「制度はあるのに、なぜ育休取得率が上がらないのか?」
多くの企業が直面しているこの課題は、単なる制度不足ではなく、“制度設計の精度”と“社内文化”の問題に起因しています。

厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業取得率は84.1%に達する一方で、男性は30.1%にとどまり、企業規模が小さくなるほど取得率は低下する傾向が見られます。令和7年の育児・介護休業法改正では、取得状況の公表義務拡大や柔軟な働き方の措置義務化が進み、企業の対応は“努力目標”から“経営課題”へと変化しました。

本記事では、育休取得率を本質的に高めるための制度設計のポイント、社内文化づくりの具体策、アンケート活用法、成功企業事例、そして専門家活用の重要性まで体系的に解説します。

目次

なぜ今「育休取得率向上」が経営課題なのか

育休取得率を上げることは、もはや福利厚生の充実という枠を超えた「経営課題」です。少子高齢化が進む中で人材確保競争は激化しており、育児と仕事の両立支援が整っていない企業は、優秀な人材の採用・定着において不利になる可能性があります。さらに、法改正により企業の説明責任も強化され、取得率は“公表される経営指標”へと変化しました。ここでは、データ・法改正・人的資本経営の観点から、なぜ今育休取得率向上が重要なのかを整理します。

最新データから見る男女差と企業規模別の現状

厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率は女性84.1%に対し、男性は30.1%と依然として大きな差があります。男性の取得率は上昇傾向にあるものの、約3割にとどまっているのが現状です。

また、企業規模別に見ると、従業員規模が小さいほど取得率が低い傾向が見られます。特に中小企業では、代替要員の確保が難しい、業務の属人化が進んでいる、取得者が前例として少ないなどの理由から、心理的ハードルが高い状況にあります。

  • 女性84.1%/男性30.1%(令和5年度・厚生労働省調査)
  • 中小企業で取得率が低い理由(業務の属人化・代替要員不足・前例不足)
  • 取得率公表義務の拡大(従業員300人超企業へ拡大/令和7年改正)

令和7年改正では、育児休業取得状況の公表義務が従業員1,000人超企業から300人超企業へ拡大されました。これにより、取得率は社外から評価される指標となり、企業は実態改善を伴わない形式的な制度整備では対応できなくなっています。

令和7年改正の重要ポイント

令和7年の育児・介護休業法改正では、育休取得促進を後押しする複数の措置が導入されました。企業には制度の整備だけでなく、実効性のある運用が求められます。

  • 子の看護等休暇の拡充(対象年齢拡大・取得事由追加)
  • 柔軟な働き方措置の義務化(始業時刻変更・テレワーク・時短勤務などから2つ以上選択)
  • 育児休業取得状況の公表義務拡大
  • 新たな給付制度の創設(出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金)

特に注目すべきは、3歳から小学校就学前までの子を養育する従業員に対し、柔軟な働き方を実現するための措置を企業が講じる必要がある点です。これは単なる育休取得支援にとどまらず、復帰後の働き方設計まで視野に入れた対応が必要であることを意味します。

法改正への対応が遅れると、法令違反リスクだけでなく、企業イメージの低下や採用力の減退につながる可能性もあります。制度の見直しは早期着手が重要です。

人的資本経営・ESG視点での評価

近年注目される人的資本経営の観点からも、育休取得率は重要な経営指標です。従業員を「コスト」ではなく「資本」として捉える経営において、ライフイベントとキャリアを両立できる環境整備は、企業の持続的成長に直結します。

  • 育休取得率はESGの「S(社会)」評価項目の一つ
  • 投資家が注目する人的資本開示指標としての取得率データ
  • 採用ブランディングや企業価値向上への影響

男性育休の取得状況は、ダイバーシティ推進や男女平等の取り組みを示す具体的な数値として評価されることが増えています。人的資本情報の開示が進む中で、取得率や復職後の定着率を示せる企業は、投資家や求職者からの信頼を高めやすくなります。

