あなたは管理職になりたいですか?昇進を繰り返してゆくゆくはトップまで、と考えている方もいるかもしれません。ですが現在、管理職にはなりたくない、自分が指名されたら罰ゲームだと考えている人が増えています。管理職人材は企業マネジメントにおいて欠かせません。なりたくないと思われないためにはどうすればいいのか、現状の問題点と対策を見ていきましょう。

管理職は罰ゲーム?

昔から、中間管理職は上司と部下の間に挟まれることや他部署との連携、またマネジメントとプレーヤーどちらの役割を求められることによって大変と言われてきましたが、近年はより大変さが増し、できれば避けたい、なりたくないと考える人が増え、管理職に抜擢されることはまるで罰ゲームだと考える人も出てきました。かつては中間管理職は大変と思いながらも、経験を積み業績を上げていくことで裁量が大きくなり、給料もアップし、もっと高い役職を目指すという志向が今よりも強い傾向にありました。同期入社の中で、誰が最初に出世するかを競い合ったり、先を越されて悔しい思いをしたり、出世した同僚をうらやんだりするといったエピソードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ですが、今はそもそも管理職になりたくない人が増え、その中から選ばれてしまうと、まるで罰ゲームだと思われるようになっています。もっとも、これは笑い話ではありません。企業にとっては大きな問題で、意欲的なマネジメント層が育たず、組織が崩壊するおそれもあります。

管理職になりたくない理由

では、管理職が大変と感じるだけでなく、なりたくないと考える人が増えているのはなぜでしょうか。中間管理職の場合、昔から上司と部下の間に挟まれて大変と言われてきました。上司の言うことは絶対、部下にそれを伝えながら、業績達成を目指してフォローしなくてはならないからです。一方、現在では少し様子が違っています。

かつては、上司の言うことは絶対という雰囲気が部下にもあり、部下は中間管理職の指示や命令に従おうとしてくれました。ですが、今は上司の言うことは絶対なのに、部下は「何でですか。」「何でそんなことするんですか。」と反発することや不平不満を平気で主張してきます。世代ギャップが生じ、よりコントロールが大変になっています。

また、近年の働き方改革やハラスメント対策も、管理職が罰ゲーム化する理由の一つです。働き方改革によって、残業をさせてはいけない、申し出があれば有休を認めなくてはならない、無理に仕事を押し付けてはならないといった環境になっています。部下にとっては、上司も優しくなって働きやすい環境かもしれませんが、業務量が変わらず、人手不足で業務が回らない以上、管理職が部下の業務までフォローする必要が出てきます。業務をこなしながら、マネジメントもしなくてはならないのです。

また、うっかり指示や命令をしたり、部下のミスを指摘したり、注意をするとパワハラだと言われることがあります。部下とコミュニケーションを取ろう、部下を元気づけようとランチや飲みに誘っただけでも、無理に連れて行かれたとパワハラ扱いされることや頑張れと肩を叩かれてセクハラされたなどと訴えられてしまいます。ほんの些細なこと、客観的に見てもパワハラ、セクハラには至らない行為であっても、一度声をあげられてしまうと簡単にはその場を収められません。すると、余計なことは言わない、余計なことはしない、怒らない、大きな声は出さないと回避型のマネジメントをするようになり、部下を腫物のように丁重に扱う管理職が増えてきます。上司や社長のお伺いを立てつつ、部下にも配慮しなくてはならず、ストレスが溜まります。

罰ゲームにならない管理職になるための対策づくり

組織には、リーダーシップを執っていく人材は欠かせず、管理職の成り手が育たない場合や回避型マネジメントでストレスを溜めるばかりの管理職になってしまうのは問題です。回避型マネジメントを続けて行くと、管理職がストレスでメンタルヘルスに起因する休職や退職に追い込まれるケースもあります。

一方、回避型マネジメントは管理職と部下の関係が希薄で、信頼関係が築かれないため、わずかなことでパワハラを訴えられるなど、パワハラ回避のつもりが、パワハラが起こりやすくなるリスクにもさらされています。そのため、どのようにすれば罰ゲームにならない管理職になれるのか、育成システムや管理職研修、管理職の負担を軽減する対策を講じなくてはなりません。

部下の行動と管理職の行動の関係性

部下の行動には大きく分けて、配慮的行動、批判的行動、積極的行動があります。

配慮的行動は管理職である上司に配慮し、なんでも確認することや報告しようとします。報連相を徹底するのは望ましいですが、上司の指示がないと何もできず、自分で考えて行動が取れなくなるのが問題です。批判的行動は、上司を批判することや反抗するもので、パワハラを訴える原因にもなります。そして、積極的行動とは、自分に割り当てられた以上の仕事を進んで行うなど、自分で考えて行動してくれる部下の行動です。一線を越えると上司がフォローしなくてはならないリスクはあるものの、業務をしっかりこなし、期待以上の成果をあげてくれれば、管理職の負担軽減につながります。こうした部下の行動は、部下の性格で差がつくわけではありません。

大きな影響を与えるのは、管理職である上司がどんな指示や行動をしているかです。上司が厳格で厳密なマネジメントをすると、部下は配慮的、批判的行動になりやすくなります。たとえば、日々の計画や業務内容をしっかりと確認し、それを厳格に行うように指示することや成果が上げられたか細かく確認をするなどし、柔軟性に欠けるタイプの上司です。これに対して、柔軟性を高め、臨機応変なマネジメントを行うと、部下の配慮的行動が減り、積極的行動がやや高まります。たとえば、新たな仕事のノウハウを教えたり、課題の解決法を提示したり、自分で考えるためのヒントを与えたり、何かさせる時に裁量を与え、臨機応変に業務を行うことを許すようなタイプです。

さらに、部下を信頼・承認するマネジメントを行うと、部下の配慮的行動は減少せず、やや増えながらも積極的行動力が大きく上昇します。これは、部下が上司のために、会社のためにと配慮しつつ、自分で考えて、指示された目的や目標を達成しようとするものです。こうした部下がいれば、マネジメントもしやすくなり、成果も出て、業績アップにもつながります。どのようなマネジメントを行うべきかというと、部下に関心を示し、話やアイディアに耳を傾けること、部下を信頼し、部下の能力を認めて任せること、部下が良い仕事をした場合や成果を出したら素晴らしいと認めることなどが挙げられます。

まとめ

管理職になるのは罰ゲームだと考え、管理職になりたくない人が増えています。世代ギャップが生じ、上司には逆らえず、部下には逆らわれるといった板挟みに合うことに加え、働き方改革で部下の業務量が軽減される分、管理職の業務量が一層増えることやパワハラやセクハラ対策として回避型マネジメントをする人が増えているためです。これを防ぐ対策として、部下を信頼・承認するマネジメントを実践していくことを推進してみてはいかがでしょうか。

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