人事業務を効率化する方法は7つ！中小企業の取り組み事例と効果もご紹介

企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、組織内の各部門が効率的に業務を進めることが不可欠です。特に人事部門は、従業員の採用や評価、研修、労務管理など多岐にわたる業務を担当しており、その業務の効率化が求められています。本記事では、人事部門の業務効率化が進む背景やその方法、導入によるメリットを解説し、実際の事例を通じて業務効率化の効果を紹介します。

人事部の業務効率化が求められる背景

現代の企業環境は、急速な変化と不確実性が特徴です。これにより、人事部門が抱える業務の複雑さや負担も増加しています。この背景には以下のような要因があります。

変化のスピードが早い

テクノロジーの進化や市場の変動が日々起こり、企業は柔軟に対応する必要があります。人事部門も、従業員のニーズの変化や新しい法律への対応など、常に変化する環境に適応しなければなりません。そのため、業務の効率化を進め、迅速かつ正確に業務を遂行できる体制が求められています。

不確実性が高い

経済や政治の不安定性により、企業は将来の予測が困難な状況に直面しています。こうした環境では、人事部門が予期しないリスクに迅速に対応できる能力が求められ、業務の効率化によってその柔軟性を高めることが重要です。

深刻化する人手不足

少子化や労働市場の変化により、優秀な人材の確保が一層難しくなっています。限られた人員で多くの業務をこなすためには、業務効率化が必須となり、リソースの最適化が必要です。

対応すべき課題の多様化

人事部門は、採用、研修、評価、労務管理など、さまざまな業務を担当しています。これらを効率的に進めるためには、業務の重複を排除し、労力を分散する必要があります。また、従来の役割であった「人材の管理・活用」から、人的資本を最大化させるための取り組みを全社を巻き込んで行っていくことが求められています。

業務効率化とは

業務効率化とは、業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、無駄なく、効果的に業務を進めることを意味します。これにより、作業時間の短縮、エラーの減少、人的リソースの最適化が可能になります。

業務効率化のメリット

業務効率化を進めることには多くのメリットがあります。具体的には、次のような利点が挙げられます。

コスト削減：人件費や時間といったコストを削減することができます。

エラーの減少：手作業が減ることで、ヒューマンエラーが減少し、業務の正確性が向上します。

従業員の満足度向上：業務効率化は、従業員の働き方改革にもつながり、満足度向上に貢献します。

業務効率化を進める7つの方法

業務効率化を進めるためには、まず現状の業務を棚卸しし、どこに「ムリ・ムダ・ムラ」があるかを見つけ出すことが重要です。その上で、具体的な方法を取り入れることで、効率化を進めることができます。以下に代表的な業務効率化の方法を7つ紹介します。

 廃止

業務を棚卸しする中で、もはや必要ない業務や手続きを廃止することは、最も効果的な効率化方法の一つです。時代遅れや重複した業務を排除することで、リソースを無駄に使わずに済みます。

削減

業務量が多すぎる場合、不要な部分を削減することが有効です。例えば、冗長な報告書作成や複雑な手続きがあれば、それらを簡略化することで、業務負担を軽減できます。

簡素化

手続きやフローを簡素化することで、時間の節約になります。申請の長い承認ルートを短くしたり、書類の記入項目を簡素化することで、スムーズな業務進行が可能になります。

標準化

業務のプロセスやルールを標準化することで、属人化や担当者によるばらつきをなくし、誰でも同じクオリティで業務を進められるようになります。例えば、書類のフォーマットや手続きの流れを統一することが効果的です。

集約化

複数の場所で行われている業務や散在しているデータを一元化することで、業務の手間が省け、データへのアクセスや更新を迅速に行えるようになります。

分散化

一方で、業務を特定の担当者に集中させるのではなく、分散させることで、負担の偏りをなくすことも重要です。タスクを分担し、適切なリソースを配置することで、効率的に業務をこなせます。

自動化

業務の中で繰り返し行われる作業や定型的な業務は、自動化することで効率化が図れます。情報を収集したり、記入したりといった作業など、システム化できる部分は積極的に自動化しましょう。

中小企業における業務効率化の成功事例

事例1：株式会社パワフルケア

パワフルケア様は、大阪・兵庫・京都を中心に、子育て支援を目的とした病院内保育所の運営委託を軸に、さまざまな保育サービスを提供されています。
従業員の情報管理やシフト調整を独自のシステムで行っていましたが、用途別に複数のシステムを使用しており、人事管理は社内開発のシステムだったため、非常に非効率的な状態だったといいます。また、書類で提出してもらう情報もあり、郵送手続きやシステムへの転記などの手間な作業も発生していました。そのため、業務の効率化を目指して、情報の集約や業務の自動化を行うために、人事管理システムを導入しました。
それによって削減できた時間を活かし、今後はより戦略的な仕事に集中していきたいと考えています。一番力を入れたいのは、より良い会社の仕組みづくりであるとのことで、イベントの企画や人事制度の改定など、どうすれば従業員の満足度をあげることができるのかを考え、働きがいのある職場づくりに取り組まれています。

詳細はこちら：https://www.aand.co.jp/case/powerfulcare/

事例2：株式会社おはようキッズ

株式会社おはようキッズ様は、東京23区内と横浜市を中心に、複数の保育施設の開発・運営している会社です。
以前は、各事業所から書類を郵送してもらったり、多くのExcelファイルや紙を広げて手作業でデータを収集する必要がありました。また、膨大な人事情報をアナログで管理していたため、担当者の記憶に頼らざるを得ない状況が続きました。このような非効率的な方法が限界に達し、申請・承認フローの自動化と従業員情報の集約を行うために人事システムの導入を決定しました。
その結果、毎月20～30件のワークフロー申請の回収スピードが大幅に短縮され、約1万円のコスト削減が実現しました。さらに、個人情報を扱う人事担当者の心理的負担も軽減され、業務の効率化が進みました。

今後は、このシステムで管理されている従業員情報を活用し、職員のモチベーション向上に繋がる人事評価制度の構築を目指しています。戦略的な人事管理を進め、より良い職場環境の実現を目指す考えです。

詳細はこちら：https://www.aand.co.jp/case/ohayokids/

結論

人事部門の業務効率化は、現代の企業が抱える課題に対応するために不可欠な施策です。効率化を進めることで、時間やコストの削減、エラーの減少など、さまざまなメリットが得られます。業務の棚卸しを行い、最適な効率化方法を取り入れることで、企業全体の生産性向上に繋がるでしょう。