今やビジネスマナーはビジネスパーソンにとって意識せざるを得ない存在であり、その範囲もとても広くなっています。しかし非常に重要視される一方で、馬鹿馬鹿しいと軽んじる人が一定数いるのも事実。こうした価値観のズレを正すために、人事として何を行うべきなのでしょうか。ビジネスマナーについて、今一度考え直してみましょう。

ビジネスマナーとは?

「ビジネスマナー」とは、仕事を行う上で必要とされる配慮や礼儀作法を指します。生きていく上で「マナー」を守ることは避けて通れません。一般的なマナーがその場で守るべき礼儀作法や行儀であるのに対し、ビジネスマナーは仕事を円滑に進めるためのものだと考えられています。近年注目されているビジネスマナーですが、それには労働者の属性が幅広くなり、個性が認められるようになったことが関係しています。一昔前は男性だけのものだった労働ですが、現在は女性が働くことも珍しくなくなり、勤務形態も多様です。いろいろな人が気持ちよく働くために、ビジネスの場でのマナーが重要視されるようになったのです。

「マナーを守るのは当たり前だ」と考える人がいる一方で、「マナーなんて堅苦しいから考えたくない」と言う人がいるのも事実です。そんなときはビジネスマナーを身につけることのメリットを考えてみると納得しやすいでしょう。ビジネスマナーを身につけていると、取引先や顧客にいい印象を与えることができます。担当者の印象が良いと、企業全体への印象も良くなりますし、ブランド力も向上するでしょう。逆にどんなに商品やサービスが良いものでも、担当者が威圧的だったり態度が悪かったりすると、相手の満足度は下がってしまいます。ビジネスマナーは会社の利益とも関係しているのです。

具体的な内容

ビジネスマナーにはいろいろな種類があります。人事担当が指導する際、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。

挨拶

挨拶は人間関係の基本であり、ビジネスマナーでも特に重要視されるポイントです。気持ちのいい挨拶は相手に良い印象を与え、お互いにいい関係を築くための足がかりになります。自分では出来ていると思っていても実は上手く出来ていない、ということも多いので、特に注意が必要です。お辞儀は角度によって意味が変わり、相手やシチュエーションに合わせて使い分ける必要があります。

言葉遣い

周囲との円滑なコミュニケーションのためには、正しい言葉遣いが重要になります。例え親しい間柄であっても、仕事をしている間は改まった言葉を使うことが求められます。また、ビジネスの場では丁寧語、尊敬語、謙譲語を使い分けることになります。意外に分かっていないことがあるので、やはり注意したいポイントです。

身だしなみ

取引先や顧客に特に注目される部分です。身だしなみが整っていると、好印象を与えるだけではなく、誠実さや信頼性をアピールすることも出来ます。ビジネスの場では男女共に特に「清潔感」が重要視されます。服装はもちろんですが、髪型や持ち物、女性のメイクも重要な要素です。やはり自分では見えにくいポイントなので、客観的な判断が必要です。指導を行うときもできるだけ具体的に行いましょう。

文章関係

ビジネス文書は、簡潔で分かりやすく書かれているかどうかが重要になります。社内で定められたフォーマットがあるなら、それをしっかり指導する必要があります。メールも誤字脱字はないか、適宜改行が入っているかなどに配慮する必要があります。

電話対応

相手の顔が見えないので、特に気を遣う必要があります。声のトーンや話すスピード、言葉遣いなどを確認しましょう。電話対応は苦手意識を持っている人が多いので、具体的なコツやメモの取り方、聞きそびれたり聞こえなかったりしたときの対応方法も合わせて確認するといいでしょう。

来客対応

この対応で、相手のこちらに対する印象が決まってしまいます。会社の代表として対応していることを意識し、しっかり指導することが大切です。席順や名刺交換など、関連することも一緒に指導すると良いでしょう。

オンラインマナー

テレワークで仕事をしたり、オンラインで商談を行ったりする機会が増えており、それにまつわるマナーも注目されています。一方で「こうすべき」というフォーマットがまだ成熟していないため、マイルールの押し付けにならないよう指導する側も注意しましょう。

新入社員にビジネスマナーを教えるときは

新入社員を相手にビジネスマナー研修を行うときは、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。まず、マナーの本質を理解してもらいましょう。そもそもビジネスマナーとは、仕事をする上で円滑にコミュニケーションを取るため、信頼関係を構築するために存在します。相手を思いやることが大切なのだと最初に教えないと、マナーを単なるルールとしか捉えられなくなりますし、研修にも身が入らなくなってしまいます。名刺交換のやり方、敬語の使い方など基本を教えたら、実際の場面を想定してロールプレイングを行うのがおすすめです。新入社員は具体的なビジネスシーンをイメージしにくいので、先輩社員を交えるなどの工夫をしましょう。

新入社員にビジネスマナーを教えるときは、上から目線にならず、対等な社員として扱うことを忘れないようにしなければなりません。社会人経験がないのでつい学生扱いしてしまいがちですが、こちらが見下すような態度でいると相手も反感を持ちます。新入社員にビジネスマナーが身に付いていないのは学んでいないから当たり前、ということをしっかり頭に入れ、一緒に働いていく仲間として扱いましょう。それが指導側のマナーです。

ビジネスマナー研修は新人だけ?

ビジネスマナー研修は新入社員のものだと考える人も多いですが、最近は中堅社員やベテラン社員でも改めてビジネスマナーを学び直したり、そうした社員を対象に研修を行っている企業が増えています。勤続年数が増えていくとマナーが我流になりがちですし、指摘してくれる上司がいなくなってずっと間違ったまま、ということも起こりがちになるからです。また、マナーは時代に合わせて変化しますし、世代によってマナーに対する考えや思想が違います。ビジネスマナーは一度学べばそれで終わり、というものではなく、時代に合わせてアップデートしていくものなのです。

「本を読んで勝手に勉強して」はNG?

ビジネスマナーの勉強には、書籍を読むのも効果的です。とはいえ、それはあくまで本人が自発的に行うもの。人事担当が「本を読んで自分で勉強して」と言うのは避けるべき行為です。ビジネスの場で必要と言いながら本人に丸投げ、では説得力が皆無ですし、言われた側は放り出された気になって人事に対する信頼感を失ってしまうでしょう。また、ビジネスマナー本は種類が非常に多いため、自分に必要な書籍を探すだけでも一苦労です。また、書籍による勉強は手軽である一方、どうしても実践練習に無理が出ます。マナー研修はロールプレイングなど実践を想定して動いてみたり、お互いにチェックしてフィードバックを行うなど、複数人で取り組むことで効果を高めることができるため、書籍は参考にしつつやはり研修を行うのがおすすめです。

ビジネスマナーの本質を考えよう

ビジネスマナーは仕事の場で非常に重要視されていますが、研修では「なぜ重要視されているのか」「なぜ必要なのか」ということを改めてはっきりさせることが大切です。研修では座学だけではなく、必要に応じてロールプレイングなどの実践形式を織り交ぜることも重要です。お互いにフィードバックを行うことで、効果的に学ぶことができます。

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