作っていく作業全体についての言葉です。個人の集まりを強固な組織にするには、メンバーに役割を与え、リーダーや部下を任命し、プロジェクトが完了するまでの流れを可視化しなくてはなりません。さらに、メンバーが個別に目指す目標、チーム全体で掲げる目標を、それぞれ設定することもチームビルディングの一環です。

メリット1 適材適所の人材マネジメント

チームビルディングの大きなメリットは、適材適所で人材を配置できる点です。優秀なメンバーがいたとしても、苦手分野の業務を任されていては実力が発揮されません。また、本人がのびのびと成長していける環境も重要でしょう。チームビルディングは組織の中で個人能力が生かされ、企業の利益につながる道筋をマネジメントします。

メリット2 モチベーションアップ

組織に属するメンバーのモチベーションを高めるためにもチームビルディングは肝心です。与えられた業務をこなすだけの毎日では、本人は成長している実感を持てません。さらに、企業に貢献している感覚も抱けないでしょう。自分の業務に疑問を持ったままだと、自然にモチベーションは下がっていきます。チーム全体で共通の目標があり、常に確認できる環境が整っていれば、メンバーのやる気につながります。何をどうすれば評価されるか分かっているので、全力で仕事に取り組めるのです。

メリット3 メンバー同士の連携がスムーズに

報告、連絡、相談といった組織の基本が、チームビルディングが徹底された職場ではスムーズに行われていきます。メンバーは誰に相談すればいいのか理解しているので、一人で悩みを抱え込まなくなるでしょう。上司や先輩にも「部下を育てなくてはならない」という意識が根付いており、メンバー同士のコミュニケーションが活発化します。職場には友好的な雰囲気が流れ、お互いにますます話しかけやすくなるという好循環が生まれます。

チームビルディングに必要なポイント!どのような手順で進めるべきか

必要なポイントを押さえつつ、効果的な手順でチームビルディングは行われなくてはなりません。以下、チームビルディングのポイントと手順について説明します。

目的と目標の設定

最初はチームの目的と目標を明確化しましょう。目的とは「チームビルディングが必要な理由」であり、目標とは「チームビルディングにおける具体的な指標」です。チームが意識を共有するために目的は不可欠です。また、継続的にチームビルディングを行ううえで、目標は分かりやすい道筋を示してくれます。たとえば、「上司と部下の関係性の改善」は目的であり、「毎日の日報の提出と、それに対するアドバイス」は目標になるといえるでしょう。

価値観の浸透

目的と目標が定まったら、メンバー同士に共通の価値観を浸透させなくてはなりません。一般的には、研修やセミナーなどでチームビルディングの重要性をメンバーに訴えかけていきます。ただし、研修だけに頼らず、普段から上司や人事担当者が中心になり、メンバーに教育していく必要があるでしょう。価値観がメンバー間に浸透していくと、心理的な安心を得られるようになります。「自由に発言してもいい」「上司は意見を聞いてくれる」とメンバーは思えるようになり、チームの絆はだんだん強くなっていくでしょう。

人材配置と役割分担

メンバーが共通の価値観を理解したところで、本格的な人材配置と役割分担に移ります。このとき、人事に求められるのは「長所だけでなく短所も踏まえる」ことです。メンバーの得意分野を生かすのはもちろん重要です。一方で、「人づきあいが苦手」「デスクワークを嫌う傾向にある」といったネガティブな特性も考慮しなくてはなりません。個人が長所を発揮しつつ、周囲が短所をフォローできるような環境はチームビルディングの理想です。

実践と適度なフォロー

環境が整ったら、いよいよチームビルディングは実践段階へと進みます。日常業務を通して、人材配置や役割分担が適切だったか確認していきましょう。さらに、現実を見据えながら、目標を修正していくこともありえます。チームビルディングの初期ではメンバーが混乱する可能性もあり、上司からのフォローは必須です。ただし、すべての問題を上司がフォローしてしまうと部下の成長につながりません。フォローは適度に留め、ある程度は部下が自力で問題解決する過程を見守りましょう。

有名企業からユニークなアイデアまで!チームビルディングの研修事例まとめ

いざチームビルディング研修を始めるにあたっては、過去の事例を参考にしてみましょう。ここからは、実際に行われたチームビルディングの例を挙げていきます。

事例1 アプリ開発・運営企業

フリマアプリの開発・運営を手掛けている有名企業は、ユニークな方法でチームビルディング研修を行ってきました。研修では組み立てブロック玩具が用いられています。メンバーはお題に沿ってブロックを積み重ねていき、完成品を見せ合います。同じお題でも完成品はさまざまです。そこで、メンバーは「なぜこのような色、形を選んだのか」を自分の言葉で説明しなくてはなりません。この研修を通じて、メンバーは価値観、考えの違いを共有し、お互いへの理解を深めていきます。メンバー同士の人間性がチームで共有されることで、その後のコミュニケーションも円滑になりました。

事例2 計測器メーカー企業

計測器メーカーでは、チームビルディングにボードゲームを使ってきました。メンバーは数人のグループに分かれ、ビジネスをテーマにしたボードゲームをプレイします。単に遊んでいるだけのようでも、プレイを進めていくうちにメンバーの人間性が見えてきます。また、重要な局面での選択、優先事項の違いなども、メンバー間で共有されていく仕組みです。こちらの研修はビジネスのシミュレーションになっており、改善点の見直しを実践的に行えます。

事例3 ソフトウェア企業

ソフトウェアの開発事業で知られる企業は、社員が自主的にチームビルディングへの興味を抱いてくれるよう、研修に工夫をこらしてきました。そして、動画共有サービス内に自社の研修専門チャンネルを開設したのです。そのコンテンツはテレビ番組を意識しており、視聴者が楽しみながらチームビルディングの重要性を学べる構造になっています。チャンネルには毎回、違う社員がゲストに呼ばれ、その人柄が社内に紹介されています。また、幹部に匿名で質問できるコーナーも人気で、組織の良い雰囲気づくりに大切な役割を果たしてきました。

事例を参考に!チームビルディングのマネジメントでは自主性を心がけよう

チームビルディングは社員に押しつけるものではなく、それぞれが自主的に行うことが理想です。メンバーがチームビルディングに興味を持つよう、人事担当者は研修に工夫しましょう。ゲームを取り入れた研修は事例が多く、社員に受け入れられやすいといえます。また、動画コンテンツを利用した研修も、楽しみながらチームビルディングを学べる機会になるでしょう。

 

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