近年、サステナビリティ活動に取り組む企業が増えてきました。企業におけるサステナビリティ活動とは、企業が地域社会や地球環境との共生・共存をしながら、事業成長を目指していく活動です。企業がサステナビリティ活動において重視するものの一つとしてSDGsがあげられます。SDGsとはどのようなものなのでしょうか。またなぜ今、注目されているのでしょうか。今回はSDGsの意味や概念、取り組み事例をご紹介します。

SDGsとは?

あなたも一度はSDGsという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。そこでまずはSDGsの概念について解説します。

SDGsの意味とは?何の略か?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsの読み方は、「エス・ディー・ジーズ」です。最後の「s」は複数形の「s」であるため、「エス・ディー・ジー・エス」ではなく、「エス・ディー・ジーズ」と読みます。

SDGsは、国連のサミットで世界中の国々が集まって決めた目標です。SDGsは17の目標と、目標を達成するための169のターゲットから構成されます。目標の中には貧困撲滅、環境問題の改善など、全世界の各国が協力して解決すべき目標が盛り込まれています。

SDGsは、2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された「持続可能な開発サミット」で採択されました。サミットには161の国連加盟国の首脳が出席し、参加国の合意のもとでSDGsが決まりました。その後、193の国連加盟国がSDGsの原型となる「私たちの世界を転換する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に合意。最終的に現在の形である17の目標と169のターゲットが正式に2030年に達成すべき国連と加盟国のアジェンダとして認められたのです。

SDGsには、この地球と私たちの社会の発展と成長を阻害するあらゆる課題を解決したいという願いと決意が含まれています。

SDGsとMDGsの違いとは?

SDGsとよく混同される概念に「MDGs」があります。MDGsは「Millennium Development Goals」の略で、日本語では「ミレニアム開発目標」と訳されています。社会開発分野における国際社会共通の目標としてMDGsはまとめられました。

MDGsは2000年に国連本部で開催された「国連ミレニアム・サミット」で採択された宣言と、1990年代にまとめられた国際開発目標を統合して作成され、8つの目標から構成されています。MDGsは2015年までに達成すべき目標として設定され、その後、SDGsの立案・採択への礎となりました。
つまりSDGsとMDGsは関連性がある概念であり、MDGsは2015年までに世界各国で取り組んできた目標、SDGsは新たに2030年までに達成すべき目標として世界各国が合意しているのです。

SDGsの17の目標

SDGsは2030年までに達成すべき17の目標から構成されます。それぞれどのような目標なのでしょうか。

SDGsの17の目標とは?

SDGsは、人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップの5つの分野に関わる17の目標から構成されています。人間に関する目標では、すべての貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人が人権を尊重され潜在能力を発揮することに取り組む決意が表明されています。該当する目標は主に1~5と8です。

次に地球に関する目標は、主に目標12~15に含まれ、天然資源の保全や地球環境破壊を防ぐための決意が表現されています。繫栄に関する目標はすべての人間が豊かで満たされた生活を送れることを目指す目標です。主に目標7~11で表現されるとともに、すべてのSDGs目標にも関わる考え方です。

平和に関する目標は、目標10、16、17で主に表され、持続的な開発を実現するために平和が重要であることを強調しています。最後にパートナーシップに関わる目標は特に目標17で表現され、国だけではなく、企業や市民、自治体などあらゆるステークホルダーがこれらの17の目標に取り組むことを明記しています。

このように、SDGsの17の目標は、これからの地球における私たちの暮らしが持続可能なものとなるように、特に重要な課題を包括的に表現するとともに、それらの課題を全人類で解決していく決意が含まれているのです。

各目標の内容

SDGsの17の目標
【SDGs17の目標(外務省仮訳)】
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4 . すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

参考:「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」(外務省)

169のターゲットとは?

