現代の日本では労働力不足や生産性の低さがネックとなり、経済の成長が鈍化していることが問題となっています。RPAというツールは日本の経済界で注目されている技術のことを指し、同時に急成長が見込まれている産業分野のことでもあります。ここではRPAの具体的な意味や、それを取り入れることのメリットなどについて説明していきます。
RPAとは
RPAとはrobotic process automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)を略した言葉です。ロボットを使って人間の業務を自動化することをRPAと言います。一般的には人間がパソコンを使って行う作業を、ソフトウェアを組み込んだロボットに代行してもらうことを指す言葉です。この仕組みを利用すればwebサイトからの情報収集やデータの管理・登録・転記などを、人の手を煩わせずに行えます。RPAには意味や使われ方が似た言葉が存在していて紛らわしいので、ここで確認しておきましょう。
RPAとRDA
RPAはサーバーにインストールするタイプのものと、各端末にインストールして作動させられるものに分けることができます。前者がRPA、後者がRDAです。RPAが中央を通じて全体を管理していく仕組みなのに対して、RDAの方は端末単位で個別に稼働させていく仕組みとなっています。全体を管理していくRPAの方が完全自動化の仕組みを構築しやすいというメリットがあり、RDAには連携に不向きですが汎用性が高いという特徴があります。
botとRPA
botもまたRPAと同じような動きをするプログラムとして有名です。決まったタスクを自動的に繰り返すという特徴をbotは持っていますが、エンジニアやプログラマーが必要だという点がRPAと違います。botがあらかじめプログラムされた手順を繰り返すのに対して、RPAはプログラミングする必要がなく作業が可能です。ちなみにbotとはrobotから来ている言葉です。
AI(人工知能)とRPA
AIとRPAは実際に活用できるまでにかかる時間が違います。AIはコンピューター上に蓄積されている膨大な量のデータを使って学習していくので、その分時間が必要です。AIはたしかに学習に時間がかかりますが、RPAよりも高度な内容の作業が行なえます。RPAは手順を教えるだけなので、短期間で手軽に導入可能というのが特徴です。
ExcelマクロとRPA
ExcelマクロでもMicrosoft Office製品のアプリケーションを使えば、外部から制御することが可能です。ただし高度な作業を行いたい場合は、VBAというプログラミング言語を理解しなければならないので、時間と費用が余計にかかります。その点RPAなら知識がなくても導入可能なので使いやすいです。
RPAを導入したらできること
ここでは実際にRPAツールを導入した際に、可能になることを一つ一つ確認していきます。
受注・発送業務
ECサイトの受注・発送業務は流れが決まった作業なので、RPAの自動化に向いています。
価格調査
マーケティングの一環として、自社のサービスや商品と競合する他社の製品やサービスの価格を定期的に調査します。この業務をRPAツールを使って自動化することは可能です。検索頻度を自分で設定しておけば、サイトなどで販売されている他社の商品の価格データを集め、Excelに一覧表にするところまで自動化できます。
口コミの収集
SNS上に飛び交っている自社や自社商品に関わる口コミを集めることも、マーケテイング活動として重要な作業です。この作業を人の手で行う場合手間がかかってしまいますが、RPAツールを利用した場合、定期的に自動で収集するだけでなくExcelに蓄積までしてくれます。集められたデータは自社商品の改善や認知度上昇のために役立てることが可能です。
レポートの作成
ECサイトの運営を滞りなく行っていくためには、閲覧者数や滞在時間などに関する正確な情報を収集して分析する必要があります。RPAを使えば情報を収集し自動で定型レポートを作成することが可能です。
勤怠管理
定期的に発生する勤怠管理業務では大量のデータを取扱う必要がありますが、やるべきことはあらかじめ決まっているのでRPAに任せるのにぴったりです。さらにRPAを使えば集計したデータに基づいて、給与を振り込んだりするような作業まで自動化できます。
在庫管理
在庫管理を適切に行うためには、どの程度在庫があるのかをリアルタイムで把握している必要があります。RPAを活用すれば営業担当者は外出先であっても自社商品の在庫状況を常に把握できます。担当者が何時でも情報に触れられることで、適正なタイミングで生産部門に指示を出せます。
顧客情報の管理
RPAを導入しなかった場合、顧客情報をいくつものシステムに手作業で登録していかなければなりません。RPAなら専用のフォームに一度入力するだけで済むので、無駄な労力を省けます。手作業の回数を減らすことで、入力ミスなどのヒューマンエラーを防ぐこともできます。
請求書の発行
請求書の発行は多くの手続きが必要な作業です。RPAを導入したのなら手続きをより簡便なものに変えることができます。また請求書だけでなく契約書や見積書などを自動で発行する仕組みも、RPAがあれば構築可能です。
入金消込
入金消込とは取引先への請求情報と実際に入金された額を照合して、確認が取れたものを消していくという作業です。目視で行うとすれば大変な労力になりますが、これもRPAを導入することによって効率化できます。
問い合わせ
フォームからの問い合せにRPAを導入すると、よくある質問に対して自動的に返答を行うことができます。窓口担当者の業務を大幅に削減することができるので、仕事の効率化が可能です。
RPA導入のメリットとデメリット
RPAを導入した場合、メリットもありますが、デメリットもあります。導入しようか迷っている方は、事前にメリットとデメリットを把握してから決めるといいでしょう。RPAを導入した場合、自動化によって人件費を削減することができます。人が行う作業を減らすと、人為的なミスを無くすことができるのも、メリットの1つに数えられるでしょう。RPAツールに単純作業を任せれば、従業員は人間にしかできない企画の検討や業務の改善のような作業に注力できるようになります。その結果商品やサービスの付加価値を上昇させることが可能になります。その他のメリットとしては労働時間の短縮、生産性の向上などが挙げられます。
RPAツールを導入するデメリットに、セキュリティーリスクがある点が挙げられます。RPAがネットワークに繋がっている時に、不正アクセスや乗っ取りのリスクが生まれてしまうのです。そういったリスクを防止するには、アクセスの制限やパスワードの暗号化などの対策をこまめに取っていく必要があります。ツールを導入した場合、RPAに対する依存度を高めることになるので、何らかの原因でツールが停止した時に業務が行えなくなることも考えられます。トラブルに対処できるように、対応方法をあらかじめ決めておくといいでしょう。
RPAを導入した際の効果
RPAを導入すると、確実に業務を効率化できます。これまで人間が行ってきた業務をツールが代行してくれるようになるので、作業がはかどります。人間の場合には作業量の増加と集中力の低減が比例してしまうのですが、ツールならその心配もありません。RPAを導入したなら業務効率化を図れるだけでなく、業務プロセスの可視化・働き方の改革といった効果も期待できるでしょう。RPA導入時には様々な業務の洗い出しが不可欠です。洗い出しの過程で今まで気づくことのなかった問題点や無駄を見つけることが可能になり、プロセスの可視化ができます。仕事を可視化していくことは、長時間労働や無駄な残業を減らすことにもつながります。その結果社員一人一人の働き方は、改善されていきます。
まとめ
RPAを導入すれば人間の仕事をロボットに代行させることができるので、業務を効率化できます。その他の効果としては、業務プロセスの可視化や働き方の改革・生産性の向上などが期待できるでしょう。導入にはデメリットも存在し、ネットワークに接続することによるセキュリティー上のリスクには十分に注意しなければなりません。
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