つまり、育休取得率向上は単なる「社員のための制度」ではなく、採用競争力の強化、離職率低下、生産性向上、そして企業価値の向上につながる戦略的テーマです。経営層が主体的に関与し、制度設計と社内文化づくりを両輪で進めることが求められています。

育休取得率が上がらない3つの本質的課題

育休取得率を上げるために制度を整備しても、実際の取得が進まない企業は少なくありません。その背景には、制度そのものではなく「社内文化」や「業務設計」「評価制度」に根差した本質的な課題が存在します。ここでは、現場で多く見られる3つの主要な課題を整理し、それぞれの構造的な問題点を明らかにします。

男性が取得しにくい社内文化

男性の育休取得率が伸び悩む最大の要因の一つが、社内に根付いた無意識の固定観念です。「育休は女性が取得するもの」という価値観が残っている職場では、男性社員が取得を申し出ること自体が心理的な負担になります。

  • 固定観念(「男性は仕事優先」という暗黙の期待)
  • ロールモデル不足(取得した先輩がいないため将来像が描けない)
  • キャリア不安(昇進・評価への悪影響を懸念)

特に管理職層が育休取得経験を持たない場合、部下の取得を積極的に後押しできないケースもあります。また、取得後のキャリア形成に関する明確な方針が示されていない企業では、「育休=キャリアの停滞」という印象が強まり、結果として取得をためらう要因になります。

属人化した業務体制

制度があっても取得が進まないもう一つの理由は、業務体制の問題です。特定の社員に業務が集中している状態では、長期離脱が現実的でなくなります。これは特に中小企業で顕著です。

  • 代替要員不在(人員に余裕がない)
  • 業務引き継ぎの未整備(マニュアル不足・情報共有不足)
  • 小規模企業特有の課題(多能工化不足・人材プールの制約)

業務の属人化が進んでいる企業では、「自分が休めばチームに迷惑をかける」という心理が強く働きます。このような環境では、制度の有無に関わらず取得率は上がりません。育休取得を前提とした業務設計、ナレッジ共有、相互バックアップ体制の構築が不可欠です。

復帰後の評価・キャリア不安

育休取得をためらう大きな理由の一つが、復帰後のキャリアへの影響です。特に時短勤務を選択する場合、評価や昇進に不利になるのではないかという懸念が根強くあります。

  • 時短勤務と評価制度の問題(成果ではなく労働時間で評価される風土)
  • 昇進機会の格差(重要プロジェクトから外されるケース)
  • 心理的安全性の欠如(周囲への遠慮や罪悪感)

復帰後に責任ある業務を任されない、評価基準が曖昧で不透明といった状況は、将来の取得希望者にも影響を与えます。「育休を取るとキャリアに響く」という認識が広がれば、制度は形骸化してしまいます。

これら3つの課題は相互に関連しています。社内文化、業務体制、評価制度を一体的に見直さなければ、育休取得率の本質的な改善は難しいでしょう。次章では、これらの課題を解決するための制度設計の具体策について解説します。

育休取得率を上げる制度設計の基本原則

育休取得率を本質的に向上させるためには、単に制度を整備するだけでは不十分です。重要なのは、「法令を満たす最低限の制度」から一歩踏み込み、自社の実態や人材戦略に即した制度設計を行うことです。ここでは、実効性のある制度設計を行うための3つの基本原則を解説します。

法令準拠+自社独自制度の組み合わせ

育児・介護休業法に基づく制度整備は当然の前提ですが、取得率を上げるためには法令遵守だけでは不十分です。企業独自の上乗せ施策を組み合わせることで、初めて「取得しやすい環境」が整います。

