希望退職とは、企業の業績が悪化したことや、将来の経営リスクにそなえて、企業が整理解雇に先だって期間限定で募る早期退職制度のことである。似たような制度に「早期退職制度」はあるが、これは定年前に退職を希望できるものであり、恒常的に応募できるという違いがある。
企業が希望退職制を用いる場合には、労働者の自発的な意思による申し出を誘引し、労働者の自由意志に委ねられる応募であることが前提となる。一般的に労働者本人が希望退職を申し出れば、これが合意退職の申し込みとなり使用者が承諾することで合意解約が成立する。
あくまで労働者側の自由意志なので、使用者側が退職を強いることはできない。使用者が希望退職するよう圧力をかけたり、脅しまがいの行為をしたりした際は、実質的な「解雇」とみなされ「退職の意思表示の取り消し」が可能とななる。また、不法行為に当たるとして使用者側に損害賠償の責任が認められるケースもある。
通常、希望退職した場合は通常の退職条件より有利な条件(退職金の割り増しや再就職支援など)が用意されることが多い。
希望退職を募るときには、使用者側は退職者に説明会を開くなどして、希望退職を募る経緯や必要性、会社の状況、再就職斡旋などを説明することが望ましい。
また、退職して欲しくない労働者が希望退職に応募することもあることも、念頭においておく必要があるだろう。