世代が変わると性格や価値観が大きくずれてしまうのは、珍しい現象ではありません。人事担当者は世代の違いを理解しながら、それぞれに合った接し方を考えることが大切です。そうすればすべての社員が職場でのやりがいを感じられて、離職率低下につながるでしょう。この記事では、「Z世代」と呼ばれる層の性格や職場での傾向について解説します。

Z世代とは何年生まれのこと?時代背景も紹介

世代の特徴を知るには、その人たちが育ってきた時代背景を理解しなくてはなりません。この段落では、Z世代の年齢や背景について紹介します。

由来と年代

アメリカで広まった「ジェネレーションZ」という言葉がZ世代の語源だとされています。Z世代は、1990年半ばから2010年代までに生まれた層を指す言葉です。彼らは2010~2020年ごろに成人を迎え、社会に羽ばたいてきました。

Z世代の生まれ育った時代背景

以下、Z世代の生まれ育った時代背景を象徴する、3つのトピックを挙げます。
まず、大きなトピックは「インターネットが日常的にあること」でしょう。Z世代が生まれたときから、インターネットは普通に広まっていました。また、携帯電話やパソコンが浸透してから、Z世代は学生生活を始めています。つまり、Z世代にとってインターネットや携帯端末は非常に身近な存在です。これらの機器を感覚的に扱える人は多く、SNSや配信サービスについても抵抗なく受け入れています。

次に、「紙媒体へのなじみのなさ」も重要な時代背景です。Z世代が10代、20代を迎えるころには、新聞や雑誌といったメディアが衰退していました。そのかわり、メディアの中心はWebに移行していきます。Z世代はスマートフォンやパソコンを使い、Webメディアで情報収集するのが当たり前でした。その後、Z世代に向けたWebコンテンツやSNSのサービスなども急速に発展していきます。

そして、Z世代はインターネットで世界中の情報を集めていることから、「時事問題に深い関心」を示してきました。その中でも、セクシャリティやワークライフバランスなど、多様性に関する問題はZ世代の大きな関心事です。さらに、Z世代は大きな自然災害やリーマンショックといった、社会の変動に直面してきました。こうした出来事は、Z世代を現実的な価値観に結びつけたと考えられます。

Z世代の特徴!長所と短所を押さえておこう

インターネットと多様性の時代で育ってきたZ世代には、他の世代にはない性格的特徴がいくつか見られます。ここからは、Z世代の性格を長所と短所に分けて紹介していきます。

性格面での長所

まずは、Z世代の主な長所です。

  • ネットリテラシー
  • 価値観の柔軟さ
  • 自分らしさを追求する
  • 金銭感覚がしっかりしている

幼少時からインターネットに触れてきた人が多いZ世代は、感覚的にスマートフォンやパソコンを扱えます。上の世代には難しく思えるような作業も、Z世代はすんなりとこなせます。また、ネットでの情報収集力も高いといえるでしょう。次に、Z世代は価値観の多様性を認める傾向にあります。性別や学歴、国籍などに対する偏見が薄いのは特徴的です。このことは、Z世代が自分らしさを重要視している点にもつながります。Z世代の多くは世間から押し付けられた規範をそのまま受け入れず、個性を大切にしながら生きようとします。

現実主義からくる、金銭感覚の真っ当さもZ世代に多く見られる性格です。Z世代は無駄遣いを好まず、生活費や自己啓発など、意味のあることにお金を使う傾向が顕著です。そのかわり、本当に必要なものには高額の出費も惜しみません。堅実な情報収集によって品物の価値を明確に見定めているからこそ、大胆な決断も下せるのです。

性格面での短所

決定的に「Z世代の短所」と呼べるような性格はありません。ただ、捉え方次第で短所にもなりえる傾向は以下の通りです。

  • 上の世代に対してもオープン
  • 不平等に敏感

Z世代は年齢や役職が違うからといって、極端に態度を変えることが少ないといえます。なぜなら、Z世代の根底には多様性への理解があり、年功序列を理不尽だと考えているからです。そのため、先輩や上司にもオープンなコミュニケーションを求めます。こうした振る舞いを「なれなれしい」と思う人もいるでしょう。また、Z世代は不平等な状況に敏感です。作業量や報酬を不平等だとみなせば、はっきり抵抗します。ときとして、Z世代は上司が扱いにくい存在にもなりえます。

Z世代の職場での傾向!仕事の進め方や人間関係は?

