取締役の善管注意義務とは、取締役は取締役という地位に要求される程度の注意義務を遂行しなければならないという義務を指す。通常の会社と従業員の間にある雇用関係ではなく、取締役は「委任関係」として、自身の職務を自己の裁量で遂行することが求められる。よってその地位・状況にある者として、通常期待される程度に注意深く職務を遂行しなければならないのだ。
ちなみに「善管注意義務」とは、「善良なる管理者の注意義務」の略である。会社側は取締役に、情報収集・調査・検討、そして判断等様々な業務を委任している形になる。
なお、取締役が善管注意義務を怠ったり、会社に損害を負わせたりした場合には、損害賠償責任を負うことになる。たとえば「放漫経営」などが、その例にあたる。ただし、企業経営はある程度のリスクを伴った経営判断が時として必要であり、結果として会社に損害を負わせたからといって、これが必ずしも善管注意義務違反にあたるというわけではない。
それよりも、不作為や会社としてなすべきことをしなかった場合に、「善管注意義務」が問われることが多い。