地域や時代を問わず、世代によって価値観や考え方が異なるのは珍しいことではありません。近年ではz世代と呼ばれる世代の価値観が話題になっています。古くからの若者のイメージとされている『中高年層の古い価値観に抗う若年層』とは異なる、特異な存在として注目されていると言えるでしょう。ここではZ世代に該当する人々が抱く価値観や考え方、仕事への取り組み方についてお伝えします。

コンピューターと共存するのが当たり前の世代

アメリカで言われるようになった呼称

Z世代はジェネレーションZとも呼ばれる、1990年代中期から2010年代前期に生まれた世代を意味する言葉です。Z世代の「Z」はアルファベットの最後の文字であることから『コンピューターが一般に広く普及するまでに生まれた最後の世代』の意味で使われている説がありました。実際はZの文字に特別な意味はなく、Z世代より以前に生まれた世代を意味するx世代やy世代に続く新しい世代としての呼称で使われているに過ぎません。Z世代はアメリカで誕生した呼称とされ、欧州諸国で広まった後に日本をはじめとするアジア圏でも使われるようになりました。日本では2021年に新語・流行語大賞のトップ10にランクインするなど、多くの人に用いられています。

暮らしの中にコンピューターがあるのが当然という認識

Z世代の特徴としてコンピュータへの忌避感を抱いていないことが挙げられます。もっとも古い年代である1990年代生まれでも、物心がつく頃には暮らしの中にパソコンや携帯電話がありました。暮らしの中に最初からコンピューターが存在している世界が当たり前という価値観です、Z世代より以前に生まれた人はコンピューターが暮らしに直接関わらない生活を営んだことがありますが、Z世代の場合はコンピューターが存在しないという認識すら持ち合わせていません。そのため、コンピューター関連の情報更新を抵抗なく受け入れ、常に変化し続けるのが当然と認識しています。古い世代のように機械は難しくてわからないと苦手意識を抱くことはほぼあり得ないのがZ世代です。

コンピューターによる情報処理を主とする仕事はZ世代の得意分野と言えます。

日本におけるZ世代の価値観や考え方について

さとり世代とZ世代の類似性について

さとり世代は日本における世代別の呼称の一種であり、1990年代中期から2000年代中期に生まれた人が該当します。さとり世代は金銭的な価値を重視せず、上昇志向に乏しく現状維持を好むとされていますが、これはさとり世代が生まれ育った時期が平成不況と称される、日本経済が低迷していた時期と重なるためです。周りの大人が必死に頑張っても裕福な生活を営むことができない、非正規雇用で生活が安定しないなど金銭的な豊かさを実感できない事例に触れる機会が多く、そのことからどれほど頑張っても見返りは得られないと悟ってしまうのです。「さとり」の名称は将来に希望を見い出せない諦観の姿勢が悟りを開いた人のように見えるのが由来とされています。

また、さとり世代は生まれた時からパソコンや携帯電話に触れている世代でもあり、知りたい情報はその場で詳しく調べることが当たり前という環境で育ちました。Z世代はコンピューターと共存する世界が当たり前な考え方ですが、この点についてはさとり世代はZ世代とほぼ同じです。日本ではZ世代とさとり世代はほぼ同じ意味で使われていますが、さとり世代はZ世代の一種という考え方は誤りではありません。

即物的かつ短絡的な考えを抱きやすい

Z世代はインターネットで様々な情報を収集するのが当たり前な世代ですが、一方で調べる過程は考慮せず結果だけを求める短絡的な点があるのも事実です。物事に対する主観や自身の理想、希望などは考慮せず、現実的な捉え方のみを求めます。ビジネスにおいては根拠のない理想論よりも冷徹に思えるほどのリアリズムが必要であり、客観的なデータに基づく無駄のない情報展開は歓迎されるのも事実です。しかし、Z世代は即物的な結果を求めるあまり、経験や個人の感情を軽視する傾向にあります。そこから更に短絡的な考え方が肥大し、長期的な視野を持たずに目先のわずかな利益ばかりを求めるケースも決して珍しくありません。

理想論や願望を持たずにシビアな姿勢で仕事に取り組む姿勢はビジネスの現場では望ましいと言えますが、人の手で行われる仕事は経験や個人の感情を無視できないのも事実です。そのため、Z世代に仕事を教える際はその点を注意する必要があります。

上昇志向に乏しいが他者との比較には敏感

不景気な社会で育ったことが上昇志向の欠如に至る

日本ではさとり世代と同一視されることがあるZ世代は仕事で出世したい、お金持ちになりたいなどの上昇志向が欠如していると言われています。仕事を例にすると、お金を稼ぐために残業するより収入が少なくなっても定時での帰宅を優先するのがZ世代の考え方です。これは怠け癖ではなく、仕事でいくら頑張っても相応の見返りは得られないと認識しているためです。Z世代が生まれてから成人するまでの間、日本は不景気の状態が続いていました。賃金の上昇率が鈍く、物価高によって日々の生活を苦しく感じる人は少数ではないという社会です。お金が少なく生活が苦しいことが普通であり、好景気な世界を体感しないまま成人になったのがZ世代と言えるでしょう。

金銭的に恵まれた生活を知らないため、そのような暮らしを営むための手段である出世に関心を抱かないのです。頑張っても報われない、頑張ったらどのようなメリットがあるのか分からないという認識が上昇志向の欠如をもたらしています。

マウントを取ることにこだわる

上昇志向を持たず欲望も強くないと思われがちなZ世代ですが、他者との比較には非常に敏感であり、些細なことでもマウントを取る傾向にある事実は否定できません。仕事への取り組みについても同様であり、結果はもちろんのこと、資料集めの方法や営業における外回りの順番など張り合う必要がない事柄にも優劣をつけることがあります。競争意識を持つのは悪いことではありませんが、足の引っ張り合いにならないよう、言動には十分に注意しなければいけません。

オンとオフの切り替えがはっきりしている

Z世代は何事においても切り替えがはっきりしているのが特徴です。仕事に関してはその傾向が顕著であり、どれほど重要な仕事を任されている状況でもオンとオフの区別にはこだわります。残業や休日出勤はプライベートの時間を削る行為なので極力避ける他、自分に割り当てられた分の仕事が終わったと判断したら他の人が仕事中でも帰宅するのは珍しいことではありません。中高年層の間ではアフター5と呼ばれる仕事の後の飲み会もZ世代は「仕事とは関係のない付き合い」との理由で断るのが一般的です。仕事での人間関係とプライベートの交流は別物という価値観であり、その点がZ世代ならではのオンとオフのはっきりした切り替えに至っているのです。

Z世代の特徴を正しく把握して付き合うことが大切

Z世代は生まれた時からパソコンや携帯電話に触れて育った世代なので、情報処理などコンピューター関係の仕事を抵抗なく受け入れる傾向にあります。一方で仕事とプライベートの区別をはっきりとつける他、金銭的な利益に強いこだわりを持たない価値観を抱いている人が多い世代でもあります。仕事に関する指導を行う際はその点を踏まえつつ、個人の特性や考え方を把握して取り組むことが大切です。

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