ビジネスマンの交渉術に、エレベーターに乗っている時など、限られた時間(30秒~1分)で簡潔にプレゼンを行う「エレベータートーク」というものがあります。先方企業への大切なプレゼンテーションの際にお客様から“時間がないのでポイントを絞って端的に伝えてください”と言われたら、あなたは対応できるでしょうか。
プレゼンテーションは自社の提案を行う絶好の場面。たっぷり時間をかけたいところですが、毎回時間が保障されているわけではありません。特に決裁者の方々が何名もいる場合、会議の時間が限られている場合も想定されます。
プレゼンを成功させるために、「前提を伝えて、背景を話して、情景が思い浮かぶような話をして…」などと考えていた場合、どれも大切な内容であるため、1分ではとても無理!と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、1分間“しか”ないと考えるのではなく、60秒“も”あると捉えてみてください。短時間と思いがちですが、案外時間はあるものです。そこで、短時間の中で相手を納得させるには、どのようなことを考えておくと良いか、3つのポイントに絞ってみたいと思います。
『その1』プレゼンテーションの目的を明確にする
プレゼンテーションにおいては、ゴールがどこにあるかをはっきりさせておかないと、話す側も聞く側も曖昧になってしまいます。今回は自分のクライアントに、自分の提案を理解してもらうだけでよいのか、もしくは最終的に購入などの決断をしてもらうことが必要なのか。それだけでも、伝え方、話し方、構成などが変わってきます。短時間で話す場合には、特に意識しておきましょう。
『その2』論理的(ロジカル)に話す
相手に短時間で効果的に伝えるには、論理的に話すことが必須となります。しかし“論理的”という言葉を聞いただけで、苦手意識を持つ方も多いかもしれません。
では、論理的(ロジカル)とは何なのでしょうか。
「意味がつながっていれば、ロジカル」(引用:「1分で話せ」)とも言われますが、つまりは話の筋道が通っているか、通っていないかです。
小さな子どもが自分の話したい内容をあれもこれも話しているうちに、何を話しているのかわからなくなるときがありますよね。これは論理的ではなく、大人でもこのような話し方をしてしまう場合もあるものです。論理的とは、冒頭の話と、終わりの話に整合性を持たせることです。それだけで“論理的に話す=筋道を通して話す”ことができるのです。
論理的な話し方を助ける方法として、様々なフレームがあります。
- 起承転結
- PREP法(point:結論、reason:理由、example:事例、point:結論の順に話す)
- 三段論法(大前提、小前提、結論の順に話す)
このように何かを伝える方法は様々あります。状況に合わせて使うことが出来ますが、特に短時間で相手に効果的に伝えるには“PREP法”がお勧めです。これらはトレーニングによって習得可能ですので、身につくまで何度も練習してみると良いでしょう。
『その3』話すスピード
短時間だからといって焦って話すと、話の内容が相手の頭に残らず、せっかくのプレゼンテーションを台無しにしてしまいかねません。一方でゆっくり話していては時間切れの可能性もあります。相手に伝わる適切なスピードはどのくらいでしょうか。
NHKのアナウンサーがニュースを読む速度は、1分間に約300文字。このくらいの分量が、聞いていて頭に入りやすいスピードの基準になります。是非ニュースを見ながら口まねしてみてください。意外とゆっくりであることに気がつくかもしれません。
沢山話せば伝わるというものではなく、伝えたいことが、“論理的=筋道が通って”おり、ゆっくりとしたアナウンサー口調のスピードであれば、相手に十分に伝わるといえます。
「1分間で伝えられないことは、何時間話しても伝わらない。」
1分間でまとめられない話は、いくら時間をかけて話したところで、相手を納得させることは出来ません。プレゼンテーションだけでなく日頃から論理的に話すことを“意識”していれば、いざというときにも役に立ちますので、ビジネスマンとしてのスキル向上が望めるのではないでしょうか。
(引用:「1分で話せ」)
参考文献:
「1分で話せ」(伊藤羊一:著)
Amazonのロジカル・シンキングの書籍ランキングで第一位(2018年9月)
この記事を読んだあなたにおすすめ!