「なぜ我が社は離職する人が多いのか」経営者や人事担当者の中には、このような悩みを抱えている方もいるでしょう。離職者の状態を考える1つの要素が離職率です。離職者を減らすためには、自社の離職率を把握し、どのようにアクションすれば改善できるか考えることが重要。本記事では、離職率の概要やどこからが高いのかという判断基準とともに、離職率が高い会社・低い会社の特徴なども解説します。

離職率とは

離職率とは、一定の期間において退職した従業員の割合を表すものです。一般的に、離職率が高いほど会社にとってデメリットが多くなり、低いほどメリットが多い状態となります。例えば離職率が高いと、人員が常に不足しがちになり採用コストがかさむ、人員が増えないため従業員の業務の負担が増えモチベーションが低下する、人員が不足する・経験豊富な従業員が増えないため会社の生産性が上がらない、などのデメリットが考えられます。離職率が低いと、採用コストがコンパクトにできる、勤続年数の長いベテラン従業員が多く業務がスムーズに進む、従業員が定着しやすい会社として好イメージを与えられる、などのメリットが得られます。

なお、離職率はどこから高いと言えるのか疑問に思う人もいるかもしれません。厚生労働省が発表している「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、令和3年の平均的な離職率は13.9%。つまり、この平均を上回る割合であれば、離職率が高い傾向にあると考えられます。

離職率が高い会社の特徴

離職率が高い会社には、共通してよく見られる特徴があります。例えば次に挙げるようなものです。

業務量が多い

従業員1人当たりの業務量が多い会社は、離職率が高い傾向にあります。業務量が多いということは、常に仕事に余裕がなく、激務をこなさなければいけないということです。そのような状態に大きなストレスを感じ、働き続けることは不可能と判断する従業員が多いのです。

残業が慢性化している

時間外勤務が当たり前のような環境になっている会社も、離職率は高くなりやすいでしょう。残業が発生すれば、その分自分のプライベートの時間は少なくなってしまいます。オフが削られると、日頃の疲れを癒すための時間も満足にとれなくなり、心身のバランスを崩すなどの悪影響が発生する可能性も。結果、現状に耐えられず退職する従業員が発生します。

新人教育が不十分

新人に対する教育が不十分であることも、離職率が高い会社によく見られる特徴です。業務に必要な知識・スキルを教えなかったり、仕事を与えないまま放置したり、また教育は行き届かないのに小さなミスでも厳しく叱責したり。新人にこのような態度を取る会社は、新しく入社した人も早期に離職してしまうため、定着率も低くなります。

若手が発言しにくい雰囲気がある

若い社員や経験が浅い社員はなかなか発言しにくい職場環境も、離職率の高い会社でよく見られます。自分の言いたいことを言えず、上の人の意見ばかりが通る職場では、若手にフラストレーションが溜まりやすいからです。

休暇を取りにくい

なかなか休暇を取りにくい会社も離職率が高くなりがちです。休みなく働き続けていては、疲労やストレスは溜まる一方。適度な休暇は健康的に働き続けるため不可欠です。しかし、業務が多過ぎて誰かが休みを取ると他の人に休んだ人の分負担がかかるなど、休みにくい雰囲気が漂う職場もあります。また、休みの理由を細かく尋ねられ、内容によっては休暇の承諾を渋られる職場も。このような職場で働くことが嫌になり、退職を選ぶ人もいます。

人間関係が悪い

人間関係の悩みを理由に退職する人は非常に多く見られます。いくら仕事は仕事と割り切っても、他の人と一緒に働く以上、最低限の人間関係は構築しなければいけません。折り合いの悪い人がいる・衝突することが多いなど、コミュニケーションが上手くいかず悩む人は少なくありません。また、職場の人に冷たい態度を取られる・無視される・悪口を言われるなど、嫌がらせを受けるケースも。人間関係の悪化は、業務に支障を来たす場合もあります。人間関係の悪い職場では快適に働き続けることが難しいため、退職を選ぶパターンも多くなります。

離職率が低い会社の特徴

離職率が高い会社とは反対に、離職率が低い会社にも共通の特徴があります。次のようなものは、特によく見られる特徴です。

仕事と生活のバランスがとりやすい

仕事と生活のバランス、いわゆるワークライフバランスをとりやすい会社は、離職率が低い傾向にあります。生きていく上では仕事をして収入を得ることももちろん大切ですが、仕事以外の時間を充実させることも欠かせません。オフタイムを思い通りに自由に過ごせるからこそ、普段仕事で感じる疲労やストレスをしっかり解消し、また元気に働こうという活力につながるのです。

また、仕事と生活のバランスがとりやすい職場は、結婚・出産などライフステージにおける大きな変化にも対応しやすく、仕事と家庭の両立に向いた職場であるとも言えます。そのため、将来を見越した上でも働きやすい会社だと判断し、長く働く人が多くなります。

立場に関係なく意見を言える

若手であろうとベテラン社員であろうと、立場に関係なく意見を出し合える風通しの良い会社は、離職率が低めです。良い意見は誰からの発言であっても積極的に取り入れる、このような会社の姿勢は、若手社員に「自分のことをしっかり見てくれている」と感じさせ、仕事へのモチベーションも高めます。結果、快適に働ける職場、やりがいを得られる職場として、ずっとここで働きたいと考える人が多くなるのです。

正当な評価がなされる

従業員の働きぶりに対し、正当な評価がなされる会社も離職率は低いでしょう。自分の仕事の成果が認められると、人は大きな満足を感じるものです。そして、評価が給与や昇進など形として示されれば、さらにモチベーションのアップにつながります。このように、従業員の評価がしっかりしている会社は、適切な評価制度が設置されていることも特徴の1つです。

人間関係が良好

離職率が低い会社は、良好な人間関係を築きやすいことも大きな特徴。前の項目でもふれましたが、人間関係の悩みは退職の原因になりやすいものです。そして、多くの会社で大なり小なりの人間関係の摩擦が生じています。だからこそ、人間関係の良い会社は居心地も良く、それだけで働き続けたいと考える人が多くなります。また、人間関係の悩みに気を取られることがないため、仕事に集中でき働きやすいことも、従業員の離職が低くなる要因です。

福利厚生が充実している

離職率が低い会社の特徴としては、福利厚生の充実もよく見られます。福利厚生は従業員が快適に働けるよう、会社から従業員に提供するもの。つまり、福利厚生が充実しているほど、従業員に優しい会社であるとも言えるでしょう。福利厚生には、住宅手当・通勤手当といった手当支給のほか、各種祝い金の支給、予防接種の費用補助、自己啓発費用の補助、子育て支援制度の整備、社内サークルの費用補助などさまざまな種類があります。このような福利厚生を活用することで、従業員は給与以外のメリットも得られ、会社への満足度が増すと考えられます。

離職率を低くすることは会社にも従業員にもメリットが大きい

離職者を減らすためには、離職率の高い会社に見られる特徴を取り除き、離職率の低い会社の特徴を参考にすることが有効だと考えられます。離職率が低くなることは、会社にとって有益である他、従業員にとっても働きやすい環境が得られるというメリットがあります。ぜひこの記事を参考にしながら、自社に合った離職率低下のための対策を考えてみてください。

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