ブラック企業は昔から社会問題として取り上げられていますが、それとは逆のゆるブラック企業も話題になりつつあります。ゆるブラック企業は端から見るとホワイトな環境に見えるので、他の人に相談してもあまり転職を勧められない、それどころか転職するのがもったいないと言われてしまうことも多いです。そこでここでは、ゆるブラック企業とは何かに加え、ホワイト企業との違いについても解説します。
ゆるブラック企業とは?
ゆるブラック企業とは、ブラック企業とは正反対で常に暇でやることがなかったり、任される仕事が簡単すぎたりして成長しがいを感じられない企業のことを言います。これだけを聞くと、とても楽な仕事と感じるかもしれません。しかし、将来的なことを考えるとスキルが身につかない、成長が見込めないと感じてしまう人が多く、人材を腐らせてしまうとしてゆるブラックと呼ばれています。
ゆるブラック企業の特徴としては、人間関係が良好だったり、残業がほとんど発生しなかったり、パっと見良い職場に見えるところが挙げられます。このように、ホワイト企業に求められる条件が整っているので、転職しようと思って人に相談しても、「転職するのはもったいない」と言われて転職に踏み切れない人が多いです。
ゆるブラック企業とホワイト企業の違いは?
ゆるブラック企業は、ほぼホワイト企業と捉えられがちですが別物です。労働者が企業に求める条件としては、「働きやすさ」と「働きがい」の2つが大きな要素ですが、その中でも働きやすさばかりに注目されて働きがいがおろそかにされてしまった企業が、ゆるブラック企業と言えるでしょう。ホワイト企業では、労働者が働きやすい環境を整えているだけでなく、労働者の将来のことも考えたキャリアプランが用意されており、責任のある仕事も任されます。多少難易度が高く、繁忙期には残業続きになってしまうこともありますが、ホワイト企業なら社会人として成長でき、仕事に対してやりがいも感じられるでしょう。それに対してゆるブラック企業は、任される仕事が簡単な仕事ばかりで成長できない、そもそも仕事量が少なすぎて勤務時間の大半が暇な時間になってしまうなどして、やりがいも将来性も感じられません。ただゆるブラック企業は体力的にも精神的にもストレスがなく、気楽に働ける環境であることからゆるブラックと呼ばれています。
ゆるブラック企業で働くメリットは?
ゆるブラック企業で働くこと自体は、人によってはメリットになることもあります。まずはゆるブラック企業のメリットから見ていきましょう。
気楽に働ける
ゆるブラック企業の業務の大半は仕事量が少なく、残業も滅多にないので体力的にも精神的にも負担が少ないです。社会人として働いている人の中には、仕事でのストレスに悩まされている人も多いでしょう。ゆるブラック企業なら仕事におけるストレスが少ないので、働いている人もイライラしている人が少なく、職場の人間関係も良好になりやすいです。
スキルがなくても働ける
ゆるブラック企業では、スキルが求められない簡単な仕事が中心になりがちです。スキルがなくても働けるので、これまであまりスキルが求められない仕事をしてきた人や、やりたい職種に就くための勉強ができなかった人でも安定した環境で働けるようになります。特に、年齢が高くてスキルがない人は転職したくてもなかなか採用してくれるところがありません。そこで、ゆるブラック企業なら職歴やスキルがない人でも働けるので、働き先に困っている人からすると良い職場と感じるでしょう。
離職率が低い
ゆるブラック企業は難しい仕事を任されず、残業も少ないので、健康的に働ける環境という面に着目すれば良い職場と言えます。そのため、離職率は低くなりやすく、人材を時間をかけてじっくり育てられ、職場で働く労働者の信頼関係もしっかり築けるでしょう。
ゆるブラック企業のデメリットとは?
ゆるブラック企業は、緩く働きたい人からするとメリットばかりかもしれません。しかし、将来的なことを考えるとデメリットの方が多いです。それでは、ゆるブラック企業のデメリットも見ていきましょう。
スキルが育たない
ゆるブラック企業は仕事が楽なのが魅力的ですが、簡単な仕事である分、今後社会人として成長できるようなスキルは身につきにくいです。そのため、若い人ほど将来に不安を感じて離職しやすい傾向にあります。
給料が上がりにくい
ゆるブラックは簡単な仕事ばかりなので、評価に関しても遅刻をしない、職場の輪を乱さないなど簡単なものばかりになりがちです。そのため、給与も上がりにくく、特に年齢が高くなればなるほど同世代の社会人との年収の差が開いてしまいます。
中間層が育ちにくい
ゆるブラック企業は、将来をあまり意識する必要のない高めの年齢層の人からすると、気楽に安定して働ける企業なので魅力的ですが、若い人からすると将来に不安を感じる企業と言えるでしょう。それ故に高めの年齢層の人ばかりが定着し、若手は管理職として育てる前に離職しやすい傾向があります。安定して組織を回すには、20代後半〜30代の中間管理職になる年齢層の人材が必須です。しかしゆるブラック企業では、この年齢層の人材が育ちにくいので、将来的に組織が回らなくなるリスクが高くなります。
ゆるブラック企業にならないためには働きがいのある環境を整えることが大切!
ゆるブラック企業が増えた原因には、パワハラなどハラスメントや過剰なレベルの残業が社会問題となり、働きがいを追求するために社員に問題点を指摘しにくくなったり、残業が発生するレベルの仕事を任せにくくなったりしたことが挙げられます。このせいで十分にマネジメントができず、成長できないゆるブラック企業ができあがってしまうのです。ゆるブラック企業にならないためには、社員が働きがいを追求できる環境を整えることが重要でしょう。それでは、働きがいを追求できる環境づくりとして企業が意識したいことを紹介します。
上司と部下の信頼関係をしっかり築く
理想的な労働環境とは、上司と部下が信頼し合い、仕事の分担がしっかりできている環境のことでしょう。そこで上司と部下の信頼関係をしっかり築くには、上司が部下のスキルや特性を把握し、部下に適切な指導を行うことが大切と言えます。そのために上司は、自分の部下にどの業務を任せられるのか、どのくらいのビジネススキルを持ち合わせているのかをリストアップし、部下がスキルアップできるように仕事を割り振っていくことが大切です。部下も上司から仕事を任されることで、上司に対する信頼が芽生え、上司・部下双方の信頼関係が強固なものになります。
社員の向上心を無駄にしない
新しいスキルを身につけて、スキルアップしたいと思っている社員は多いです。そこで、スキルアップのために社員のやりたいことを定期的にヒアリングし、積極的に仕事を任せていくことで、社員は仕事に対してやりがいを見出し、人材の定着に繋がるでしょう。
評価制度をオープンにする
ゆるブラック企業は任される仕事が簡単過ぎるゆえに、頑張っても徒労に終わってしまうことが多いです。そこで、頑張ろうとしている社員を無駄にしないためには、評価制度を明確にし、昇給や昇進など目にわかる形で評価できるシステムを作ることが大切でしょう。
ゆるブラック企業は将来性がない!環境を整えて社員が活躍できる会社にしよう!
ゆるブラック企業は気軽に無理なく働ける魅力的な企業に見えるかもしれませんが、特に若い社員が定着しにくく、将来的に組織が回らなくなってしまうリスクを伴います。企業内にゆるブラックになりつつある部署があるなら、働きやすさだけでなく働きがいも追求し、社員が高いモチベーションを維持して働ける環境を整えてください。
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