1989年の労働安全衛生法改正により、海外へ労働者を派遣する前後には健康診断をさせることが事業者に義務付けられている。
事業者は、6ヶ月以上海外派遣しようとするときには、あらかじめその労働者に対し、定期健康診断の項目のうち医師が必要であると認める項目について健康診断を行わなければならない。(労安則45条)また、6ヶ月以上海外派遣した労働者を国内の業務に就かせるときも、定期健康診断の項目と厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要である認める項目について、健康診断を行わなければならない。
検査項目は以下である。
一般問診/既往歴・業務歴/自覚・他覚症状の有無/一般計測/身長・体重・肥満度・BMI・腹囲/聴力/視力/循環器系/血圧/心電図/呼吸器系/胸部エックス線/血液検査/血中脂質(中性脂肪、HDL-C、LDL-C)/肝機能(GOT、GPT、γ-GTP)/貧血(赤血球数、ヘモグロビン)/血糖検査/尿検査/糖、蛋白
さらに、医師が必要と判断した場合には、以下の検査も必要となる。
腹部画像検査/血中の尿酸の量の検査/B型肝炎ウイルス抗体検査/(派遣前)ABO式およびRh式の血液型検査/(帰国時)糞便塗抹検査
これに違反した場合、50万円以下の罰金に処される。
※医師が必要でないと認める場合に省略できる健康診断項目は以下である。
・身長:20歳以上の場合
・喀痰検査
なお、労働安全衛生法ではこの健康診断は海外へ勤務する本人のみとなっているが、帯同する大人の家族も同様の健康診断を受けたほうがいい。小児の場合はかかりつけ医に相談しておくこと。
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