目標設定・目標管理に関するご質問やご相談は、さまざまなタイミングで多く寄せられます。今回はその中でも、「目標がタスクベースになっている」「現状維持に近い指標になっている」といったご相談について、整理してみたいと思います。

行動目標とタスクの違いとは?なぜタスクベースの目標は避けるべきか?

目標がタスク化することを避けるべき理由は、人事評価で本来測りたいものが、「行った作業の内容や量」ではなく、「役割に基づき、どのような判断を行いながら行動したか」「その結果、どんな成果を創出したか」だからです。

人事評価で一般的に評価対象としている要素とその定義について、弊社なりの解釈として以下に整理します。

ここでよく論点に挙がるのが、「行動評価」とは何を指すのか、という点です。この点は、各社の評価制度における区分やラベルの違いによって、見え方が異なるものと認識しています。
一般的には、「プロセス」も「行動特性」も、いずれも成果に至るまでの行動に着目する評価要素です。「プロセス」とは、成果創出に直接つながる行動を指します(ただし、プロセス目標を達成したからといって、必ずしも成果目標が達成されるとは限りません。目標設定時には、成果との連動性を注意した達成基準を設定することが必要です。)。一方、「行動特性」は、評価期間にかかわらず重視される、成果創出に向けた再現性のある行動を体系的に整理し示したものと考えます。

問題となりやすいのは、「プロセス」や「行動特性」が、目標設定の段階で「タスク」として記載・運用されてしまうケースです。タスクは本来、「作業内容」や「対応事項」を示すものであり、実施したかどうかは明確であっても、

  • どのような判断を行ったのか
  • 行動のどの部分に工夫や主体性があったのか

といった点が表現されにくい特性があります。

その結果、タスクベースで設定された目標では、行動の中でどのような判断が求められていたのかを本人が振り返りにくくなります。これにより、「この等級であれば、このレベルで判断・行動する」という基準が本人の中に蓄積されません。
結果として、行動における判断軸(基準)や行動指標が形成されず、中長期的に成長につながりにくいという問題が生じます。

タスクベースの目標になりやすい原因とは?

目標設定がタスクベースに陥りやすい背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 等級定義がやや抽象的であるため、自分の目標に落とし込めていない
  • タスクは日々の業務と直結しているため、イメージがしやすい
  • 評価を行う際に「できた」「できてない」で判断しやすい
  • そもそも、自分に何が期待されているのかが、明確になっていない(指示待ち)

目標に何を書けばよいか分からない中で、「分かりやすさ」を優先した結果、このような目標設定に陥ってしまうケースは少なくありません。

目標設定時に気をつけるべきこととは?

自身の目標設定をする際には、「目指す状態」「求める行動と水準」「確認の観点」をセットで整理することが重要です。具体的には、以下の観点を意識するとよいでしょう。

  • 成果として定めた“目指す状態・結果”を実現するために、どのような“行動”が必要か。その水準は明確か
  • 進捗や達成の度合いを測る“観点”を整理することで、多角的に評価できる内容になっているか

「SMART」などの目標設定フレームとも通じる点ですが、単に遂行する行動や作業を書くのではなく、行動の水準や判断の在り方が読み取れる記載にすることが必要です。

また、評価者の立場として部下の目標をレビューする際には、以下の観点で確認するとよいと考えます。

  • 記載内容が、作業ではなく「行動の水準」として読み取ることができるか
  • 「できた/できていない」以外に、どのような行動を取れていたかが判断材料となる内容か

目標設定は、設定時や中間面談、評価確定時だけで完結するものではありません。期中の運用を通じてすり合わせながら活用していくことが重要です。
日々のコミュニケーションの中で、期待されている役割や判断の範囲を確認し合うことで、目標はより実践的なものになります。本コラムが、ご自身の目標設定や、部下の目標設定に対する指導やフィードバックを行う際の整理材料となれば幸いです。

この記事を読んだあなたにおすすめ!

こちらの記事もおすすめ!
お役立ち情報
メルマガ無料配信

お役立ち情報満載!ピックアップ記事配信、セミナー情報をGETしよう!

人事のプロが語る、本音のコラムを公開中

人事を戦略に変える専門家たちが様々なテーマを解説し、"どうあるべきか"本音 で語っている記事を公開しています。きっとあなたの悩みも解消されるはずです。


お役立ち資料を無料ダウンロード
基礎的なビジネスマナーテレワーク規定、管理職の方向けの部下の育て方評価のポイントまで多種多様な資料を無料で配布しています。ぜひご活用ください。