SDGsの書く目標を達成するための具体的なアクションが169のターゲットです。これらのターゲットの一部には数値目標が含まれており、数値目標が設定されていない目標に関しては継続的にデータ収集を行っていくことが合意されています。また、17の目標と各ターゲットは不可分のものとされながらも、具体的な取り組み内容については各国政府が自国の状況を踏まえて定めることができます。

例えば目標1では、貧困撲滅に関する具体的な目標がターゲットとして設定されていることがわかるでしょう。ターゲットの中には、それぞれの国だけではなく、各国が協力して取り組むものも含まれています。

目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

なぜいまSDGsなのか?

ところで、なぜ今になってSDGsの取り組みが日本でも本格化してきたのでしょうか。帝国データバンクが2020年に実施した調査によると、回答が得られた約1万社のうち24.4%がSDGsに取り組んでいました。企業がSDGsに取り組む背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
参考資料:「SDGsに関する企業の意識調査」(帝国データバンク)

SDGsと世界のトレンド

2015年に採択されたSDGsも、2020年で5年目を迎えました。目標とする2030年まで残り10年となった段階で、SDGs達成のための「行動の10年」のガイドラインが国連から発表されました。この「行動の10年」では、SDGs達成に向けた取り組みの規模と参加者を増やしていく決意が示され、すべての人々がSDGsを自分事として考えるべきであることが示されているのです。

また、SDGsとは別の観点からも企業の取り組みが加速しています。経団連のレポートによると、世界的にESG投資への関心が高まっていることがしてきされています。ESG 投資とは、「E」(環境)、「S」(社会)、「G」(ガバナンス)の3つの要素の観点から投資する考え方です。

ESG投資はもともと2006年に国連事務総長だったコフィー・アナンが金融業界に提唱した「責任投資原則(PRI)」に基づいています。PRIの中で、国連は投資家と企業に対して人権や地球環境などの社会課題解決を投資方針や企業戦略に盛り込むように呼びかけました。このPRIにより、社会課題を解決しながら中長期的に企業価値を高めていく企業への投資としてESG投資が活発化したのです。

また、日本でも最大の年金運用期間である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESGを投資原則に盛り込んだことで、日本企業でもESGへの取り組みが活発化しています。

さらには経団連のレポートによれば投資家の間でもESG投資がSDGs達成につながるという考え方が浸透してきているそうです。つまりESGの観点から社会課題の解決に取り組み、SDGsの達成に寄与する企業が投資家から資金を得られやすくなっているのです。
極端に言えば、ESGに取り組まない企業は今後、投資家からの資金調達が難しくなる可能性もあります。こうした世界的な社会課題解決のトレンドを背景に、近年ますます企業でのSDGs関連活動が増えてきているのです。
参考資料:「ESG投資の進化、Society5.0の実現、そしてSDGsの達成へ」(日本経済団体連合会)

日本におけるSDGs

2015年にSDGsが採択された後、日本では総理大臣を本部長、官房長官、外務大臣を副本部長とする「SDGs推進本部」が2016年に発足しました。日本では独自の「SDGsモデル」を策定し、Society5.0の推進、地方創生、次世代・女性、の3つの活動を柱としています。

2020年12月には「SDGsアクションプラン2021」を発表。新型コロナウイルスへの対策として、公平な医療体制やワクチンを平等に受けられることや、2050年までに温室効果ガス排出をゼロにすることなどがアクションとして明記されました。またSDGs推進本部では「ジャパンSDGsアワード」を2017年から毎年1回開催。「ジャパンSDGsアワード」はその年に特に優れたSDGsに関する取り組みを行った自治体や団体、企業を表彰しています。

第4回開催となった2020年は自然エネルギーを電源として供給するみんな電力株式会社が総理大臣賞を受賞しました。また、政府だけではなく、経団連も2019年に事業方針としてSDGsを推進していく姿勢を明確に打ち出しています。このように、日本でも政府と企業を中心にSDGsへの取り組みをより本格化させているのです。

