人事採用を行うにあたって人材の選定は、会社として求めるスペックの見極めだけではなく、将来性や採用活動に掛けてよい予算など多くの視点で考慮しなければなりません。スペースXやテスラの創設者としても有名な実業家イーロンマスクは、第一原理思考のもと、複数の企業を成功に導いており人事の観点でも通ずるところがあります。そこでイーロンマスクが重視する「第一原理思考」とは一体どのような考え方なのでしょうか。

スペースX創設者イーロンマスクの「第一原理思考」戦略とは

世界的知名度を誇るイーロンマスクの成功は「第一原理思考」に基づく行動にあります。

イーロンマスクの来歴

南アフリカ共和国出身のイーロンマスクは、実業家、エンジニア、投資家など様々な肩書を持ちます。PayPal社の前身「X.com」の設立者、宇宙企業「スペースX」では創設者兼CEOを務め、電気自動車で有名な「テスラ」の創設者でもあります。テスラ子会社である、アメリカの太陽光エネルギー企業「ソーラーシティ」の会長も務めています。
推定保有資産はおよそ3020億ドル(約34兆円)と言われており、2016年にはフォーブス「世界で最も影響力のある人物ランキング」21位に選出、2019年フォーブス「アメリカで最も革新的なリーダーランキング」ではアマゾンのCEOと並んで1位に選ばれています。

第一原理思考とは

第一原理思考は、「シンプル戦略」とも呼ばれることがあります。複雑な問題を抱える目的を達成するには、根本に眠っている当然のことに焦点を当てて問題を見出していくという考え方です。
イーロンマスクのロケット開発を例にすると、ロケットの専門家ではない一般企業がロケット打ち上げを成功させるためには、解決しなければならない問題が山積みです。そんな状況でイーロンマスクが最初に着目したのは1台のロケットが最大6500万ドル(約65億円)するということです。ロケットに関する知識を身に付けたり優秀なエンジニアを集めたりしたところで、一企業がたやすく投資できる金額ではありません。そこでイーロンマスクはロケットがそこまで高額な原因に着目し、単純に安いロケット探しに力を入れるのではなく、高い原因を削ぎ落したロケット開発の方法を追求しました。
分かったことは、1台のロケット開発費6500万ドルに対して材料が占める割合は2%程度だった、ということです。この事実からイーロンマスクは、利益を下げることなくコストを大幅に下げることができると考えました。この段階ではまだ、具体的にどうすればコストを落せるかは見出せていないながらも「ロケットは6500万ドルする」という概念を打ち砕き、新しい可能性を発見しました。

労働力や人件費、技術費、利益の維持をするために多くの問題に向き合う必要はありましたが、結果的にイーロンマスクは従来のおよそ10分の1までコスト削減したロケット開発を実現させました。枠にはまった考え方から脱線して根本に疑問を持つ、しかし確実に必要なものは削らない。というイーロンマスクの思考は、今までにあった固定概念を覆す結果を生み出しました。これが「第一原理思考」です。

第一原理思考の導入方法

イーロンマスクが取り入れている第一原理思考は、真似してみようと思っても安易に実践できるものではありません。第一原理思考を実践するために必要なのはどのようなことでしょうか。

先入観への気付き

第一原理思考とは、ある物事に対して原因を考える際に、積み重ねた歴史や経験に基づいた考え方は一旦置いて、その物事の根本である第一原理に注目しようという考え方です。そのためにはまず、自分の頭の中で「当然そうなるだろう」と思っていること(先入観)に気付かなければなりません。自分の中の先入観に気付いて初めて、先入観を取り除く考え方ができるようになります。

問題解決の思考法と似ていて理解がややこしいですが、積み重ねてきた物事を分解して一から考え直すやり方とは少し違います。例えば製造工場では、製品を作る工程がマニュアルとして細かく決められています。問題発生したときは、マニュアルの工程を遡ってどの段階に原因があったかを分析し、作業の間違いの改善やマニュアルの修正を行います。一方で第一原理思考的な考え方は、正しいはずのマニュアルに対し疑問を持つことで、より最善の方法を生み出していく考え方です。