  • 最低基準と上乗せ設計(法定制度+独自支援制度の導入)
  • テレワーク、時短勤務、段階的復帰制度の整備

例えば、法定の育児休業制度に加えて、短期間の分割取得を推奨する仕組みや、復帰後の在宅勤務の優先利用制度などを設けることで、心理的ハードルを下げることができます。また、復帰直後からフルタイム勤務を求めるのではなく、段階的に業務量を増やす設計を取り入れることで、実際の利用率向上につながります。

取得前・取得中・復帰後の3段階設計

育休制度は「取得できるかどうか」だけでなく、「取得前」「取得中」「復帰後」までを一貫して設計することが重要です。三段階で支援策を構築することで、不安の軽減とスムーズな復帰が実現します。

  • 取得前:意向確認面談の実施(キャリア希望・取得期間・引き継ぎ計画の共有)
  • 取得中:情報共有・孤立防止(社内ニュース配信・オンライン交流機会の提供)
  • 復帰後:段階的業務復帰制度(業務量調整・定期面談・メンター制度)

取得前の面談では、本人のキャリア意向を確認し、復帰後の役割を事前にすり合わせておくことが効果的です。取得中は、完全に職場との接点を断つのではなく、希望者に対して情報共有を行うことで帰属意識を維持できます。復帰後は、業務負荷の急激な増加を防ぐ段階的設計が、離職防止に直結します。

数値目標とKPI設計

制度を実効性あるものにするには、数値目標の設定と継続的なモニタリングが不可欠です。育休取得率を「努力目標」にとどめるのではなく、経営指標として管理することが重要です。

  • 取得率目標設定(全体・男女別の具体的数値目標)
  • 部署別可視化(部門単位での取得状況の共有)
  • 管理職評価との連動(部下の両立支援を評価項目に組み込む)

特に管理職の評価制度と連動させることは効果的です。部下の育休取得や復帰支援をマネジメント評価に組み込むことで、制度が「人事施策」から「組織運営の責任」へと位置づけられます。また、部署別の取得率を可視化することで、組織内の意識向上と改善活動が促進されます。

このように、法令対応・三段階設計・KPI管理を組み合わせることで、育休取得率は持続的に向上します。制度は“設けるもの”ではなく、“機能させるもの”であるという視点が不可欠です。

ステップアップ

社内文化づくりが成否を分ける理由

育休取得率を本質的に向上させるためには、制度設計だけでは不十分です。最終的な成否を分けるのは「社内文化」です。どれほど制度が整っていても、取得しづらい空気や無言の圧力が存在すれば、利用は進みません。逆に、経営層から現場まで一貫したメッセージと行動があれば、取得は自然な選択肢になります。ここでは、文化づくりの具体策を解説します。

経営層のメッセージ発信

社内文化を変える起点は、経営層の明確なコミットメントです。育休取得を推進する姿勢をトップ自らが示さなければ、現場は本気度を感じ取ることができません。

  • トップコミットメント(経営計画や方針説明会での明言)
  • 取得推奨の明文化(社内規程・行動指針への明記)

例えば、「男性育休取得率○%を目指す」といった具体的な数値目標を経営方針として掲げることは、組織全体への強いメッセージになります。また、社内規程や人事ポリシーに取得推奨を明文化することで、単なる任意制度ではなく“会社としての方針”であることが明確になります。

管理職研修の徹底

制度利用の可否を実質的に左右するのは、現場の管理職です。管理職が制度の趣旨を理解し、部下を支援できるかどうかで、取得率は大きく変わります。そのため、管理職向けの研修は欠かせません。

  • 育休支援マネジメント(業務調整・面談スキル・復帰支援の実務)
  • 心理的安全性の醸成(相談しやすい環境づくり)

具体的には、育休取得前の面談方法、引き継ぎ計画の立て方、復帰後のフォロー方法などを体系的に学ぶ機会を設けます。また、「育休を取ると評価が下がるのではないか」といった不安を払拭するためには、日頃から率直に相談できる心理的安全性の高いチームづくりが重要です。