このように、ESG投資の盛り上がりや、2030年まであと10年となった2020年に「行動の10年」が示されたことから、世界的にSDGs達成への取り組みが加速しています。

参考資料:「SDGsアクションプラン2021」(外務省)

SDGsの歴史と成り立ち

ここまでSDGsへの取り組みが世界的に盛り上がっている理由を知るには、SDGs採択に至るまでの歴史的背景を知ることが重要です。SDGsの成立には、どのような歴史があるのでしょうか。

SDGs成立までの前史

SDGs成立に至る背景には、人類が段階的に地球環境や社会課題に対して危機感を高めてきた歴史があります。近代の中で地球環境への意識が特に高まったのは、1972年に有識者集団であるローマクラブの委託によりマサチューセッツ工科大学(MIT)が発表したレポート「成長の限界」がきっかけでした。

「成長の限界」は、このまま人口増加や環境汚染が続けば、あと100年で地球の成長は限界に達するという警鐘を鳴らしました。当時は第二次世界大戦後の高度経済成長期であり、世界中で地球資源開発や国土開発が積極的に行われていた時代でした。その後、1980年に国連環境計画(UNEP)の委託により国際自然保護連合(IUCN)と世界自然保護基金(WWF)が作成した「世界自然資源保全戦略」の中で、初めてSDGsのルーツとなる「持続可能な開発」という概念が提唱されました。

その後、1989年の東欧革命をきっかけに冷戦が終結。分断されていた世界経済の融合が一気に加速し、グローバル化が進む中で経済の発展と地球環境問題の解決は切っても切れない関係であるという認識が各国指導者や経営者に広がっていきました。

そして1992年に歴史的な出来事が起こります。リオデジャネイロで開催された「地球サミット」で、現在のSDGsにもつながる行動宣言である「リオ宣言」が採択。「リオ宣言」には環境問題だけではなく、のちのSDGsの原型となる貧困撲滅や人権尊重、平和的社会の実現などが27の原則にまとめられたことが大きな特徴です。

その後、1997年に主に環境問題に関する具体的なアクションが定められた「京都議定書」が締結され、温暖化対策を中心に2020年までの目標が決定されました。

MDGsとパリ協定

2020年にニューヨークで国連ミレニアム宣言が採択され、直接的にその後のSDGsへとつながるMDGsが定められました。MDGsは貧困の撲滅からジェンダー平等、地球環境の持続可能性確保など、2015年までに達成する8つの目標と21のターゲットから構成されています。

その後、達成期限の2015年を迎え、MDGsは一定の成果を上げることができました。一方で目標達成の進展にはバラツキがあり、特にアフリカなどの後発途上国ではいまだに貧困や健康問題が残るなど、課題も生まれました。

SDGsはこうしたMDGsで残された課題を再び解決するとともに、より広範囲の社会課題を含む包括的な目標として新たに採択されたのです。またSDGsは、「誰一人取り残さない」をテーマとしてMDGsで成果を上げることができなかった後発途上国を含むすべての国々で成果を上げることも決意しています。

ちなみにSDGsが採択された2015年は国連設立70周年の年でした。記念すべき国連70周年に合わせて定められたSDGsは国連の肝いりのプロジェクトであると言えるでしょう。また、実は2015年にはもう一つ重要な出来事がありました。

それが「パリ協定」の締結です。パリ協定は、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で協議され、「京都議定書」の後継として発足しました。京都議定書は主に先進国における2020年までの地球温暖化対策に関する目標が定められていましたが、パリ協定では気候変動枠組条約に加盟する196カ国すべてがCO2削減目標を定め目標を達成するために行動することに合意しています。

これまでの地球温暖化対策では一部の国だけが参加してきたため、パリ協定は歴史的な合意であると言えるでしょう。そしてこのパリ協定による世界各国の行動が、環境意識の高まりへとつながり、SDGsの推進にもつながっているのです。

