人事データの活用方法と活用例をご紹介

最近、人事データの活用が注目を浴びています。HRテックと呼ばれる人事領域のテクノロジーの発達がデータ活用を便利にしていることも要因です。一方で人事データはどのように活用するべきなのでしょうか。データを集めてみたものの、どう取り扱えばよいのかわからない。そんな風にお困りの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は人事データの活用方法について解説します。

なぜいま人事データ活用が求められるのか?

最近、人事データ活用のニーズが高まっています。そこにはどんな背景があるのでしょうか。

働き方改革や人材流動化の高まりから、人事には組織生産性を向上させる取り組みが求められています。組織生産性の向上には、高度な問題解決力が求められます。例えば、離職防止は難易度の高い業務の一つです。離職には様々な変数があるためです。離職を防止するには、こうしたひとつひとつの変数をデータから導きだし、どの変数が最も離職を引き起こしているのかを見極める必要があります。

特に最近の若手社員は、シニア世代と異なり会社に長く勤めることが当たり前ではないという考え方を持つ人が多数を占めています。ある調査では新入社員の6割が将来的に転職を考えていることが明らかになっています。企業にとって最も重要な経営資源の一つである人的資源を確保し、流出防止に取り組むことは現代の人事の最重要課題と言えるでしょう。

人事はいま、こうした雇用環境の変化による業務高度化の必要性に直面しています。では、こうした人事データ活用は実際にはどのように行えばよいのでしょうか。

人事データの種類

まず人事データを活用するには、人事データを整理することから始めましょう。
一般的に人事データはどのようなものがあるのでしょうか。

人事業務で取り扱っているものほとんどが人事データになり得ます。ここでは代表的なものをご紹介します。

個人情報

社員の学歴、経歴、氏名、住所等の個人情報は基本的な人事データの一つです。社内にどんな人材がいるのかを把握することは人事の基本的な業務です。

評価データ

データの中で最もわかりやすいのが評価データです。評価の経年変化や部署別の傾向から、上司の評価力や社員のモチベーションなどを把握できます。

勤怠データ

出社時間、休暇取得状況、残業時間などの勤怠データは非常に重要な人事データの一つです。労務管理上、保存が義務付けられているだけでなく、勤怠状況から離職傾向や健康情報まで把握可能です。

スキルデータ

社員の能力を見える化したスキルマップは配置の検討に便利です。また社員の資格や保有スキルを見える化することで、ジョブローテーションを通じて適材適所を実現することも可能になるでしょう。

こうしたデータを集めると、従業員の多い大企業の場合、かなりのボリュームになります。
このように代表的な人事データには多くの項目と膨大なデータ量が存在しています。

人事データからは何がわかるのか?

データを集めただけでは何もわかりません。データは単にデータでしかないからです。
人事データからはいったい何がわかるのでしょうか。

データから何がいえるのか、という視点が最も重要です。例えば、ある社員の残業時間が増えているとしたら、そこから何が言えるのでしょうか。業務量が増えているのかもしれませんし、ただ単にサボっているだけなのか、あるいは勤怠システムでの打刻忘れかもしれません。関連するデータもしらべ、何が問題なのか仮説を立てたうえで社員本人や上司へヒアリングを行いましょう。
データを見極めるには仮説思考が不可欠です。仮説思考とは、仮説を立て検証を行い、最も解決するべき効果的な問題を見極める考え方です。人事データを分析するためには、基本的な問題解決スキルを高めておく必要があります。

このように、データから何が言えるかを考え早期に手を打つことで、例えば人材流出を早期に防ぐことも可能です。

人事データを活用した施策例


では実際に人事データを活用した施策例をご紹介します。

ここではわかりやすいメンタルヘルス対策を例にご紹介します。
例えばエンゲージメント調査で、ある社員のやる気が落ち込んでいることがわかったとしましょう。その場合は勤怠データも参照し直近の残業時間が増えているなら業務負荷がかかっていることを確認します。その上で社員の上司や同僚から業務状況や本人の様子をヒアリングし、同時に本人にも体調の確認のために面談を行います。面談の結果、メンタルヘルス不調が見られるようであれば産業医やカウンセラーと連携しましょう。

人事データを管理するシステムによっては、一定のラインを超えるとお知らせを出してくれるものもあります。今回の場合なら残業時間やエンゲージメント調査の結果がある基準に達した際にアラートを設定しておけばメンタル不調での休職や退職、パフォーマンスの低下を未然に防ぐこともできるでしょう。

人事データ活用の留意点

最後に人事データ活用の留意点をご紹介します。

取扱いに注意する

まず当然ですが人事データは言うまでもなく、非常に機密性の高いデータです。データの内容に応じて参照できる権限を設定しましょう。また、データ保護の基準は法改正やデータの種類によって変わるものです。近年では欧州におけるGDPRへの対応や、ストレスチェックなどの健康情報データの取り扱いがセキュリティ上において気をつけなければならないポイントです。必ず定期的にデータの保管状況が現在の環境や法律にあっているかを確認しましょう。

やみくもにデータを集めない

何でもデータを集めればよいわけではありません。データは集めるほど管理が大変になり、回答する従業員側の手間もかかります。ITツールを導入すると、ついデータを集めたくなってしまいます。近年では個人情報の取得や取り扱いは年々難しくなってきています。データ管理や情報保護には金銭的、人的なコストも発生します。自社の人事課題を分析するために最も効果的な人事データを検討し、必要なものだけを集めましょう。

人事データは自社にとって重要なデータです。積極的に活用しつつも、秘匿性や取り扱うデータの種類に留意しましょう。

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