ロールモデルの可視化

取得を検討している社員にとって、身近なロールモデルの存在は大きな後押しになります。実際の体験談や事例を社内で共有することは、取得への心理的ハードルを下げる有効な施策です。

  • 体験談共有(社内報・イントラネット・座談会)
  • 男性育休取得事例の発信(取得期間・復帰後のキャリア紹介)

特に男性育休の事例は、取得前の不安解消に直結します。取得期間や業務調整の工夫、復帰後のキャリアパスなどを具体的に示すことで、「自分も取得できる」という実感を持たせることができます。

社内文化は一朝一夕で変わるものではありません。しかし、経営層の明確な意思表示、管理職の行動変容、ロールモデルの可視化という三位一体の取り組みを継続することで、育休取得が“特別なこと”ではなく“当たり前の選択肢”へと変わっていきます。

アンケート活用で「本当のニーズ」を把握する方法

育休取得率を高める施策を検討する際、経営層や人事部門の想定だけで制度設計を行うと、現場とのズレが生じやすくなります。重要なのは、従業員の「本音」を可視化することです。そのために有効なのが、体系的に設計された社内アンケートの活用です。ここでは、アンケート設計のポイントから、結果を制度改善につなげる具体的なプロセスまでを解説します。

アンケート設計のポイント

有効なアンケートにするためには、単なる満足度調査ではなく、取得前・取得中・復帰後それぞれの課題を抽出できる設計が必要です。また、率直な意見を引き出すための工夫も欠かせません。

  • 匿名性確保(個人が特定されない形式で実施)
  • 取得前後の課題抽出(不安要素・制度利用上の障壁を具体化)
  • 職種別分析(営業・技術職・管理職など属性別に集計)

特に匿名性の担保は重要です。評価への影響を懸念して本音を控えるケースは少なくありません。また、全社平均だけでなく職種別・部門別に分析することで、特定部署に固有の課題を把握できます。定量質問と自由記述を組み合わせることで、データと具体的な声の両方を収集できます。

よくある従業員のリアルな声

実際のアンケートでは、制度の有無よりも「運用」や「心理的要因」に関する声が多く寄せられます。代表的な意見は以下のとおりです。

  • 休業中も情報共有したい(社内の動きが分からず不安)
  • 復帰後の業務負担軽減を希望(いきなりフル稼働は難しい)
  • 男性の取得ハードルが高い(上司や同僚の目が気になる)

これらの声は、制度そのものよりも「取得前後のフォロー体制」や「職場の空気」に課題があることを示しています。特に男性社員からは、「前例がない」「評価に響きそう」といった心理的障壁が多く挙げられます。こうした声を定量的に把握することで、改善の優先順位が明確になります。

アンケート結果を制度に反映させるプロセス

アンケートは実施すること自体が目的ではありません。重要なのは、結果を制度改善に結び付ける仕組みを確立することです。以下のプロセスで運用すると効果的です。

  • 分析 → 制度設計 → 社内周知 → 再測定
  • PDCAサイクルを継続的に回す

まず、課題を定量・定性の両面から分析し、優先度を決定します。その上で制度や運用ルールを見直し、改善内容を全社へ周知します。そして一定期間後に再度アンケートを実施し、効果を測定します。このPDCAを継続することで、制度は実態に即した形へと進化していきます。

従業員の声を起点とした制度改善は、単に取得率を高めるだけでなく、「会社が自分たちの意見を聞いている」という信頼感の醸成にもつながります。アンケートは、育休取得率向上のための最も実践的かつ再現性の高いアプローチの一つといえるでしょう。

気づき

成功企業に学ぶ実践事例

育休取得率を高めている企業には共通点があります。それは、制度を「導入する」だけでなく、「現場で機能させる仕組み」まで設計している点です。ここでは、実際に成果を上げている企業の取り組みに共通する実践ポイントを紹介します。