このように、SDGsの成立背景には、国連と人類が40年以上にわたって積み上げてきた社会課題解決への想いと行動があります。SDGsだけに注目すると、急にいまになって社会課題解決が盛り上がってきたように思えますが、実際にはSDGsだけではなく、「パリ協定」に代表される地球温暖化対策など、ほかの様々な取り組みがSDGsへとつながる要因となっているのです。

MDGsとパリ協定

SDGsによって企業に求められる活動

この記事を読んだビジネスパーソンのあなたは、自社でどのようなSDGsに関する活動をすればよいのか知りたいと考えているかもしれません。そこで企業に求められるSDGs達成への取り組みについて解説します。

企業とSDGs

企業におけるSDGsの行動指針として「SDG Compass」が国連グローバル・コンパクトから発表されています。SDG Compassは、企業の経営戦略やガバナンスにどうSDGsを統合するかが具体的に記されたガイドラインです。

まず企業が地球市民の一員として、SDGsの達成への取り組みに参加するよう国連から要請されていることを示したうえで、SDGsに取り組むことは将来のビジネスチャンスにつながることが示されています。例えば再生可能エネルギーや医療の普及は大きなビジネスになり得るでしょう。

またSDG Compassでは、近年は消費者も環境問題など持続可能性に取り組む企業の商品を好んで購入することがデータで示されており、SDGsの取り組みそのものが企業にとって事業成長につながることが説明されています。また、企業が事業を行う上で、国や従業員、株主などのステークホルダーとの関係はとても重要であるため、SDGsに取り組むことはステークホルダーとの関係を強化することにもつながるでしょう。

SDG Compassは、こうした企業の事業へとSDGsの取り組みを効率よく取り入れる方法を示しながら、具体的な目標設定や経営へのSDGsの反映についても触れています。目標設定については、かなり具体的に全社目標から各部門の目標、部署の目標へとブレイクダウンする方法についても紹介されていました。
SDGsは企業にとってプラスアルファの取り組みではなく、世界規模で取り組んでいるSDGsというビジネスチャンスを活かすための事業戦略上の重要課題であると言えるでしょう。

参考資料:「SDG Compass」(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)

ESGとSDGs

株価指数を提供するアメリカの大手金融サービス会社であるMSCIは、企業のESGへの取り組みを評価した格付けを発表しています。最上格が「AAA」、真ん中が「BBB」、最下位が「CCC」までの7段階で表現される格付けです。

2020年末時点で、日本で最上格「AAA」となったのは、ソニー、NTTドコモなどの6社でした。300社以上の日本企業のうち、A以上の評価を得たのは49%の157社で2015年の40%から増加しました。投資家はこうした格付けを常にチェックしており、企業が投資家から安定的に資金を調達するためにESGへの取り組みは不可欠なものになりつつあります。

こうしたESGの取り組みと、SDGsの取り組みはほぼイコールであると言えるでしょう。例えば2020年のESG格付けで「A」に昇格した凸版印刷は、2019年にSDGsに関する宣言を公表しました。男性の育休取得率を高めるための取り組みを推進しており、働きやすい環境づくりに力を入れている点も評価されたそうです。

また、前回「BBB」だったソフトバンクは、SDGsを推進する専門部署を設立し、社会課題解決への取り組みを行うことを公表しました。それによりESG格付けも「A」に昇格しています。つまり企業はSDGsに積極的に取り組むことで、ESGに関する活動も強化され、格付けが上がり、投資家から資金を得られやすくなると言えるでしょう。

参考資料:「日本企業のESG格付け 4年連続向上、A以上が5割」(日本経済新聞)

SDGsに取り組む企業の事例

コープさっぽろ

北海道札幌市に本部を置く生活協同組合であるコープさっぽろでは、フードバンクの取り組みを行っています。フードバンクとは、賞味期限が近くなった食品や廃棄処分になってしまう食品を企業から買い取り、福祉施設に無償で提供する取り組みです。

