この数年を振り返ってみると、AI、ロボティクス技術の進化や米中貿易摩擦、そして新型コロナウィルスの流行など様々な変化がありました。こうした変化は、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。そこで今回はこの激変の時代を乗り越えるために、VUCAについて解説します。

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VUCAとは?

VUCA(ブーカ)とは、不確実で予測困難な時代を表す造語です。4つの時代特性表す言葉の頭文字をとって作られました。VUCAはもともとアメリカ軍の軍事アカデミーで1987年に提唱された言葉です。
1990年代に入り、ソ連の崩壊により突如として冷戦が終結する中で湾岸戦争の勃発や経済の変化など、それまでになかった変化が急激に訪れました。安定していた時代から、不透明な環境へと変化する時代を表す言葉としてVUCAは使われるようになりました。

その後、2010年代に入りビジネス分野でも、不確実性の高い経営環境を示す言葉として浸透するようになりました。実際に私たちは、デジタルトランスフォーメーションや新型コロナウィルス、アメリカ政権の交代など先行きの見えない時代を体験しています。
まずはVUCAを構成する4つのキーワードについてご紹介します。

参考:U.S. Army Heritage&Education Center(英文) 「Who first originated the term VUCA (Volatility, Uncertainty, Complexity and Ambiguity)?

Volatility(変動性)

私たちは変化の激しい時代に生きています。新型コロナウィルスの影響といった世界的変化から、個人のキャリアが転職・副業が当たり前の働き方に変わっていくなど、大小を問わず予測できない変化が起きています。

VUCAの最初の文字であるVは、Volatilityのことです。英語で「落ち着きのない様子」を意味します。Volatilityはもともと、金融業界でよく使われてきた言葉でした。市場が変動する可能性が高まることや株価が乱高下する様子に対して、日本語でも「ボラティリティが高まる」と表現します。こうした金融市場の変動のように、変動性の激しい時代特性を表しています。

Uncertainly(不確実性)

現代は不確実性が高く、将来を予測することが困難な時代です。

例えば、右肩上がりに成長してきた企業でもAIやロボティクスなどの高度な情報技術の発展により、突如として市場を失い倒産の危機に直面する場合があります。
例えば、古本売買で成長してきたブックオフも、メルカリなどITプラットフォーマーの台頭により店舗数の縮小や成長の鈍化に直面しています。また新型コロナウィルスの影響による経済の停滞で、世界中で多くの人が仕事を失いました。

つまりこうした不確実性の高い状況は、企業だけではなく、個人レベルでも起こりえるのです。VUCAのUであるUncertainlyは英語で「不確実性」を意味する言葉です。Uncertainlyは、先行きの見えない現代を的確に表した言葉です。

Complexity(複雑性)

現代は複雑性が高く、物事の原因の特定が困難な時代になりつつあります。例えば売上高減少の原因を探る場合、かつては市場調査により原因をある程度特定できました。

しかし、現代は消費者の趣味嗜好が多様化しているだけではなく、VolatilityやUncertainlyに表されるように予測できない変化が常に起きています。また企業の外部環境だけではなく、転職による雇用の流動化、社員のエンゲージメント低下など従業員を取り巻く環境変化も業績に大きな影響を与えています。

このように、私たちが目にする変化は、様々な要因が絡み合って起きているのです。Complexityはこうした要因が複雑に絡み合う現代の姿を表しています。

Ambiguity(曖昧性)

現代社会は物事の答えがはっきりと見つからない曖昧な時代です。

かつてモノが不足していた高度成長期では、人々は欲しいものがはっきりとわかっていました。テレビ、冷蔵庫、洗濯機は「3種の神器」とよばれ、人々は生活を充実するために同じものを求めました。しかし、生活水準が高まった現代では、人々は本当に欲しいものを自分で理解することが困難になっています。

例えば食事をするにしても食べログなどのサイトで口コミを確認して評価の高さや料理の系統を確認するなど、様々な情報を確認してから店へでかけることができるようになり、飲食店を決めるだけでも選択が複雑化しています。

