就職したての時には様々な不安が付きまといます。どこの部署に配属されるかによってこれからの働き方が変わってくるとなれば、配属がわかるまでの不安はより大きくなるでしょう。配属ガチャという言葉にはその不安が込められています。新しく働き手を受け入れる上で、不安をどうとらえて対応していくかについて考えていきましょう。

配属ガチャとは

就職をして研修などを終えた後に配属先が伝えられる場合、人によって個人が思い描いていた働き方と違ってくる場合があります。就職時点でどういった仕事をするのかがはっきりしている場合には別ですが、大きな組織に就職した場合には多岐にわたる業務に携わる可能性があります。就職活動の時点では実際にどういった仕事をするかわからず、就職後に配属先を急に告げられることは自分自身の思っていなかった道に進むことにもつながり、大きな不安をもたらします。そういった自分自身ではどうすることもできない配属先のことをゲームでアイテムを取るためのガチャになぞらえて、配属ガチャと呼びます。

もちろん希望していた仕事であったり、予想はしていなかったけれど結果的に自分にとって良い道だったと思えればそれは当たりですし、問題ないでしょう。しかし、希望していない仕事で自分に適性がないと思っていたり、やりたくない仕事だと感じたところに配属されてしまえば、不満を持つことになります。仕事自体は希望通りでも、その配属された部署の人間関係などで働きづらさを感じることもあります。単なる甘えとしてこうした配属ガチャの「ハズレ」を一蹴してしまうことは多いですが、そのままにしておくだけでは後々大きな問題につながりかねません。まずは就職希望者や就職したての人がこうした不安を持っていることを認識しておきましょう。

仕事にも大きな影響を及ぼす

就職した人が配属された場所でここは配属ガチャのハズレだと感じた場合には、会社にも大きな影響が出てくることがあります。特に全体に影響しやすいのが、モチベーションの問題です。そもそもやる気が出ないなど甘えとも取れる状況になることがありますが、単なる甘えだけではなく一生懸命に働いていてもついていけなかったり、なじめないことから仕事がうまくいかずに悪循環に陥ることがあります。そうなればその社員は戦力として活用しづらくなりますし、そういった社員がいることで他の社員にもマイナスの影響を与えることもあります。全体の士気が下がってしまう恐れもあり、フォローのために周囲が疲弊する可能性も出てくるでしょう。対応をしないまま放置してしまうと不満がたまってしまうだけではなく、離職率の上昇にもつながります。離職されてしまえば、また新しく採用するための手間や費用が掛かります。悪い評判が流れれば、会社の価値を落としかねないでしょう。

また、配属ガチャのハズレはうつ病などの深刻な病気につながる恐れもあります。戦力となるはずだった社員が思うように働けなくなることは、会社全体としても大きな損失です。こうした精神的な病気はすぐにわかりにくく、働けなくなったり、命を絶つといった最悪の状況になってからわかることも多いものです。うつというと甘えのように思われがちですが、まじめで何とか頑張ろうと無理を重ねているうちに最悪の状況になってしまったケースは少なくありません。本人の努力に任せるばかりではなく、組織としてどう対応していくかを考えることは必要でしょう。採用の在り方、配属後のフォローの仕方などについてきちんと見直しておくことが求められます。

それぞれに事情がある

働くことは生きていく上で大きな割合を占めることになります。大切なことだからこそ、しっかり考えて自分で決めていくことが必要です。就職活動をする際には、どういった仕事をするのかをイメージして企業を選んでいくことが多いですが、たとえ希望の企業に就職できたとしても配属先が思いもよらぬところで、業務内容もイメージしていたものと全く違うとなれば、考えていた生き方とは全く変わってしまいます。それに対応できるかどうかは個人差があります。

また、いきなり新しい業務に対応することは難しいものです。そのため、就職希望者は就職後に必要になるだろう知識や技術をできるだけ学ぼうと努力するでしょう。しかし、まったく意識していなかった分野の仕事に配属されてしまえば、その努力は無駄になってしまいますし、一から学び直しになります。適性などを考えて選び、しっかり準備もして仕事に向き合いたいのに、それができずに不適合者のレッテルを貼られて仕事を辞めざるを得なくなれば、人生が大きく狂ってしまいます。

会社側としても、配属ガチャの状態になってしまうことは仕方ない場合があります。組織を維持していく必要がある以上、様々な細分化された業務が生まれます。それを効率的にこなすための人員配置を考えるのですから、一人一人の事情に配慮しづらいこともあります。就職したての人の個性などはまだ把握しにくいですから、完璧に適切な配置が行えるとは限りません。採用した人の中から必要な人員を分配していく以上、就職後に配属先を伝えるタイミングになってしまうことは避けられません。こうした事情から対応の難しさも生まれてきます。

影響をできるだけ少なくするために

配属ガチャと呼ばれる不安をどう解消していくかは重要な問題です。内定してから就職し、その後に初めて意に反した配属先が伝えられる状況だと不意打ちにもなりかねません。だからこそ、不意打ちにならないような配慮を採用活動中にしておくことが必要になります。あらかじめどういった業務に従事する可能性があるのかを伝えたり、就職希望者が望む配属先を聞き取ったり、適性を見てから採用して、本人の希望に沿った配属がしやすいようにするのも一手です。あらかじめ示されていたならば、就職希望者もそれに向けて準備をしやすいですし、示された配属先があることも要素の一つとして加えた普通の就職先を決めることができます。それならミスマッチも起きにくくなります。

また、就職希望者がしっかり業務内容について把握しているとは限らず、本人希望の配属先があっても、場合によってはほかの部署で働いた方が活躍できると考えられる場合もあるでしょう。その場合には配属先だけを機械的に伝えるのではなく、なぜそこに配属されたのか、そこで働くことのメリットなどをきちんと面談で伝えることで、本人も納得して希望を持って働ける可能性が出てくるでしょう。会社の事情だけでなく、本人のこれからについてもどういったことが身につくか、どのように能力を役立てられるかなどを示していけると、納得してもらいやすいでしょう。

問題があったら柔軟に対応

配属ガチャには事情があり、仕方がない部分もあります。もし精神的な病や離職につながる問題などが出てくるようなら、その都度きちんと対応しましょう。何もなければ問題に気付かないことも多いですので、慣れるまでは頻繁に面談の機会を持つようにしてみるとよいでしょう。その際に悩みや問題点がわかれば、対応することもできるかもしれません。コミュニケーション不足が大きな問題を引き起こしがちですから、しっかりやり取りをすることを忘れないようにしたいものです。

配属ガチャの問題はコミュニケーションでカバー

配属ガチャで問題が起こる場合には、コミュニケーション不足の状態になっていることが多いです。就職活動中の応募者に対して、就職前の内定者に対して、また配属されたばかりの社員に対して、コミュニケーションを取りつつフォローしていくことが必要になります。オンラインでのやり取りが多くなる中、ちょっとした変化などに気が付きにくくなっていますから、その点を考えて十分な対応をしていきましょう。

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