コープさっぽろでは2016年から「トドックフードバンク」という取り組みをはじめ、コープさっぽろの宅配システムの注文ミスなどにより返品された食品から品質に問題のない食品を児童養護施設などに届ける仕組みを行っています。本来であれば廃棄処分になってしまう食品を有効活用することで、食品の廃棄ロス削減へとつなげているのです。

Loop

2019年にアメリカとフランスでユニークなサービス「Loop」が開始されました。Loopは、繰り返し使える循環型容器を使用し、ごみを出さないオンラインショッピングを楽しめる仕組みです。食品や飲料、日用品を中心に200以上のメーカーやブランドが参加しています。日本でも2021年3月からサービスがスタート。

小売大手のイオンをビジネスパートナーとしてこれから日本でのサービス展開が予定されているそうです。Loopの専用容器を使用すれば、例えば醤油などの調味料もいちいちペットボトル入りのものを購入することが不要になります。これまで私たちが買い物のたびにペットボトルを購入していたことを考えると、大幅にごみが削減できることがわかるでしょう。

NEC

大手IT企業であるNECは、チリで学校給食プログラムを提供しています。公立学校1,200校で指紋認証を活用した専用端末を導入。指紋照合結果をもとに給食と引き換えができるバウチャーを発券し、一人一人に確実に給食が届く仕組みを構築しているそうです。生徒の個別の給食配給履歴を活用して、栄養の強化や健康の改善などにデータを役立てています。

パナソニック

パナソニックはソーラーランタン10万台プロジェクトと称して、カンボジアで活動するNGO/NPOに太陽光を電源とする灯りのソーラーランタンを寄付しました。カンボジアでは電力インフラが整備されておらず、特に農村では電気がなく人々は暗い夜を常に過ごしています。電気がないことは夜に子供たちが勉強できないことにもつながっており、カンボジアの識字率の低さにも影響しているそうです。そこでパナソニックはカンボジアの無電化の地域にソーラーランタンを届けることで教育課題の解決に貢献しようとしました。日本では当たり前である子供たちが夜でも本を読み、学ぶことをカンボジアでも実現したのです。

サントリー

サントリーグループは「水とともに生きる」をコーポレートスローガンに掲げています。そのため、SDGs目標6に設定されている「水・衛生」を最重要課題として取り組んでいます。水資源保全のために「水理念」を策定し、おいしい水を育むために不要な木を間伐しているほか、水を大切に使うために工場での水使用量の節約に努めているそうです。また、工場排水も浄化して、そのまま川に流せるレベルまできれいにしてから排水しています。

このように、各企業では自社の強みを活かしてそれぞれにユニークな取り組みを行っています。あなたの会社も単にSDGsに取り組むのではなく、自社ならではの取り組みを考えてみてはどうでしょうか。

まとめ

SDGsは地球人類が2030年までに達成すべき目標として、すべての国々、企業、市民が参加する活動です。17の目標と169のターゲットから構成されるSDGsには、いま私たちが解決すべき社会課題が包括的に盛り込まれています。

日本でも政府や企業、そして自治体を中心に積極的な取り組みが進んでいます。私たちにとってもSDGsは「他人事」ではなく、「自分事」として取り組んでいく課題です。一人一人がSDGsの達成に取り組めば、地球はもっと暮らしやすく豊かな場所になるでしょう。

また、企業にとっては単なる慈善活動ではなく、SDGsの盛り上がりをビジネスチャンスととらえ、SDGs達成の取り組みと事業活動を融合させていくことが重要です。そして企業がSDGsに取り組めば、自然とESGへの取り組みにも反映され、投資家から資金を調達しやすくなります。

それにより企業価値が長期的に向上し、企業の持続可能性も高くなっていきます。もしまだあなたの会社がSDGsに取り組んでいないのなら、ぜひ自社の強みを活かした取り組みを今すぐにでも検討しましょう。

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