また、人々は飲食店で単に空腹を満たすだけではなく、快適さや居心地の良さを求めるようになりました。

飲食店がどんなに美味しい食事を提供したとしても、お店の快適さがなければ人々のニーズを満たすことができません。このように現代を生きる私たちのニーズは曖昧です。かつての飲食店のように「大盛無料サービス」が誰にでもフィットする時代ではなくなりつつあります。

Ambiguityは、VUCAの中では少しイメージしづらい言葉ですが、私たちの生活をよく考えてみると、私たちは曖昧な時代に生きていることがわかるでしょう。

VUCA時代を生き抜くための3つスキル

すでに多くの方が現代の環境変化の激化を、身をもって体験されているのではないでしょうか。例えば新型コロナウィルスの影響は、ビジネスパーソンに急激で大きな影響をもたらしました。こうした変化の激しいVUCA時代を生き抜くには、大きく3つのスキルが必要です。

変化への柔軟な対応力(レジリエンス)

レジリエンスとは、「しなやかな柔軟性」を意味する言葉です。どんな変化が起こっても柔軟に対応できる力はVUCA時代に必須のスキルと言えるでしょう。

あるBtoB企業A社では、対面での商談による営業力を強みとしていました。対面営業での信頼関係の構築や、食事をしながらの接待が毎月の売上成長の源泉だったそうです。しかし、新型コロナウィルスの影響により突如として対面での商談が不可能になりました。

営業活動ができなくなったA社では、それまでの強みに固執するあまり「新型コロナウィルスの影響はすぐ終わる」と考え商談のオンライン化に取り組みませんでした。その結果、新型コロナウィルスの影響が長期化する間に顧客のほとんどを失う結果になったのです。

顧客はオンライン商談ができる競合他社へ乗り換え、「オンライン商談ができないA社は古い」というレッテルを貼られるほどでした。A社の優秀な社員も、オンライン商談ができる競合他社へ転職。結果的にA社は顧客だけではなく、従業員も失いました。
VUCAの時代では、レジリエンスがなければA社のように時代の波に淘汰されてしまいます。

感性

AIなどのテクノロジーが発達するこれからのVUCA時代は、論理的思考力に加えて人間が持つ感性を最大限に発揮して生きる時代になります。

これまでの企業経営では、過去のデータから予測を行ってKPIを設定する組織運営が中心的でした。特に日本企業では、売上高や営業利益率などの財務指標が重視されてきました。こうした財務指標を中心とした企業運営は、「数値で計測可能」で「ある程度の正解がある」ことが前提でした。

しかしVUCA時代は予測できない出来事が起こり、原因が複雑に絡み合います。数値で予測すること自体が困難になっているのです。

また、これからの時代は、科学的な分析の多くはAIへと置き換わっていきます。量子コンピューターが発明され、近い将来にコンピューターの計算能力が人間の頭脳を遥かに超える現代では分析力が求められる仕事はAIに任せるようになるでしょう。

そのためこれからのビジネスパーソンには、進むべき方向性をビジョンとして打ち出し、価値観や志をもとに瞬時に判断できる力が求められます。VUCA時代は一人一人が自分自身の感性を生かす時代になるのです。

人を説得できる力

VUCA時代は常に状況が変化するため、何かの問題を解決するための「たった一つの正しい答え」が存在しません。こうした時代には、不確かで数少ない情報から最善の策を導くとともに、相手や周りの人に最善策を受け入れてもらう説得力が必要です。例えば、新型コロナウィルスが広まった際には東京都が「3密」という言葉を生み出しました。

感染拡大を防止するために、人々に分かりやすく受け入れやすい言葉を用いて大衆を説得したのです。実際のところ「3密回避」に感染拡大防止効果があるかどうかは、「3密」という言葉を発表した時点では分からなかったはずです。このように、不確実性の高い状況でも人を納得させる力はVUCA時代に必要なスキルであることに間違いないでしょう。

VUCA時代を生き抜くためのおすすめ書籍

ここまでご紹介したように、VUCA時代を生き抜くキーワードは「過去からの脱却」「テクノロジー」「ビジョン」です。こうしたキーワードを学ぶために最適な、VUCA時代を生き抜くおすすめ書籍をご紹介します。

シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成(ニューズピックス社)

ヤフー株式会社のチーフストラテジーオフィサー(CSO)であり、慶應大学教授である安宅和人氏による著書。安宅氏は専門性を活かして政府の委員としても活動しており、特に人工知能の活用やデジタル時代の人材育成について詳しい方です。その安宅氏が政府での活動を1冊の書籍「シン・ニホン」にまとめました。「シン・ニホン」の中で安宅氏は、特に日本におけるデジタルトランスフォーメーションの進行やAI時代の人材育成や人材活用について記しています。日本で働くビジネスパーソンはもちろん、人事担当者であれば必ず読んでおきたい一冊と言えるでしょう。

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界(東洋経済新報社)

デジタルトランスフォーメーションがどのように世界を変えたのかを知りたければ、この本を読みましょう。GAFAは、Google、Apple、Facebook、Amazonの4社のことです。この4社のサービスは、いまでは私たちの生活に欠かせないものとなっています。GAFAがどのようにして成長を遂げ、いまどのように世界を変えつつあるのか1冊の本で学ぶことができます。

ビジョナリーカンパニー(日経BP社)

「ビジョナリーカンパニー」は、時代を乗り越えて会社を存続させる方法についてまとめられています。1995年に発売された本でありながら、その普遍性は現代でも通用します。激しい時代変化を乗り越えてもなお成長を続けるヒントが記されており、非常に示唆に富んだ1冊です。永続する企業は、「何を売るか」ではなく「どんなビジョンを掲げるか」が重要であることを説いています。経営者だけではなく、管理職や副業、起業を志す方におすすめの本です。

両利きの経営(東洋経済新報社)

激しい変化に備えるための方法を知りたいなら、「両利きの経営」がおすすめです。「両利きの経営」とは、既存事業を確実に運営しながらも、常に新しい事業の種を探す経営方法を意味しています。この本では、多くの企業事例とフレームワークを参照しながら「両利きの経営」に失敗しないための原則を学べます。社内起業家として新規事業を成功させたいビジネスパーソンにおすすめの1冊です。

VUCA時代と企業の変化

ここからは、VUCA時代到来で実際に起きている企業の変化について事例をもとにご紹介します。

ネットフリックスとケーブルテレビ

アメリカでは、90%の国民がケーブルテレビに加入しています。国土面積が広すぎるため、アンテナ受信ではテレビの電波が届かないのです。また、アメリカには昔から自宅でテレビを楽しむエンターテインメントの文化がありました。ほとんどのチャンネルが無料で見られる日本のテレビ文化と異なり、アメリカでは人々を楽しませるものにお金を出してサービスを受ける習慣が当たり前です。そのため、アメリカではケーブルテレビ収入から得られた資金をもとに、テレビドラマやドキュメンタリー番組など、高品質で内容が充実した番組が提供されています。

しかし、近年ではネットフリックスやアマゾンプライムといったインターネットを通じて安価で手軽に映画やドラマを視聴できるサービスが生まれました。特にネットフリックスは、自社でハリウッド映画並みのコンテンツを制作しています。アメリカでは、もはやケーブルテレビに加入しなくても面白い番組が見られるようになったのです。

そのためアメリカ国民の若年層を中心にケーブルテレビに加入しない人が増加しており、ケーブルテレビからネットフリックスなどのオンライン配信サービスに乗り換えることを「コード・カッティング」と呼ばれています。

「コード・カッティング」とは、ケーブルテレビのコードを撤去してWi-Fiで気軽にオンライン配信を楽しむことを意味しています。
日本でもテレビを設置せずに、スマホやタブレット、あるいはPCで動画を楽しむ人が増えており、「コード・カッティング」が進んでいると言えるでしょう。

このようにネットフリックスを中心としたオンライン配信サービスの台頭は、テレビ業界の存続に関わっており、求められる形に変化していくことが要求されています。

物流サービスを飲み込むAmazon

世界最大のECサービスであるAmazonが、各国の物流網を飲み込もうとしています。Amazonは単なるオンラインショッピングサービスではなく、もはや小売りから物流までを一貫して担うメガプラットフォーマーになりつつあるのです。

