先日、内閣府が発表した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」では、中小企業の省力化・デジタル化投資の促進により一層注力していくことがまとめられています。
本コラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するまでの3つのステップの詳細と、人事部門における事例・メリットについて取り上げます。ポイントは、身近な業務のデジタル化です!

DXとは?基本のステップと中小企業における重要性
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」によると、DXとは「デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと」と定義されています。
とはいえ、いきなりDXを進めていくのは難しいと思います。実は、DX化を実現するまでには3ステップあることはご存知でしょうか?以下に、各ステップの概要と、人事部門の業務に置き換えた場合の例を記載します。
デジタイゼーション(Digitization)
デジタル化と呼ばれる段階で、ペーパーレス化したり、手作業を自動化したりして、コストの削減や業務を効率化していくステップです。
人事部門では、勤怠管理を紙からクラウドシステムに変更したり、郵送していた給与明細書を、スマートフォンから閲覧可能にするといった事例がよく見られます。
デジタライゼーション(Digitalization)
デジタル技術を活用してビジネスモデルを革新し、新たな価値を提供していくステップです。簡単に言えば、デジタル化によって集められたデータを活用し、従来は経験や勘で行っていた判断をデータに基づいて行えるようになります。また、空いている時間を活かし、人間にしかできない業務に集中することも可能になります。
人事部門では、さまざまな従業員の情報を活用し、適切な部署やポジションへの配置を行うことで、組織全体のパフォーマンス向上が期待されます。
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)
最終的には、複数のデジタル化が組み合わさり、社会や経済の変革が進んでいきます。人事部門においては、従来の人材の管理・活用から、人的資本の最大化を目指す役割に変わっていきます。会社のミッションやビジョンを達成するために、社内に必要な人材がどれくらいいるのかを見極め、不足している場合にはどのように育成し、または外部から採用するのかを判断し、投資とマネジメントを行っていく必要があります。
中小企業がDXに取り組むメリット
では、中小企業がDXを推進していくことでどんなメリットを得られるのでしょうか。
人手不足への対応
少人数でも高い効率で業務を進められる環境を整備できます。これにより、特に少子高齢化が進む中での採用難に対応可能です。
コスト削減
デジタルツールの導入により、業務の自動化が進み、時間と労力を削減できます。たとえば、紙ベースの申請業務をオンラインフォームに切り替えることで、印刷費や書類の保管コストを削減できます。
リソースを本業に集中
間接業務を効率化することで、経営資源をより重要な業務に集中できます。例えば、クラウドシステムを導入することで、戦略立案やマーケティング活動に時間を割けるようになります。
属人化の解消
特定の従業員にしかできない業務を減らし、引き継ぎや業務の透明性を向上させます。これにより、突然の人員異動や退職にも柔軟に対応できます。
ヒューマンエラーの削減
自動化が進むことで、入力ミスや確認漏れが大幅に減り、業務の正確性が向上します。
中小企業がDXを進めるポイント
中小企業がDXを推進していくためには、先述した「デジタイゼーション」つまり、デジタル化から始めていくことが重要です。
従業員を巻き込む
従業員全体がDXの取り組みに共感し、積極的に参加することが成功のカギです。特にデジタルツールに慣れたZ世代と呼ばれるような若手の意見を取り入れることで、斬新なアイディアを実現できます。
小さな成功体験を積む
大規模な変革を目指す前に、取り組みやすいプロジェクトで効果を実感することが重要です。例えば、紙ベースの勤怠管理をクラウドシステムに切り替えるだけでも、労力やコストの削減が見込めます。
外部リソースの活用
自社だけで解決が難しい場合は、外部の力を活用することも有効です。地域の金融期間やコンサルタントやシステムベンダーに相談し、DX化に向けた伴走支援をしてもらうことも一つの方法です。
まとめ
中小企業がDX化を成功させるためには、まず小さな一歩から始めることが重要です。従業員・経営層が協力して少しずつ進めることで、大きな成果を生み出すことができます。中小企業にとって、DXは未来への投資であり、企業競争力を高める鍵となるでしょう。
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