リーダーシップと聞くと、先頭に立ってみんなをグイグイ引っ張っていく人、というイメージを持つ人が多いでしょう。しかし引っ張るだけでは人は付いて来ません。リーダーシップを発揮しチームを導いて行くためには、一度リーダーの役割やリーダーシップの種類についてしっかりと理解を深める必要があるでしょう。具体的に確認していきましょう。

リーダーシップとは?

リーダーシップについて考える前に、まずリーダーとは何か、リーダーシップとは何を意味するのか今一度概念を明確にしましょう。まずリーダーとは「役割」です。チームを一体化し、目標や方向性を示して統率する役目を負います。つまりリーダーは、チームが向かうべき目標をはっきりさせ、そこに辿り着くためのシステムや道筋を作る必要があるのです。その上で個人の役割を明確にし、モチベーションを高めるために働きかけることもリーダーの大切な役割となります。

リーダーシップとは、リーダーが発揮すべき「手段や統率力」のことを指します。リーダーシップは特別な才能や資質ではなく、誰もが意識や目線を変え、スキルを磨くことで身につけることができます。生まれながらにリーダーシップを持ち合わせている人はおらず、誰でもリーダーを目指すことができるのです。また、良きリーダーであるためには、リーダーシップを地位や特権ではなく、責任であると捉えることが必要であると言われています。リーダーシップを特権と見なしていると、よくある「成功は自分の手柄、失敗は部下の責任」にしてしまいがちです。責任としていれば、むしろ部下の失敗こそリーダーに帰属することが理解できるでしょう。そうした組織であれば、部下も安心して行動できるようになり、全体のモチベーションを高めることができます。

当然ですが、リーダーであるためには下で働く人が必要です。しかし部下を強制的に働かせるのではなく、部下の方からリーダーを信頼し、進んで後を付いてきて貰わなければなりません。そのためには自分に合ったリーダーシップを理解し、必要なことを知ったり、必要なスキルを伸ばしていくことが大切になります。

リーダーシップ6種類

リーダーシップには種類があり、6つに分類することができると言われています。リーダーシップの種類は組織に直結するため、リーダーは自分に合ったリーダーシップを把握し、チームを導かなければなりません。アメリカの心理学者ダニエル・ドールマン氏による6つの類型から、それぞれのリーダーシップの特徴について確認していきましょう。

ビジョン型

ビジョン型は6つの種類の中でも最も前向きなタイプであり、企業やチームが目指す目標や進むべき方向性を明確に示し、メンバーを導いて行きます。目標や方向性がはっきりしているためそこに賛同したメンバーが集まりやすく、目標達成までのプロセスは個々のメンバーに任されるため、メンバーそれぞれが自主的に行動する力が身に付きます。良くも悪くもリーダーのカリスマ性が重要であるため、リーダーの信念が揺らいだりメンバーがリーダーに不信感を持ったりすると、チーム機能が崩れる恐れがあります。

コーチ型

リーダーとメンバーという1対1の関係を重視するタイプです。リーダーはコーチ的な役割を担い、メンバーそれぞれをサポートしていきます。1対1の関係なのでリーダーが個人個人の特性や性格、長所短所を把握しやすく、目標を達成するためのサポートもやりやすくなります。ただしメンバーとのコミュニケーションが密になるため、信頼関係の構築が非常に大切になります。また、当然チームの規模が大きくなると個別に対応するのが難しくなりますし、信頼関係が揺らげば当然仕事に影響が出ます。

関係重視型

リーダーがメンバーと同じ立場に立ち、信頼関係を築くことを大切にするタイプです。メンバー間の関係性も重要視し、人間関係を良好に保つことを目標とするため、居心地の良い仕事環境を作ることができます。メンバーのストレスが減り、積極的にお互いを助け合うチームにすることができます。ただしビジネスの場においてメンバー間の仲が良すぎると、原因や責任の所在が曖昧になりがちです。

民主型

リーダーシップと聞くと、リーダー1人が全体を引っ張っていくイメージを持ちがちですが、民主型リーダーシップでは、各メンバーの意見や提案を広く取り入れ、それをチームの活動に反映させていきます。組織全体の声に耳を傾けることになるので大規模なチームにも対応でき、幅広いアイディアの発生、メンバーの仕事に対する満足感向上などの効果も期待できます。ただ広く意見を取り入れればそれだけ結論が出るのが遅くなるため、緊急事態の決断が難しくなります。

ペースセッター型

高いスキルを持つリーダーが具体的な手本を示し、成功イメージを提示することでチームを引っ張ります。当然リーダーには高い能力が必要で、かつ手本を見て同じことができうるような高い能力を持つメンバーに有効となります。メンバーがリーダーと同じことをできない場合、最終的にはリーダーが全ての業務をこなさなければならなくなります。

強制型

リーダーが権力や圧力と行った強制力を用い、メンバーを従わせることで目標達成を目指します。決定権は全てリーダーにあり、メンバーはリーダーから具体的な説明がなくとも命令には即従うことが求められます。このやり方は当然メンバーの不満を募らせ、最終的にはチーム破綻を招きかねない危険性を孕んでいます。ただし緊急の決断が迫られるときや、災害時や危機的状況回避時には役立ちます。

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リーダーシップがある人が持っているスキル

リーダーシップがある人は、どのようなスキルを持っているのでしょうか。

目標設定能力

まず必要になるのが、目標設定能力です。リーダーが明確なゴールや目標を定めることで、チームはそこに向かって動くことができます。この目標は非現実的なものでは駄目で、実現可能かつ根拠があるものを示さなければなりません。ときには提出期限や達成件数と行った具体的な数字を設定することもありますが、実現可能な数字目標を設定するためには、メンバー個々の作業量や能力を把握する必要があります。

指導力

メンバーが積極的に動くためには、リーダー自らが行動を持って手本を示す必要があります。また、目標の達成、未達成だけにこだわるだけではいけません。目標が達成できなくても得る者があったかもしれませんし、目標達成していても何か悩みを抱えているかもしれません。そうした個々の能力や事情を聞き取り、適切な指導を行うことで全体のパフォーマンスを向上させる、それが指導力です。

コミュニケーション力

ビジネスの場においてコミュニケーション能力は必須ですが、それはリーダーであっても変わりません。自分の考えを押し付けるのではなく、メンバーの意見を尊重して耳を傾け、目標達成に向けてどうすれば良いかを考える。チームのビジョンや自分の気持ちを分かりやすく説明する。どんな場面であっても、伝えたり聞いたりする能力はとても重要になります。

責任を取る能力

部下の、あるいはチーム全体の責任を取ることも、リーダーに課せられた役割です。例え自分に直接の原因がなくとも「自分の責任である」と言えるリーダーは、部下にとって非常に頼もしい存在です。とはいえ、責任を取るというのは簡単なことではありません。トラブルや失敗が大きければ大きいほど、責任は大きくなりその後への影響も増大します。そこで優柔不断にならず明確な意思表示ができることが、リーダーの素質として非常に大切になるのです。

自分なりのリーダー像を模索しよう

リーダーシップにはいろいろな種類がありますが、全てのチームや状況に適したものは存在しません。大切なのは状況やチームの属性、自分の素質に合ったリーダーシップを見つけること、そして実現のために必要なスキルを伸ばしていくことです。時には他種類のリーダーシップについて学ぶことで、課題やトラブルが解決することもあります。

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