各国に巨大な物流センターを設置し、どの地域でも翌日に届く配送網を構築しています。日本でも全国27か所に物流拠点設置。自社配送サービスも始めています。

背景には日本の物流業者がAmazonの荷物を受けきれなくなったことがあります。人々がAmazonを頻繫に利用するようになり、配送量が急激に増加。国内配送最大手のヤマト運輸でさえも、「即日発送」に対応できなくなってきました。

実はAmazonは、その国の物流網をパンクさせた後、自社で配送サービスを構築する戦略をとっていると言われています。物流網を掌握できれば、より一層、Amazonのサービスを利用する人が増えます。また本やDVDなどの商品だけではなく、食料品の配送も可能になります。このように、巨大なオンライン小売業であるAmazonによって日本の物流サービスは飲み込まれつつあるのです。

減収減益にあえぐ鉄道会社

不況にも強いと言われてきた大手鉄道会社も、新型コロナウィルスの影響により減収減益にあえいでいます。JR各社や各主要都市を走る私鉄の大きな収入源は通勤・通学客の「定期券」でした。しかし、テレワークの急速な普及により通勤客が大幅に減り、定期券を購入しない人が増えてきました。

上場しているJR4社(東日本、西日本、東海、九州)の2021年3月期決算は、いずれの企業も大幅な赤字となりました。世界最大の鉄道会社であるJR東日本では、売上高が前期比48.2%マイナスの7872億9700万円となっています。
世の中の急激な変化により、売上高が約半分にまで落ち込む異常事態です。

鉄道利用収入に加え、駅関連施設の売上も鉄道会社にとっては重要な収入源です。鉄道利用者が減少したことにより、駅ナカの商業施設の売上高も大幅に減少しました。実際に電車に乗ってみても、以前はすし詰め状態だった満員電車も、以前よりは乗客が少なくなっていることがわかります。

このように、盤石だと思われていた業界でも、デジタルトランスフォーメーションや社会情勢の影響により業績悪化を余儀なくされているのです。

VUCA時代におけるマネジメントの姿とは?

VUCA時代におけるマネジメントの姿とは
一般的に、VUCA時代には新たなマネジメント手法が必要であると言われています。私たちビジネスパーソンには、これからの時代にどのようなリーダーシップが期待されるのでしょうか。

オーセンティックリーダーシップ

近年、注目されているリーダーシップスタイルがオーセンティックリーダーシップです。オーセンティックリーダーシップは、医療機器大手メドトロニック社の元会長でハーバード・ビジネススクールの教授であるビル・ジョージによって提唱され、大きく4つの特徴があります。

卓越した自己認識をもち、常に誠実であること

オーセンティックは、英語で「確固たる」という意味があります。オーセンティックなリーダーは、自分自身の価値観や考え方を認識して、強みを発揮できる場面とそうではない場面を理解しています。変化の激しい現代では、自分自身の強みが発揮できない場面も多く発生します。そのため、素直に自分自身の弱みを受け入れ部下に助けてもらう姿勢が求められます。そのためにはリーダー自身が日ごろから自分との対話を繰り返し、自己認識を高めていく必要があります。

使命によって動かされ、結果に焦点を当てる

オーセンティックリーダーは、「何をするか」ではなく「自分が何を成し遂げたいか」を考えます。そして組織のゴールと自分自身の使命を重ね合わせて、どうすれば最大の結果を得られるのかを常に追求するのです。

かつてのリーダーは、権力欲や金銭欲やエゴをモチベーションとしてリーダーシップを発揮してきました。しかし共感力が重視される現代では、リーダーが使命感に動かされる姿そのものに部下はついていきます。そのためリーダーは自分の使命は何かを理解し、使命の達成のために努力を惜しまない姿勢が求められます。

頭ではなくハートでリードする

かつてのリーダーは、感情を見せない姿勢が美徳とされてきました。しかし共感力が重視される現代では、素直に感情を見せながら人とつながり合うことが求められます。論理的に説得するのではなく、時には部下に感情的に訴えることも重要なのです。頭ではなく、リーダーのハートでリードするのがオーセンティックリーダーシップです。