実際にZ世代が就職すれば、どのように働くのかを理解しておきましょう。ここからは、Z世代の仕事の進め方や、人間関係の築き方を解説していきます。

自分で判断を下すことが多い

年功序列にとらわれないZ世代は、重要な判断を人任せにすることが少ないといえるでしょう。上司の意見が間違っていると思えば、自分の意見を強く主張します。一方で、信頼している人の意見は素直に受け入れることもあります。

ワークライフバランスを重視

Z世代には、「仕事が何よりも優先」という人がそれほど多くありません。仕事とプライベートをどちらも充実させて、相乗効果を生み出したいと考える傾向にあります。そのため、無駄だと感じる残業や休日出勤はしません。仕事や同僚との飲み会などで、プライベートの時間を削られる事態も嫌います。

会社よりも人に尽くしたがる

場所や立場への帰属意識が薄いのはZ世代の特徴です。上司から「会社のために」と言われても、Z世代は抵抗を覚えます。ただ、信頼できる相手には「認められたい」「尽くしたい」と考えます。

当事者ではなくても差別や不平等に怒りを覚える

職場でのハラスメントや不平等について、Z世代は強い怒りを抱きがちです。自分が被害の当事者でなくても、そのような問題があること自体に批判精神を持っています。たとえば、「女性が管理職になりにくい」「すぐに怒鳴る上司がいる」という職場は、Z世代にとって受け入れがたいものです。また、加害者に激しい嫌悪感を表すこともあります。

Z世代との接し方!人事担当者が気をつけるべき点は?

人事担当者はZ世代との接し方を考え、彼らや彼女らのモチベーションを維持するようにしましょう。ここからは、人事担当者がZ世代と接するうえでの注意点を挙げていきます。

精神論ではなく根拠を示す

「やればやっただけ報われる」というような精神論は、z世代の共感を呼びません。Z世代の多くは不要な努力を避けたがるからです。ただし、効率的で結果につながりやすい方法であれば、Z世代は真剣に取り組みます。Z世代の人事では、「なぜこの仕事を任せるのか」と根拠を示し、やる気を引き出しましょう。

集団ではなく個人を見る

Z世代は「君たちは」「この年度の社員は」といった呼ばれ方を好みません。個性を大切にして生きているので、集団でひとくくりにされるのが許せないのです。そこで、Z世代の指導は集団ではなく、個人に対して行いましょう。定期的な面談で、不満や要望をヒアリングするのは代表的な方法です。そのほか、社内SNSを導入し、意見の発信をすぐできるようにするのも効果的です。

理解者をメンターにする

自分を分かってくれていると思えた相手に、Z世代は貢献したいと考えます。そうなるように、Z世代の理解者をメンターにすることが肝心です。Z世代がメンターのために努力するだけでなく、「この会社にも尊敬できる先輩がいる」と思わせられるからです。メンターのようになりたいとz世代が望めば、離職率の低下にもつながるでしょう。

社内の問題には毅然とした態度を

ハラスメントや差別の報告を受けたら、人事担当者は毅然とした態度をとりましょう。Z世代は社内の不平等について、非常に批判的です。人事担当者が曖昧な対応を見せてしまうと、会社に失望しかねません。Z世代が長く働ける職場を作るには、「不平等は許さない」という姿勢を徹底しましょう。

Z世代は新しい価値観を呼び込む存在!特徴を受け入れて育てよう

多様性に敏感で、効率性を重視するZ世代は、年長者からすると変わった存在に見えることもあるでしょう。しかし、逆をいえばZ世代は企業に新しい価値観をもたらしてくれる社員にもなりえます。企業が時代に対応するうえで、Z世代の考えや行動は非常に役立ちます。人事担当者は彼らや彼女らの特徴を受け入れながら、まっすぐ育てていくことが大事です。

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