第一原理思考と対称的な伝統的思考

先入観を覆す、斬新な発想で問題解決に導く「第一原理思考」と対義的な位置にあるのが「伝統的思考」です。どちらが正しいか間違っているかということはなく、それぞれの思考法のもとで実践している企業は多々あります。伝統的思考とは、従来の方法や通常のやり方という常識の枠内の視野で問題について考え、原因追究や改善に繋げます。今までの伝統や歴史を重視する考え方で、経験を活かした形でブラッシュアップしていく方法です。伝統的思考法のメリットは、今まで作り上げてきた基盤に改善や修正を加えるだけなので、仮に失敗しても大きな損害が発生することがない点です。比較的リスクが小さく、安定を維持したい企業に向いている考え方と言えます。上記のような、存在するマニュアルに修正を加えて改善していく方法は伝統的思考です。

第一原理思考は、今までにあった常識を大きく覆すやり方を取り入れるのでリスクもある反面、予想できない程の効果や利益を生み出す可能性を秘めた革新的思考です。経営が右肩下がりだった企業が開発した斬新な新商品が大当たりして復活する、という話がありますがこれは従来のやり方を貫く伝統的思考から第一原理思考に切り替えた企業戦略が当たった成功例です。もちろん奇抜なアイデアを出し続ければいつか当たるという博打ではなく、確実に問題を解決できる糸口を掴むための分析は必要です。

チーム

社員の会社離れを食い止める第一原理思考

企業を成長させるためには利益を向上させなければなりません。それに伴って会社の規模を大きくしていく必要も出てきます。企業の成長のため、人材確保は欠かせない課題の一つですが、優秀な人材が入らない、社員の離職問題など企業が思い描いていた計画通りには進まないものです。珍しく入った優秀な人材に限ってすぐ辞めてしまう、という経験をしたことのある企業に潜んでいる問題はどのようなことなのでしょうか。

社員の会社離れを止める方法は何?

社員が途中で退職してしまう原因は様々です。大抵、辞めていく社員は本音の退職理由を語りません。社員が会社に対し求めていることと、会社が社員のために取り組んでいることがずれていると対策を打ったところで社員の離職は止まりません。社員の満足度を高めるため、会社として取り組める改善策は例えば以下のようなことです。
・給料の増加
・休日出勤、残業時間を削減
・福利厚生の充実
・社員の生活環境のサポート体制整備

社員が給料や仕事量に不満を持っている場合は以上のような改善次第で離職は抑制できます。これらは会社が社員に対して直接的に改善を図ることができます。しかし、これだけ会社の環境は整えているにも関わらず会社離れが止まらない場合もあります。途中退職する社員の退職理由として多いのは「人間関係によるストレス」です。

人間関係のストレスの原因はどこから

社員に対するサポート体制の整った企業では、メンタル管理の一環として職場カウンセリングを設置している企業もあります。過剰労働の抑制やカウンセリングの設置は社員をケアする有効な対策ですし、社員の離職率を減らすことには繋がるでしょう。ただし、この対策に問題があるとすれば「社員のケアやサポート対策が万全であれば解決」という先入観です。そこで第一原理思考を取り入れるならば、そもそも社員のストレスとなっている原因はどこなのでしょうか。ケア対策は万全ですが、ストレスを引き起こしている元凶に焦点が当たっていません。ストレスの原因は、社員同士のコミュニケーション不足かもしれないし、成績優秀な上司が見えないところで行っているパワハラかもしれません。社員の会社離れ問題にも、実業家イーロンマスクも実践する第一原理思考が解決策を生む可能性を秘めています。

先入観にとらわれない考え方

以上、イーロンマスクも実践する第一原理思考について紹介しました。イーロンマスクは根本に疑問を持つ考え方で常識を超えたロケット開発を実現させました。元々存在するルールや常識には正しいという先入観を持ってしまいがちですが、敢えてその第一原理に着目して考えることが革新的な成功を導き出します。もし、ある課題に悩んで停滞している場合は第一原理思考を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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