長期的な結果を重視する

これまでのリーダーは、売上高や営業利益などの短期的業績に注目してきました。しかし、オーセンティックリーダーシップでは株主などのステークホルダーに対して長期的利益をもたらすことを重視します。変化の激しい現代では、事業継続のために安定株主と長期的に働いてくれる従業員が欠かせません。オーセンティックリーダーは、企業に対しても「何をするべきか」ではなく「どうあるべきか」を重視するのです。

このように、環境変化によりいつ何が起こるかわからない現代では、多様な価値観を認め、手法よりもリーダーのぶれない価値観やビジョンに基づいたリーダーシップが求められます。

オープンマインド

もし、あなたがリーダーでなくとも、VUCA時代ではオープンマインドでいることが重要です。オープンマインドとは、ここでは常にあらゆる可能性を受け入れる姿勢を意味します。またオーセンティックリーダーシップ同様に、自分に素直でいて、素直に感情を表現することも重要です。

もともと英語の「open-minded」は偏見がない心を意味しています。変化の激しい現代では、昨日まで不要だと思っていたことが今日は必要になることも十分にあり得ます。あらゆる出来事に心を開くとともに、どんな人や物事にも偏見を持たず常にあらゆる可能性があることを考えておきましょう。

弱い紐帯を持つ

弱い紐帯(ちゅうたい)の強さとは、人間関係の「ゆるいつながり」を意味します。1973年にスタンフォード大学のマーク・グラノヴェター教授が提唱しました。ゆるいつながりとは、職場の同僚や家族など強い絆でつながった関係に対して、ちょっとした知り合いや顔見知り程度の関係を意味します。

社会的に強いつながり(=強い紐帯)を持った家族や友人の関係は、主に同じ価値観で結ばれています。そのためつながりの中の情報はすでに知っているものである可能性も高いのです。しかしVUCA時代ではあらゆる可能性に目を向け、新しい、重要な情報を得るためにゆるいつながりの、価値観の異なる人とつながっておくことが強みとなります。

価値観が異なる相手であってもSNSなどを通じてつながることで自分では思いつかない情報やアイディアを手にできるのです。こうした弱い紐帯を持っておくことは、VUCA時代を生き延びる上で、ビジネスパーソンにとって重要なスキルの一つと言えます。

VUCA時代の思考法:OODAループとは?

VUCA時代の思考法:OODAループとは?
最後にVUCA時代を生き抜くために必要な思考法として、「OODAループ」(ウーダ・ループ)をご紹介します。

OODAループは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐によって提唱されました。もともとは航空戦術の用語として、主に指揮官の意思決定に使われてきた言葉です。しかし次第に作戦や戦略立案にも使われるようになり、現在はビジネスシーンでも使用されるようになっています。OODAは4つの言葉の頭文字を合わせた造語です。

Observe:観察する

最初のOは、Observeです。Observeは英語で「観察する」という意味です。OODAループはまず、意思決定者が直面する状況をありのままに観察してデータを集めることから始まります。

Orient:状況を判断する

次の段階はOrientです。Orientは、英語で順応させる、適応するという意味です。状況を観察してデータを集めた後は、情勢を判断して意味のある情報へと加工していきます。データを意味ある情報へ変換するためには、単に分析するだけではなく、過去の経験や自分と異なった視点などの新たな情報も必要です。

Decide:意思決定する

状況を判断したら、次に意思決定します。意思決定の際には、状況に対してどのように動くべきか、具体的な対策や施策を検討します。そして状況に最も適切な対応策を選びぬくのです。

Act:行動する

最後はAct、行動するです。意思決定の内容に基づいて、実際の行動を起こします。行動したことにより結果が生まれ、そして新たな状況が発生します。そのため、新たな状況に対してまたOODAループが始まるのです。

VUCA時代は計画が困難な時代です。従来のPDCAサイクルは、計画に対して検証を行い、新たに計画を立案していました。しかし先行きが見えない現代では、まず起こった状況に対してどのようにアクションを起こすのかを常に判断することが求められます。そのため、まずは状況からデータを集めて解析する「OODAループ」が適切な思考法であると言えます。

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