範囲給とは、等級別やポジション別の基準額を中心に、上限下限の幅をもつ変動型給与のことを指す。「バンド給」や「レンジ給」とも呼ばれる。基本給自体に幅をもたせ、同一の等級やポジションであっても年齢、経験、能力などによって格差が生じる給与制となる。従業員にとっては、給与範囲の幅の重なりが小さければ昇進しない限り給与はいずれ頭打ちになり、重なりが大きければ等級が下であっても業績しだいで給与が逆転できることになる。会社の職種の性質などにより適正に設定することが大切である。
設計には、つぎの3つの方法がある。
1)重複型
昇格しても求められる役割に差異がないケースに用いられる。同じ等級にい続けても、年功的に報酬をアップするという報酬額の上限の柔軟性があり、運用上のメリットがある一方で昇格インセンティブが示せない。
2)開差型
重複型の対極にある方法。能力主義で昇格を判断し、それによって役割が大きく向上する場合に用いられる。違いを報酬差でわかりやすく示すことにより、昇格インセンティブを与えられるというメリットがあるが、レンジごとに幅を持たせにくくなるデメリットもある。
3)接合型
開差型ほど昇格によって求められる役割などが変わらないケースに用いられる。
重複型、接合型、階差型、どの方法を採用するかは、昇格によって求められる役割(等級定義に定められている各ランクの定義)などのレベルがどの程度変わるかによって決める。