最近、働き方改革とともに働く場所や環境を見直す取り組みが増えてきました。ワークプレイスを変えることにはどのような意味があるのでしょうか。また、単に仕事場・職場ではなく「ワークプレイス」と呼ばれるようになった背景にはどのようなことが起きているのでしょうか。今回はワークプレイスについて解説します。

ワークプレイスとは?

ワークプレイスとは、単に仕事場という意味ではなく、人が集まって知的生産を行う場という意味で使われています。

近年のITの進歩により、オンライン上でも互いに議論しサービスや商品を生み出すことができるようになってきました。ワークプレイスには従来の物理的な仕事場に加えて、オンラインなどの仮想的な仕事場という意味も含まれるようになりました。

またITの進歩はコミュニケーションの在り方も変えました。スマートフォンやチャットアプリの発展はリアルタイムで場所を選ばない仕事の進め方を実現しています。
さらにIT技術は物理的なオフィスも変えています。SNSの進化により共感が重視されるようになった現代では、人と人とのコラボレーションが重視されます。そのため、オフィスの物理空間もより開放的で、すぐに誰とでもコミュニケーションできる設計のものが増えてきました。

ワークプレイスという言葉は、こうしたIT技術の進歩によって実現した知的生産性の高い仕事場を指すことが多いです。

ワークプレイスが仕事に与える影響

では、ワークプレイスは現代の仕事にどのような影響を与えているのでしょうか。
今までの仕事場とワークプレイス、それぞれの仕事の進め方の違いを見てみましょう

従来の仕事場

従来の仕事場は、座席が固定され、移動の自由がなく、ドアが閉ざされた会議室が中心でした。そのためコミュニケーションは公式的なものが多く、非公式なコミュニケーションは仕事場では除外されてきました。一方、喫煙所や飲み会の場などでは非公式なコミュニケーションが活発に行われ、仕事におけるアイディアがこうした非公式の場で生まれることも多々ありました。

ワークプレイス

ワークプレイスの特徴は、オープンでリアルタイムなコミュニケーションにあります。ITツールを使えば絵文字や「いいね」ボタンで相手に対する共感を簡単に示すことができます。そのため公式なコミュニケーションの中で、これまで非公式の場でしか行われていなかったコミュニケーションも活発に行われ、そこから新しいアイディアが生まれるようになります。

このようにワークプレイスは単に仕事場を変えるだけでなく、仕事や働き方そのものにも影響を与えています。

ワークプレイスとワークスタイル

ワークプレイスの変化はワークスタイルも変えてきました。
例えば固定席のオフィスでは、上司に話かけるために上司の席まで移動する必要がありました。しかし、フリーアドレス化されたオフィスでは上司の隣に座ればすぐに話かけることができます。

その結果、自然と上司や同僚とのコミュニケーションが増え、従来の飲み会での非公式なコミュニケーションが不要になりつつあります。
また最近では、仕事でもチャットが使用されることが当たり前になり、簡単な作業内容の確認であれば「いいね」ボタンを押せば、相手に確認したことを伝えられるようにもなりました。
ワークプレイスの変化は、効率的でより人間らしいワークスタイルを生み出しています。

このように、ワークプレイスが変わるとワークスタイルも変わります。逆に言えば、ワークスタイルを変えるならワークプレイスを変えることが有効的だとも言えます。

ワークプレイスを変える

ワークプレイスを変える
では、ワークプレイスを変えるには、具体的にまず何から取り組めばよいのでしょうか。
まず、いきなり仕事場を変えることは混乱につながる可能性があります。混乱を避けるためには、段階的に変革を進めましょう。

ワークプレイスを変える4ステップ

1、目的を決める
何よりもまずは目的を定めましょう。ワークプレイスを変えることによって何を解決したいのか考えることが重要です。

2、コミュニケーションを変える
いきなり仕事場を変えるのではなく、まずワークプレイスを変えることにより生まれるであろう新しいコミュニケーションスタイルに慣れてもらうことから始めましょう。ITツールを導入してチャットやSNSを使用するところから始めると効果的です。

3、人事制度を変える
フレックスタイム制など、働き方に自由度を持たせましょう。従来の仕事場は固定的な働き方が中心であったため、人事制度も勤務時間や評価基準が固定的になる傾向がありました。そのためまず人事制度の自由度を高めることで、新たなワークプレイスになじむ風土を作れるようになります。

4、最終的に物理空間を変える
ここまで整ったら最後にフリーアドレス化やテレワーク化などにより物理空間を変えましょう。
目的を定め、段階的にワークプレイスを変えることにより働く人も徐々に新しいワークプレイスに馴染むことができるはずです。

ワークプレイスのこれから

今まさに変化しつつある日本のワークプレイス。ではこれからのワークプレイスはさらにどう進化していくのでしょうか。

これからのワークプレイスは「空間の自由化」がさらに進んでいきます。日本では政府と東京都が中心となって2017年からテレワークの推進を行っています。2018年の総務省の調査では、すでに企業全体の19.1%がテレワークを導入しており、会社に出社しない働き方を実践する企業は今後も増えていくことが予想されます。

例えばカルビーでは、本社の従業員全員がテレワークに取り組んでいます。テレワーク推進週間では、全員が出社しないこともあったそうです。
また、最近ではコワーキングスペースの増加により他の企業の人と同じ空間で働く機会も多くなってきています。
テレワークのさらなる浸透により、自宅で働けることはもちろん、働く相手も自分の勤め先だけでなく他社や他国の人とリアルタイムに働けるようになるでしょう。

フリーアドレスやテレワークなどの新しい仕組みや技術発展の先にはどんな未来があるのでしょうか。ワークプレイスはこれからもさらに進化していきます。

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