これからはデジタルの時代だ!と言われて早数年。インダストリー4.0という言葉も少し色あせてきました。一方で企業内部を除いてみると、デジタルとはほど遠い紙での管理やはんこ文化が残る状況。デジタルトランスフォーメーションと言われても、なかなかピンと来ないのが実情ではないでしょうか。そこで今回はデジタルトランスフォーメーションの意味や実際の導入方法までを企業目線で解説します。
デジタルトランスフォーメーションとは何か?
デジタルトランスフォーメーションとはどのような意味なのでしょうか。
デジタルトランスフォーメーションの定義は、ITの浸透により人々の生活をあらゆる面で良い方向へ変化させることです。企業においては、テクノロジーを活用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させることを意味します。日本では2018年ころから経産省を中心にデジタルトランスフォーメーションに関する議論が始まりました。
経産省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」によれば、デジタルトランスフォーメーションは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、子役や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
デジタルトランスフォーメーションは、いままさに求められる最先端の取り組みです。
デジタルトランスフォーメーションとデジタライゼーションの違い
デジタルトランスフォーメーションと似た言葉にデジタライゼーションがあります。どのように違うのでしょうか。直訳するとデジタライゼーションはデジタル化、デジタルトランスフォーメーションはデジタルへの転換です。
デジタライゼーションは、デジタルやテクノロジーを使った業務効率化や付加価値の向上を行うことです。一方でデジタルトランスフォーメーションはデジタルやテクノロジーを使って、業務のあり方や働き方、企業経営そのものを変革する取り組みを意味しています。デジタライゼーションがデジタルの活用に留まるのに対して、デジタルトランスフォーメーションはデジタルを活用して根本的に今までの仕組みを変える取り組みだと言えるでしょう。
当初はデジタライゼーションから始まった企業でも、最近になってデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
企業にはなぜデジタルトランスフォーメーションが必要なのか?
なぜ企業ではいま、デジタルトランスフォーメーションが必要なのでしょうか。
これまでのビジネスを脅かすディスタラプターの台頭
現代社会ではGAFAや4強といわれる、アメリカのIT企業がほとんどの産業を脅かす存在となっています。ITインフラはGoogleに依存し、物流や販売はAmazonが担い、人々とのコミュニケーションはAppleやFacebookが担っています。いまではこの4社のサービスがなければ生活ができないほどです。こうした企業に対抗するには、企業におけるデジタルトランスフォーメーションが欠かせません。
テクノロジーの進化
近年は急速にIT技術が進化しています。AIに始まり、ロボティクスやIoT、ビッグデータ解析や3Dプリンターなど、新たなテクノロジーが次から次へと生まれているのです。新時代の産業革命とも言える現代のテクノロジーを活用することは、企業にとって不可欠な取り組みと言えるでしょう。
日本における労働力不足
日本では少子高齢化により、これから急速に労働力が不足していきます。労働力不足を補い、経済力をこれまでと同水準に保つにはテクノロジーを活用することが不可欠です。例えば労働力の一部をロボットやAIに置き換えていくといったことが今後増えていくでしょう。
このようにデジタルトランスフォーメーションは、これからの時代において企業の生き残りに必須の取り組みといえるでしょう。
デジタルトランスフォーメーションの取り組み方
デジタルトランスフォーメーションが重要な取り組みだと理解していても、実際に取り組むとなるとなかなか難しいものです。デジタルトランスフォーメーションはどのように進めればよいのでしょうか。
現在のシステムの見直し
まずは身近なところから着手しましょう。現在のシステム環境を見直すことが第一歩です。例えばPCのOSが古いバージョンのままになっていないでしょうか。またAS400など非常に古い基幹システムを使用していないでしょうか。こうした旧型のシステムはビッグデータの収集や解析に適していないケースがほとんどです。新たな取り組みを始めるまえに、まずは現在のIT環境を見直しましょう。
情報のプラットフォーム化を見据えたシステムの導入・運用
これからの時代はデータを持つ企業がビジネスを制するといわれています。企業にとって社内外の情報やデータを正しく収集して一元管理することは、今後の事業成長を左右するといっても過言ではありません。現にGoogleでは検索エンジンの技術を活用して顧客からの情報だけでなく、社内の情報も収集して経営へ活用しています。こうした情報を一元管理できるプラットフォームとなるシステムの導入・運用を検討しましょう。
デジタル・テクノロジーを使った新しいビジネスモデルの構築
冒頭にお伝えしたように現代の社会を席巻するGAFAは、デジタル・テクノロジーをフル活用したビジネスモデルで成り立っています。こうした企業に対抗していくには、デジタル・テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルを構築するべきでしょう。
デジタルトランスフォーメーションは場当たり的なシステム導入ではなく、情報のプラットフォーム構築を見据えたIT化や新たなビジネスモデルの構築が重要となります。
デジタルトランスフォーメーションは単なるシステムの導入ではない
デジタルトランスフォーメーションは単なるシステム導入ではありません。経営やビジネスモデルそのものを変えていく取り組みです。こうした目的を実現していくには、どのようにITシステムを活用していけばよいのでしょうか。
まず、コンテンツを作れることが重要です。データを簡単に収集できる現代では、データを集めて分析するだけで簡単にコンテンツをつくることができます。こうしたコンテンツを活用して集客や販売を行うことさえできてしまうのです。また、こうしたコンテンツづくりを実現するためには情報のプラットフォーム化が欠かせません。
データをただ集めるだけではなく、一つのシステムに集めることであらゆる角度から分析が可能になります。特定の業務の効率化だけではなく、さまざまなデータ管理ができることや、システム同士が連携できることがデジタルトランスフォーメーションにおけるシステム導入のポイントです。
もしこれから新たなシステムを導入するなら、用途や目的を整理し、適切なサービスやシステムを選択しましょう。
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