「安全衛生推進者」とは、安全管理者と衛生管理者を選任することが義務づけられていない規模(中小規模事業場)の安全衛生水準を向上させるため選任しなければならない担当者のことである。
安全衛生推進者は、次のことを確保しなければならない。
1)施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検及び使用状況の確認並びに、これらの結果に基づく必要な措置に関すること
2)作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検並びに、これらの結果に基づく必要な措置に関すること
3)健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること
4)安全衛生教育に関すること
5)異常な事態における応急措置に関すること
6)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
7)安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病、休業等の統計の作成に関すること
8)関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、届出等に関すること
また、一定の規模の事業場は「安全衛生推進者」「衛生推進者」を選任しなければならない。その基準は以下のとおりである。
1)安全管理者の選任を要する業種であり、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場は「安全衛生推進者」を選任しなければならない
2)前記以外の事業場であって、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場は「衛生推進者」を選任しなければならない
「安全衛生推進者」は専属であることが原則ではあるが、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、その他厚生労働大臣が定めるものを選任する場合は、専属でなくとも構わないとされている。(1人目から外部委託が可能)
そして、選任すべき事由が生じた日から14日以内に選任しなければならない。但し、労働基準監督署長に報告する義務はない。(従業員への周知は必須である)
「安全衛生推進者」は、定期の巡視義務を負わない。尚、選任すべき事業場であるにもかかわらず選任しなかった場合、50万円以下の罰金を課せられる。(労働安全衛生法12条の2に違反した場合)(労働安全衛生法第120条)