障害者特例子会社とは、企業が障害者の雇用即損と安定のため、特別の配慮をして設立した子会社のことである。正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」という制度である。2009年4月に創設された制度で、2020年6月時点で全国に544社の特例子会社がある。
特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能となる。そのほかにも、障害者を受け入れるための職場環境の整備、人材の確保、雇用管理のノウハウが一元化できたり、障害者の特性に配慮した仕事の確保が容易になりやすいなどのメリットがある。採用活動においても「特例子会社」であることがアピールポイントになるケースも予想される。
また障害者側にとっても、一般企業の障害者雇用枠よりもサポート体制が充実しているというメリットがあります。
特例子会社の認定要件とは
1)親会社
・親会社が子会社の意思決定機関を支配している
・親会社からの役員派遣を行うなど親会社と子会社との人的交流が緊密である
2)特例子会社
・子会社で雇用される障害者が5人以上、かつ全従業員に占める障害者の割合が20%ト以上である
・全障害者に占める重度身体障害者、知的障害者、精神障害者の割合が30%以上ある
・障害者の雇用管理を適性におこなうに足りる能力を有している
・そのほか、障害者の雇用の促進および安定が確実に達成されると認められている
令和2年時点においては、特例子会社は全国に544社、もっとも多い東京には168社存在する。次いで神奈川県、埼玉県、大阪府となっており、特例子会社は都心部に集中していると言える。
また、平成21年4月より特例子会社を設置しなくても、グループ会社の実雇用率の通算が可能な制度が、企業グループ算定特例(関係子会社特例)が創設された。一定の要件を満たすと、親会社が運営する全グループ会社の従業員が、親会社で雇用しているとみなされ、障碍者雇用率を算定する際には親会社と同一の事業所としてとりあつかわれる。
企業グループ算定特例の主な認定要件
・関係会社が株式会社または有限会社であり、親会社が実質的な意思決定機関である
・関係会社と特例子会社の関係性がある
労働力不足が懸念される昨今において、障害のある人を戦力として雇用できる特例子会社制度は企業にとってもメリットが大きいと言える。