企業の健全な運営をする上で、従業員の精神状態を良好に保つために役立つ方法を積極的に取り入れたいと考えている人もいることでしょう。ここでは、注目度の高まっているアンガーマネジメントについて分かりやすくご説明します。怒りのタイプを6つに分類するアンガーマネジメント診断のやり方や、すぐに実践できるアンガーマネジメントのやり方にも言及しますので、参考にしてください。

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に向き合うためのテクニックを指します。何らかの怒りを感じること自体は、人間の自然な感情であり、完全に否定する必要はありません。しかしながら、怒りを制御できない状態になってしまうと、仕事や人間関係に支障を来す可能性があります。アンガーマネジメントは、怒りの感情を適切にコントロールするためのコツであり、もともとはアメリカで犯罪者のための矯正プログラムの一環として行われた教育です。現在は、一般に広く普及していて、従業員教育のためにアンガーマネジメントを取り入れる企業も増えています。

アンガーマネジメント診断による怒りのタイプの分類

アンガーマネジメントにおいては、怒りのタイプを分類するための診断を行います。まずは従業員にいくつかの質問をして答えてもらい、回答結果から怒りのタイプを分析しましょう。具体的には、「納得いくまで物事を突き詰めるほうだ」、「自分に自信を持っている」などといった質問があります。質問に対してYes、Noで答えてもらうだけなので、短時間で簡単に診断ができておすすめです。怒りのタイプは、下記の6つに分類されます。

天真爛漫タイプ

天真爛漫タイプは、素直でまっすぐな性格で、行動力がある人物に当てはまります。ストレートな性格が魅力である一方で、発言に配慮が必要な場ではストレスや怒りを感じてしまいやすいという傾向がみられます。天真爛漫タイプの場合、自分の価値観を強く主張し過ぎることなく、他者の意見にも耳を傾ける姿勢を身につけると、怒りをコントロールしやすくなるでしょう。

威風堂々タイプ

自分に自信があり、はっきりとした信念を持って行動する威風堂々タイプは、プライドが高い人物が多いのが特徴です。リーダーシップを発揮できるといった優れた特性を持っている一方で、自分の思い通りに物事が進まないことに対して怒りやストレスを感じてしまう点には、注意が必要です。自信が揺らいでしまうような出来事が起こった際に、自分が否定されたと怒るのではなく、その時の状況における最善の判断が下されただけだと捉えられるようになると、怒りと適切に向かい合うことができます。

博学多才タイプ

向上心を絶やさず、物事を何でもきちんとこなしたいという完璧主義者に当てはまるのが、博学多才タイプです。努力家で正義感が強いため、他者の優柔不断な言動に対して怒りを覚えやすいのが、博学多才タイプの特徴です。白か黒かを判断することにこだわらず、中間の価値観があっても良いと考え方を変えてみると、周囲に対する苛立ちを軽減して、怒りと向き合いやすくなります。

公明正大タイプ

道徳心が強く、マナーに対して敏感なのが、公明正大タイプです。他者のルーズな言動を見聞きしてイライラしたり、不正を許せなかったりするのが、このタイプの特徴となっています。公明正大タイプの場合、自分の価値観を他者に押し付けようとせずに、寛大な心を持つと、怒りをコントロールしやすいです。

外柔内剛タイプ

外柔内剛タイプは、一見すると柔和そうに見えるものの、内側に確固たる意志を持っているタイプを指します。自身の決めたルールに反することが生じると、強い怒りやストレスを感じるケースが多いです。自分の信条を持つことは大切ですが、その信条をやや緩めるように心がけると、他者に対して怒りを覚えにくくなるでしょう。

用心堅固タイプ

真面目で几帳面な性格で、冷静かつ慎重に行動を行えるのが、用心堅固タイプです。自分で集中して物事に取り組むのが得意である一方で、人に頼ることが苦手なため、多忙な時であっても何でも自分でこなそうとして、ストレスを溜め込んでしまうことがあります。他者に対して心を開いて、時には上手に頼ることも覚えるようにすると、ストレスや怒りを軽減しやすいです。

アンガーマネジメントがもたらす効果

自身に当てはまる怒りのタイプを把握し、アンガーマネジメントによって怒りをコントロールできるようになると、他者とのコミュニケーションがより円滑に行えます。企業研修などでアンガーマネジメントに関する研修が行われる機会が増えているのは、良好な人間関係を築くことが求められるビジネスシーンにおいて、アンガーマネジメントのスキルがプラスになるシーンが極めて多いからです。アンガーマネジメントについての知識を習得することで、怒りを感じた時にそのままの勢いで直接相手に感情をぶつけることなく、怒りをトーンダウンして冷静に向き合う姿勢を身につけることが出来ます。

ダーツ

今日からできるアンガーマネジメントの簡単な実践法

では、アンガーマネジメントのスキルを実際に生かすためには、どのようなやり方で行えばよいのでしょうか。今日からでも実践できる簡単なやり方をご紹介します。

「6秒ルール」を理解する

アンガーマネジメントで覚えておきたいのが、怒りの6秒ルールです。怒りを感じる時は、ずっと同じように強い怒りを感じるわけではありません。怒りを感じてから6秒経ったぐらいが、怒りのピークだと言われているため、6秒間は怒りを表すことなく、我慢することが大切です。その後は怒りの感情が徐々に弱まっていくはずです。イラっとした感じがしたら、6秒数えるという6秒ルールを徹底させてください。反射的に怒りを爆発させてしまうと、人間関係にも歪みが生じてしまいやすいため、一呼吸おいて我慢する習慣をつけることが必要です。

「~すべき」という価値観を見直す

もっとも基本的な6秒ルールを浸透させることができたら、アンガーマネジメントのための次の段階に進みましょう。人間は誰しも、「~すべき」という価値観を持って生きているものです。自分なりの「~すべき」という価値観と、他者が持っている「~すべき」という価値観の間に差があると感じると、怒りやストレスを感じてしまうことがあります。

「~すべき」というこだわりが強過ぎると、他者の価値観を受け入れられず、日常的にイライラすることが多くなってしまいがちです。それぞれが自己の価値観を見直し、自分とは異なる他者の価値観も受け入れるゆとりを持つことが、怒りをコントロールする上では大事なポイントとなります。

ネガティブな感情を解消する

怒りやストレスを緩和するには、ネガティブな感情を解消するための工夫をしながら暮らすことが重要です。人間は、ネガティブな感情を溜め込んでしまっている時期ほど、ちょっとしたことに対して怒りを感じてしまいやすいものです。自分にとって好ましくない予想外の出来事が起こっても、できるだけ落ち着いて対処するためには、普段からネガティブな感情を溜め込まずに解消する努力が必要です。好きな音楽を聴いたり、運動をして体を動かしたりして、ストレス解消を心がけると、心も安定して怒りをコントロールしやすくなります。

アンガーマネジメントの怒りのタイプ診断や実践法を学ぼう

アンガーマネジメントは、怒りをいかにコントロールするかに関するスキルを指します。怒りを制御できるようになるには、一人一人が自身の怒りのタイプについて正しく認識し、どのような対策を取ればよいかを理解することが大切です。アンガーマネジメント研修を実施してくれる外部サービスなどもありますので、上手に活用して、よりよい職場環境づくりを目指していきましょう。

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