サーキュラーエコノミーと人事戦略
近年、企業経営において注目を集めているのが「サーキュラーエコノミー」です。サーキュラーエコノミーは、「循環経済」とも呼ばれ、資源の効率的な活用と循環利用を促進し、環境への負荷を最小限に抑える経済モデルです。廃棄物が出る前提で考えるのが3Rや5Rであるのに対し、廃棄物は出ない前提で考えるのがサーキュラーエコノミーです。
人事戦略への影響
市場の大きな流れがサーキュラーエコノミーに動いていくと、人事戦略にどのような影響があるのでしょうか。
企業の事業戦略がサーキュラーエコノミーにシフトすることで、業務そのものや、業務の進め方が変わってきます。業務が変われば、その業務の推進を支える仕組みや、業務を推進する人材のスキルや考え方も変わってきます。例えば、これまでは多品種、小ロットでお客様の要望に細かく対応することが業務の要であった場合、サーキュラーエコノミーを推進する際は、その前提として「廃棄物を出さずに」という概念が入ります。その上で多品種、小ロットでお客様の要望に細かく対応するための商品開発や、商品提案が必要になってきます。当然、業務が変われば、その業務をバックアップする仕組みや人事評価制度も対応させる必要があります。
その業務を推進する人材のスキルをいかに伸ばしていくかを検討する必要がありますし、そもそもその業務ができる人材をどのように採用したらよいのかも重要なポイントです。採用した人材を育成してスキルを伸ばし、自社の戦略に合った付加価値を上げる人材を評価し、昇格させていくかという人材マネジメント全体に大きく影響を及ぼします。つまり、組織の進むべき戦略に、サーキュラーエコノミーにシフトすることは、人事戦略そのものにも転換が迫られます。
サーキュラーエコノミーの推進と人事戦略、人材マネジメントの合致
このように戦略に応じた人事戦略を描いていくことで、組織の成長と従業員のエンゲージメントの双方によい影響を及ぼすことが期待できます。
企業の人事部長、人事担当役員の皆様におかれましては、サーキュラーエコノミーがもたらす新たな潮流に対応し、企業の競争優位性を向上させるためには、人事戦略の再構築が不可欠です。環境に配慮した従業員サポートや柔軟なキャリア構築、個々の人的資本の最適活用などを組み込むことで、未来に向けて持続可能で成長力ある組織への道を切り開くことが期待されます。
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