内閣府はAI戦略として、「多様性」「持続可能」「人間尊重」という3つの理念を掲げています。人工知能を活用して人材や産業競争力に技術体系、そして国際という戦略目標を設定し、日本が抱える社会課題の克服や産業競争力の向上を目指すというものです。では、このAI戦略を進めていく上で社会にどのような影響があるのか、特に雇用への影響も含めてメリットと懸念点についてそれぞれ詳しく見ていきます。

メリット①労働力不足を解消出来てさらにコストの削減にもつながる

内閣府が掲げるAI戦略が社会に与えるメリットとは何かというと、まず雇用において労働力不足の解消につながるということです。単純作業をAIに任せて自動化してしまえば、その作業をしていた労働力が浮き、他の仕事に回すことが出来ます。特に人手が慢性的に不足している農業や漁業では、AI化を進めることで労働力不足を解決出来るので大きなメリットです。例えば、農業では人間がやっていた農薬の散布作業をAIを搭載したドローンで自動化すれば、効率良く作業を行うことが出来て人手不足解消にもつながります。

また、コスト削減につながるというのも大きなメリットです。単純に人間を使ってやっていた作業を代わりにAIに任せられるので、人件費を削減することも出来て、企業も雇用を抑えた効率の良い経営活動をおこなえるようになります。さらに人件費の削減効果だけでなく、AIを使うことでデータを集約する環境を構築することが出来るので、その結果運用データに基づくリソースの使用効率とパフォーマンスの両立を支援するというような最適化をサポート出来て非常に便利です。

メリット②生産性や安全性が向上し、雇用では優秀な人材の確保につながる

生産性が向上するというのもメリットです。単純作業はどうしても人間がやるとなるといくら慎重に行っていてもミスが出てしまいます。しかし単純作業はAIが得意とする分野なので、これを機械に任せることが出来ればミスは大きく減らすことが出来て、生産性の向上につながります。その結果雇用に必要以上のお金をかけること無く、より少ないコストで最大限の効果を出すことが出来るというのが魅力です。

また安全性が向上するというのもメリットの1つとして挙げられます。人間が行っていた作業をAIに任せることで、人間が巻き込まれるような事故を減らすことが可能です。さらに工場を自動化すれば、事故そのものを防ぐということも出来るようになります。膨大なデータに基づいて高精度な予測や検知が出来るようになり、危険作業の撤廃や完全自動運転化、インフラ設備の老朽化や機械の故障予測、検知等でそこで働く人の安全性の向上につながります。工場が安全ということが広く社会に広がれば、その会社で働きたいという人も増え、雇用で優秀な人材確保にもつながります。

他にも生活利便性が向上するというのもメリットです。幅広い分野でAIによって作業が自動化されることで、24時間365日休みなしで提供されるサービスも増加します。しかも機械は迅速かつ安全なので、生活利便性は向上し、より暮らしやすい社会になるというのも大きな魅力です。

メリット③顧客満足度や従業員満足度が向上する

顧客満足度が向上するというのもメリットです。AIを活用することで、膨大な顧客データを使った分析を迅速に行うことが可能です。それを活かすことでサービス全体のレベルも上がり、それが顧客満足度の向上にもつながります。例えば顧客がインターネットで商品を購入した時に、過去のデータを分析することでおすすめ商品を知らせることが出来ますし、市場動向を分析して自社の商品に対してどれ位の需要があるかを予測して適切な在庫管理が出来るようにもなります。

また比較的問い合わせの多いような質問や単純な質問はチャットボットやAIガイドに任せ、難しく複雑な質問はスタッフが対応するというように出来るので、よりきめ細かいサービスを提供出来るのもメリットです。こうして顧客満足度が上がれば、自社の製品やサービスだけでなく、会社自体を好きになってくれる人も増え、この会社で働きたいという人が増えて優秀な人材の獲得にもつながります。