業務標準化とIT活用で属人化を解消

取得率向上の前提となるのが、業務の属人化解消です。特定の社員しか対応できない業務が多い組織では、長期休業は現実的ではありません。そのため、成功企業は徹底した標準化とIT活用を進めています。

  • マニュアル化(業務手順書・動画マニュアル整備)
  • タスク共有ツールの活用(進捗の可視化・情報共有)
  • RPA活用(定型業務の自動化による負担軽減)

業務内容を可視化し、誰でも一定水準で対応できる状態を作ることで、休業による影響を最小化できます。特にRPAなどの自動化ツールを導入することで、育休に限らず慢性的な人手不足の解消にもつながります。

チーム型フォロー体制の構築

個人依存の業務体制から脱却し、チームで業務を支える仕組みを整えている企業は、育休取得が自然に根付いています。ポイントは「誰かが休むことを前提にした組織設計」です。

  • 業務シェア制度(担当業務を複数名で共有)
  • 相互バックアップ体制(定期的なローテーション)

日常的に業務を共有していれば、急な休業にも柔軟に対応できます。また、相互バックアップを通じてメンバー間の理解が深まり、心理的安全性の向上にもつながります。結果として、育休取得が特別な出来事ではなくなります。

家族参観日・パパカフェの導入

制度面だけでなく、家庭との相互理解を促進する取り組みも有効です。育休取得を“職場だけの問題”にせず、家族を含めた支援文化を醸成する企業も増えています。

  • 家庭との相互理解(家族参観日などの実施)
  • 横のつながり構築(パパカフェ・育児座談会)

家族参観日などを通じて、企業の取り組みを家族に理解してもらうことは、取得への後押しになります。また、男性社員同士が育児について話し合える場を設けることで、心理的ハードルを下げる効果も期待できます。

柔軟な勤務制度で離職率改善

育休取得率向上だけでなく、復帰後の定着率改善まで実現している企業は、柔軟な勤務制度を整えています。取得後の働き方が選択できる環境が、長期的な人材確保につながります。

  • 段階復帰制度(業務量を徐々に増やす設計)
  • フレックスタイム制度(家庭事情に合わせた勤務調整)

復帰直後からフルパフォーマンスを求めるのではなく、段階的に役割を拡大する制度は、本人の負担軽減と組織の安定運営の両立を可能にします。結果として、離職率の低下やエンゲージメント向上といった副次的効果も生まれます。

成功企業の事例に共通するのは、「育休は特別な制度ではなく、組織運営の前提条件である」という考え方です。業務設計・チーム体制・文化づくりを包括的に見直すことで、取得率は持続的に向上します。

社会保険労務士を活用した制度設計の高度化

育休取得率の向上を本気で目指すのであれば、法令遵守にとどまらない「高度な制度設計」が求められます。特に近年は法改正が相次ぎ、給付制度や公表義務の拡大など企業の対応範囲が広がっています。こうした状況下で有効なのが、社会保険労務士(社労士)の専門的知見を活用することです。法令対応から制度設計、社内浸透まで一貫して支援を受けることで、実効性の高い体制構築が可能になります。

法改正対応とリスク管理

育児・介護休業法をはじめとする関連法令は改正が続いており、企業には迅速かつ正確な対応が求められます。対応の遅れや誤解は、法的リスクや企業イメージの低下につながりかねません。

  • 最新法令反映(就業規則改定・労使協定見直し)
  • 給付金・社会保険対応(出生後休業支援給付金等の実務処理)

社労士を活用することで、最新法令を踏まえた規程整備や行政手続きの適正化が可能になります。また、育休中の社会保険料免除や各種給付金の申請手続きについても、正確な運用が実現できます。結果として、法令違反リスクの低減と従業員満足度の向上を同時に図ることができます。

制度設計のカスタマイズ

育休制度は、すべての企業に同じ形が最適とは限りません。企業規模や業種、組織構造によって課題は異なります。画一的な制度ではなく、自社の実態に即したカスタマイズが重要です。