他にもAIを導入することでマネジメント層のリソースが空き、社員やスタッフに対するケアがはかどり、従業員満足度の向上も期待出来るというのもメリットです。加えて定型業務をAIに任せることで、発想力や創造力が求められるような作業に人材を集中させることが出来ます。その結果、より魅力的な商品やサービスを社会に提供出来るようになり、会社の人気も上がり雇用にも良い影響を与えます。

懸念点①仕事がなくなる恐れがある

内閣府が掲げるAI戦略を企業が導入することで、雇用が減少する恐れがあるというのが懸念点です。より分かりやすく言うと、AIでも出来るような単純作業の多い仕事はなくなる可能性があるということです。

例えば、一般事務員や銀行員がおこなうような事務作業もAI化が進めば無くなる可能性は高いですし、会社の受付係もタッチパネルで十分です。またロボットが警備出来るようになれば警備員はいらなくなりますし、スーパーやコンビニのレジもセルフレジ化が進めばレジ打ちをする人はいらなくなります。それから、電車やタクシー等は自動運転化が進めば必要なくなるかもしれませんし、工場も自動化が進めば工場作業員と呼ばれる人もいなくなるかもしれません。このように、比較的単純作業が多い職種の雇用がなくなる恐れがあります。

しかし、こうした仕事が減ったとしても、例えばスーパーやコンビニならレジを担当する人がいなくなる一方で、商品の陳列や品出しといった複雑な作業はなくなりませんし、AI戦略が社会に浸透していけば新たに生まれる仕事もあるので、それほど心配する必要もありません。

グラフ

懸念点②情報漏洩のリスクが増えリスクマネジメントの必要性が上がる

AIは膨大なデータを基に学習して分析をするため、企業内の機密情報や顧客情報がネットワークを通じて伝わることになります。そのため、ハッキングによって情報が外部に漏洩するリスクが増えるというのが大きな懸念点です。顧客情報が外部流出することで企業イメージが大きく下がり、会社に対する信用が下がれば雇用にも大きな悪影響を及ぼしかねません。

また情報漏洩のリスクは外部からだけではなく、内部から生じることもあり得ます。悪意を持って情報流出する人もいれば、パソコン等での情報管理に不慣れな人が意図せず外部流出させてしまうリスクもあるので注意が必要です。そのため、情報漏洩による企業イメージの損失ということを避けるためにもセキュリティ対策は欠かせません。社内に詳しい人がいないのであれば、外部から雇用する等の対策が必要です。

他にも、企業でAIを導入するにあたって、トラブルが起きないように導入する前に試運転をして、システムに問題がないかチェックすることも重要です。いきなりシミュレーションなしで導入してしまうと、何かトラブルが起きた時に被害が甚大なものになってしまう恐れがあります。そうならないためにも導入前にはAIリスクを管理するサービスがあるので、上手に利用して万全を期すようにしましょう。

懸念点③コストが一時的に増える

内閣府が掲げるAI戦略を自社でも導入しようと、AIを導入するとなるとコストが一時的に増えます。しかも一部導入ではなく本格的に全面導入ともなると、システムの根幹からすべて切り替えるということにもなり、かなりの時間とコストがかかってしまいます。

AIは色々なデータを分析して学んでいき、ようやく運用出来るようになるものなのである程度のランニングコストも必要です。そのため、会社に資金力があれば問題ありませんが、資金力に余裕がない会社が労働力のコスト削減を狙ってAIを導入すると、かえって費用ばかりがかさんで思ったような効果も上がらないという結果にもなりかねません。そうならないためにも、導入初期にはある程度お金がかかるということは知っておきましょう。

AI戦略が浸透することでなくなる仕事もあるが、新たに生まれる仕事もある

内閣府が掲げるAI戦略により労働力不足の解消や、コスト削減等のメリットがあります。その一方で単純作業の多い職業はAIにとって代わられ、雇用を失う恐れもあります。AI戦略が社会に浸透することでなくなる恐れのある仕事もある一方で、人間にしか出来ないようなより高度な業務に取り組んでいく方針に切り替えるべきといえます。

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