  • 企業規模別対応(大企業・中小企業それぞれの体制設計)
  • 業種特性への適合(製造業・IT業・医療業などの勤務実態に合わせた設計)

例えば、小規模企業では代替要員確保が課題となるため、短期間分割取得や業務委託活用などの選択肢を組み合わせる必要があります。一方、大企業では部署間の取得率格差是正や管理職評価制度との連動が重要になります。社労士の客観的視点を取り入れることで、実態に即した制度設計が可能になります。

周知・研修・個別相談体制の整備

制度は整備するだけでは機能しません。従業員が正しく理解し、安心して利用できる環境を整えることが不可欠です。そのためには、周知・教育・相談体制の三位一体の整備が求められます。

  • 管理職向け研修(育休支援マネジメントの実践指導)
  • Q&A整備(取得手続き・給与・評価への影響を明確化)
  • 第三者相談窓口の設置(外部専門家への匿名相談)

特に第三者相談窓口の設置は、社内では相談しづらい悩みを解消する有効な手段です。また、管理職向け研修を通じて制度の趣旨を浸透させることで、現場レベルでの支援体制が強化されます。

社会保険労務士の専門知識を活用することで、法令遵守・制度設計・社内浸透を一体化させた高度な育休制度運用が実現します。育休取得率向上を持続的な経営戦略へと昇華させるためにも、専門家との連携は有効な選択肢といえるでしょう。

団結

育休取得率向上がもたらす企業価値の向上

育休取得率の向上は単なる福利厚生の充実にとどまらず、企業全体の価値向上につながります。従業員満足度の向上や職場環境の改善は、離職率低下や採用競争力強化、組織の生産性向上など、経営面でのメリットにも直結します。また、ESGや人的資本情報開示の観点からも、企業評価に好影響を与えます。

離職率低下と定着率向上

育休を取得しやすい職場環境は、従業員の安心感と信頼感を醸成します。特に子育て世代の離職防止に効果があり、長期的な人材定着につながります。

  • 育休取得後も復帰しやすい職場環境
  • 従業員の心理的安全性向上
  • 退職リスクの低減と定着率アップ

採用競争力の強化

育休制度や働き方の柔軟性は、求職者にとって重要な企業選択の判断材料です。特に若年層や子育て世代に対して、採用ブランディングの向上に直結します。

  • 男女問わず魅力ある職場として認知される
  • 優秀な人材の確保・応募者増加
  • ダイバーシティ推進のアピール効果

マネジメント力・生産性向上

育休取得を前提とした業務体制やチームフォロー体制の整備は、業務の属人化解消やタスクの見える化を促進します。その結果、マネジメント力の向上や組織全体の生産性改善にもつながります。

  • 業務の標準化・引き継ぎの徹底
  • 管理職のマネジメントスキル向上
  • チーム型フォロー体制による効率化

人的資本情報開示への対応

近年、投資家やステークホルダーは企業の人的資本に注目しています。育休取得率やダイバーシティ施策はESG評価や人的資本情報開示の重要指標となるため、透明性のあるデータ開示は企業価値向上に直結します。

  • 育休取得率の可視化による評価向上
  • ESG・人的資本開示資料への反映
  • 投資家・社会からの信頼向上

まとめ

育休取得率の向上は、単なる制度整備にとどまらず、企業文化や業務体制、マネジメント力にまで影響する経営課題です。男性・女性問わず取得しやすい環境を整えることで、離職率の低下や定着率向上、採用競争力の強化につながります。また、業務の標準化やチーム型フォロー体制の構築は、生産性向上やマネジメント力強化の効果も期待できます。さらに、ESG評価や人的資本情報開示の観点からも、育休取得率は重要な指標となり、透明性のあるデータ開示は企業価値向上に直結します。制度設計と社内文化の両面から取り組むことで、従業員が安心して働き続けられる環境を実現し、持続的な成長を支える土台を築くことができます。

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